【ライブレポ】白金高輪横丁祭【アイドル】
複数のグループが出演する対バンライブには、グループの固定ファンはもとより、普段そのグループのライブをあまり観ない人や、観たことはないけれども興味はそれなりあるという人、さらには年単位で久々に観に来た人など、様々な背景の方々が入り混じっています。
そのため、等しくステージを眺めている人達の間でも、グループの単独ライブ/イベント以上に熱量は高低様々です。
ステージに立つアイドルにとっては、まだファンになっていない人達に対し、このライブを通じて好きになってほしい気持があるでしょうから気合も入るでしょう。
そしてこれはアイドルだけでなくファンにとっても、「自分がいつも観ているグループってこんなに良いんだよ」と伝えたい気持もあり、共通して流れているそうした思いが表出することによって、より良いライブになる気がしています。
今回行った対バンライブも、そうした思いがぶつかった結果、かなりの盛り上がりとなったように思います。
その楽しさはまさに筆舌に尽くしがたいといったところで、振り返ってみると冷静さはどこへやら、内容についての記憶がかなりあいまいになってしまってもいます。
ざっくりとした総括を前置きとしつつ、おぼろげになりつつある記憶をたどりながら、2月27日(土)に白金高輪SELENE b2にて開催された表題のライブレポに移ります。
各組の持ち時間25分程度の、全14組出演の対バンライブでした。
顔ぶれは下の画像の通りです。
サンダルテレフォンや転校少女*など僕がこれまでライブレポを何本か書いてきたグループや、Ringwanderungやリルネードといった、以前の対バンライブでも惹きつけられたグループが複数出演するなど、顔ぶれが発表された段階で非常に楽しみな対バンでした。
僕はマニマニ(@manimani_reiwa)の出番あたりから観はじめたのですが、観たグループ全てについて触れるのはさすがに厳しいところがあるので、グループを絞って書きます。
リルネード
前回のライブレポで書きそびれたことなのですが、ライブでのリルネードからは、王道の甘いアイドル感に加えて、パフォーマンス力の高さも感じていました。
例えば桐原美月さんの歌声には力がこもっており、下から押し上げてくるような圧があります。
こんな可愛らしい衣装・見た目や、決して高くはない身長からは想像しづらいような意外性です。
最後にまた触れますが、桐原さんは歌声のみならずその表情にも吸い込まれるような魅力がありました。
それが端的に現れていたのが、ベースの軽いタッチの音につられて身体を動かしたくなる「ラビンNv」という曲。
この曲では、長い間奏にてメンバーの蔀祐佳さんと栗原舞優さんがセンターに立つ桐原さんをまるで着せ替え人形のようにパフを当ててあげたりスカートをふわっとさせたりするパントマイムのようなパートがあります。
このパートでの桐原さんの表情自体にも人形のような可愛らしさがあるのですが、それも束の間、鳴りだすベースの音を合図とするように桐原さんのソロダンスへと移ります。
ここの表情ではそれまでから一転、大人びたというか人形の仮面をはぎとったように凛としています。
それもすぐ再びアイドルスマイルに戻るのですが、その少しの間隙に先述した意外性が詰まっている気がしています。
ここまで書いた内容は下の動画(1分45秒~)にあるのでご覧いただければと思います。
また、突然のトラブルへの対応も素晴らしかったです。
ライブの終盤、曲の途中に伴奏が途切れてしまいました。
結果として10数秒程度の空白を開けて再び流れ出したものの、音がないその間、当該パートを歌っていた蔀祐佳さんは途絶えたところからアカペラで繋いでいました。
再び伴奏が流れ出した時には途切れた箇所から始まったため、直前までアカペラで歌っていた所に戻り、そのパートを再度歌わないといけなかったのですが蔀さんはそこも見事に対応していました。
図らずもアカペラによって歌声がもろに出る中、そして多少の動揺はおかしくないトラブルの中でしかし蔀さんの歌声はぶれることがありませんでした。
甘さ、フワフワとした所は曲にも衣装にもメンバーにも存分にあるのですが、押したらつぶれてしまわずに跳ね返ってくるような強さもどこかにある気がしていますし、王道のアイドル曲でないような曲を扱ったとしてもしっくりくるのではないでしょうか。
ぱっと見では枠にハマりそうにも思えるのですが、リルネードにはそうしたカテゴリー化も無粋に感じるほど表現の幅はありそうで、大いなる可能性をステージから感じました。
ところで、リルネードのパフォーマンス中、フロアでは随分とジャンプしている人が多いなという印象だったのですが、これはのちのグループの出番でひっくり返されるので後述します。
Ringwanderung
照明が落とされ、あるいは逆光となって暗くなったステージ上でのメンバーの立ち姿にはとくに迫ってくるものがありました。
グループの持ち曲の特徴である、心がざわざわするようなピアノロックの旋律とともに、流し目がちなメンバーの振る舞いからも、どうだと言わんばかりの毒気を感じます。
こうしたメンバーの堂々たる振る舞いは、その歌声にも現れていました。
初めて観た対バンライブでは、ボーカルがこもってしまっているように聴こえていたのですが、この日は全くそういうこともなく、それぞれの歌声が真っすぐにこちらまで響いてきました。
あの日は観ていた場所が最後列の端っこだったため、恐らく位置が悪かっただけなのでしょう。
YouTubeにアップされているライブ映像は既に何本か観ていましたが、まさにこの動画通りと言えます。
アップテンポなサビでより細かくなるメロディーの粒を逃さず、正確に歌詞を捉えているところがRingwanderungのメンバーのすごいところではないでしょうか。
とりわけ佐藤倫子さんは、自らのパートを歌い始める際、さぁ歌うぞと力が入った風ではなく、おもむろにマイクを持ち上げ、歌い始めるまでは自然体なのですが、ひとたびその声がマイクに乗ると、地下にあるライブ会場の天井を破るんではないかというほど強烈に響いてきました。
知ってからまだ期間も浅いグループであり、全体をもっと観ないといけないとは思いつつ、佐藤さんは目で追ってしまいます。最後に再び触れます。
今回の対バンライブのからの帰り道、Ringwanderungの「es」がひたすら頭のなかで流れていました。
鍵盤の激しい音が特徴的な曲です。
流れていたというより、こびりついていて離れなかったという表現の方が合っているかもしれません。
以前の対バンライブ観た時や予習の時点でもかなり刺さってくる曲ではありましたが、その存在はより光っており、この日披露された他アイドルの曲含めたなん十曲のどれよりも印象的でした。
何も「es」がこの日のベストソングだと主張したいわけではありません。
ですが、イントロから終始響く鍵盤の高速の運指と、サビで増すメンバーのピッチの早い歌声は脳まで押さえつけられるようで、そのインパクトは他の曲を押しのけて頭にこびりつくほど強いものでした。
サンダルテレフォン
サンダルテレフォンの出演直前まで場内BGMとしてなぜか流れていたのが、この日の出演者でもないアップアップガールズ(仮)の「アッパーカット!」という曲でした。
開演時間となり、サンダルテレフォンの出番を予告するように場内が暗転、それともにBGMのボリュームが上がっていったのですが、ちょうどそのタイミングが曲のサビに重なりました。
曲のタイトルにもあり、かつサビでも振り付けに採用されているアッパーカットを小さくフリコピしながら、予期せずテンションが上げられました。
余談になりますが、今回のライブの幕間BGMとしてベイビーレイズJAPANの「夜明け Brand New Days」も流れており、「アッパーカット!」と合わせてなんだか数年前のアイドルフェス「Tokyo Idol Festival」が思い起こされるようでした。2015年ころでしょうか。
ライブ本編に移ります。
メンバーのユニゾンやハモリが綺麗に重なっているところがサンダルテレフォンの魅力かなとは思っているのですが、今回はあえてそのバランスを崩すかのように、メインボーカルである小町まいさんの歌声が目立って聴こえる箇所がありました。
3曲目でしょうか。「真夏の匂い」という曲ではメンバー2人のハモリ・ユニゾンパートがあるのですが、いつもは小町さんと他のメンバーで半々くらいに聴こえるところが、今回は小町さんの歌声が7割くらいに聴こえました。
僕もよく書きますが、小町さんの歌声は「落ち着いた」と形容されます。主旋律を担うことが多い小町さんのそのパートでの声の主張には、落ち着きを超えて気持よさを覚えました。
バランスが崩れたというより、これこそが黄金比なのかもしれません。
さて、以前のライブレポでは「サンダルテレフォンは曲間の繋ぎなど演出が凝っている」と書きました。
それは今回のライブでも意外な形で耳にすることとなりました。
まず、「真夏の匂い」から「Step by Step」という曲に移ったのですが、「真夏の匂い」の2番終わりくらいから、何の前触れもなく「Step by Step」のイントロに繋がれました。
その瞬間は不思議とすんなり入ってきたのですが、じわじわと「あれはどうやっていたんだ?」という疑問に似た思いが湧き出てきました。
今となってはどことどこを繋いでいたのかが分かりません。
それくらい、ぱっと聴いた感覚では何の違和感もない、シームレスな繋ぎとなっていました。
禁止されているため声にこそ出しませんでしたが、心の声では「やられた」の一言しかありません。
後で考えてみると、「真夏の匂い」はタイトルにもある通り夏曲ですが、「Step by Step」もメンバーの歌声の抜けがとくに心地よく、かき氷のような清涼感もどこかにあります。
順序は違えど収録のアルバムでも連番になっていますし、そういった点では確かに親和性は高いものの、この繋ぎは意外でした。
曲間の繋ぎや演出が凝っているという、くだんのレポを出したのがこのライブ前日だったのですが、まさか昨日の今日で見られるとは思いもしませんでしたし、曲間どころか2曲を1つにまとめてしまったのはすごいとしか言いようがありません。
これは以前にもあった演出なのでしょうか?
こうした仕掛けを平気な顔でやり切ってしまうメンバーからは、貫禄に似たものが出ているように感じました。
さて、演出はそれだけでは終わりませんでした。
最後に「Magic All Night」が披露された時のことです。
イントロがかかる前、メンバーの夏芽ナツさんから「まだまだ踊れますかー?」「スペースもあるのでぜひ踊ってください!」といった煽りが飛び出したことや、ステージ背景のビデオジョッキー(VJ)の映像がミラーボールを模したものに変わっていったことなどから、グループ随一の踊れる曲である「Magic All Night」が披露されるのかな?となんとなくの予想がありました。
結果としては確かにその通りだったのですが、ではすぐ曲へ!とはなりませんでした。
夏芽さんの煽りとどちらが先だったのかはもはや記憶に無いのですが、規則正しいリズムが打たれ、メンバーがジェスチャーで誘うままにクラップが発生、それをしばし挟みつつ自然な流れで「Magic All Night」の幕が開けました。
「Magic All Night」はサンダルテレフォンを代表する曲として広く認知されている曲だと思うので、待ち望んでいた人は僕含め多いかと推測するのですが、そうした待ちわびた気持ちをもてあそぶかのように少しじらされたような感覚です。
自然な流れと書いてはいるものの、こちらも具体的にどうした流れ出来ていたのかはもはや覚えていません。
また、この時の盛り上がりと関係あるのでしょうか。
「Magic All Night」の時、不思議と伴奏のボリュームが弱まったように感じました。
「Magic All Night」はダンスミュージックと言うべきノリの良い曲なのですが、これに加え、よりディスコチックに再構築した「リミックスバージョン」もあります。
ですがこの日は歌に伴奏がかき消され、披露されていたのがどちらなのかが音からではまるで判別できませんでした。
ここには、ラストに向けてより強くなったメンバーの超えはもとより、フロアの異常なまでの盛り上がりというのもあったのかもしれません。
だれも声は出していないのですが、フロアのあちこちの縦ノリやフリコピの動きが格段に大きくなっており、そうしたフロアの盛り上がりが写し鏡のようにステージで反響し、明らかに大きくなっているメンバーの歌声とともにこちらに向かってきているように思えました。
視覚からでも大音量が伝わってくるようでした。
また、今回の熱量をお伝えするものとしてもう一つ一つ特筆しておきたいのが、今回のライブでは数曲披露(2~3曲でしょうか)の後にMCを挟みました。
これまで1時間の定期公演をはじめ、より長尺の対バンライブなども数多くこなしてきたサンダルテレフォンのメンバーですが、それでもこの日のMCでは夏芽ナツさんがうっすら汗をかいてきているように思えました。気のせいかもしれませんが。
これは、メンバーの体力を大いに奪うほど、フロアの熱量がすさまじかったということなのではないかと個人的には思っています。
メンバーから出てくるオーラに負けじと、声は出せないまでも熱くなっていくフリコピや縦ノリの大きさが、試合巧者であるはずのメンバーも気圧されてしまうほどにステージに迫っていたのかもしれません。
サンダルテレフォンの終演後、場内には「Follow You Follow Me」などサンダルテレフォンの曲が流れており、おかげで直前までのライブの熱をかみしめつつ、続くグループに向けてその熱を徐々に冷ますことができました。
転校少女*
今回の対バンライブではトリ前に出演した転校少女*、前半はメンバーについて書いていきます。
転校少女*は2021年1月に新体制となったのですが、加わった新メンバー3人のうちの一人、佐々木美紅さんは、これまで数回ライブを拝見した印象だと曲に入り込みすぎていて、表情に若干の堅さがあったように見受けられました。
もっともこれはこれで個人的には良いなと思っていて、例えば後述する盛り上がり曲の「TRIGGER」という曲でも、他のメンバーが笑顔の中、あくまで歌詞の意を汲んでシリアスめな表情にしているところはまさに独自色といったところで、良いアクセントのように感じてはいたのですが。
ですが、この日の佐々木さんの表情を観るにかなり柔らかく、全体に溶け込んでいるように見えました。
この表情もやはり良いです。
そして佐藤かれんさんは、新メンバーの中で唯一アイドル未経験者ということもあってか、歌にはこれまで不安定さが若干あったものの、この日はかなり良くなっていました。
観るたびに良い印象が増していきます。
また、オリジナルメンバーである塩川莉世さんの歌声に関しては以前のレポで何回も書いてはきたものの、ここでも触れずにいられません。
暖まっているフロアに対してこの例えは適切で無いのかもしれませんが、塩川さんの歌声は、キンキンになった冷水のような、目が冷めるような明瞭さでこちらへと届いてきました。
この春リリースする新曲の「リバース・エイジ」という曲では、他のメンバー5人がなめらかなダンスで囲む中、塩川さんがソロで歌うパートがあるのですが、この姿には、熱い熱い会場の空気の中にあっても冷水のごとく放たれる存在感が確かにありました。
もっとも、転校少女*の恐ろしいところは、ボーカルに長けているのが塩川さんだけではないということなのですが、今回は塩川さんについてのみにとどめ、次回以降に書きます。
ここまではメンバーの話ですが、しかし、今回の転校少女*のステージにてなにより驚いたのが、フロアで跳んでいる人の多さでした。
アイドルのライブでは盛り上がり曲の大サビなど気持ちが高まって抑えられなくなった時、ファンの皆さんはなぜか垂直跳びをしたがります。
アフリカのマサイ族という部族には、より高く跳んだ者に敬意を払わないといけないというしきたりがあるそうで、この垂直跳びはそれにちなんで「マサイ」とも言われているのですが、最後の曲「TRIGGER」のラスサビではマサイが大量に発生していました。
これの是非はとりあえず置いておいて、どれだけマサイが発生しているかというのは、フロアの盛り上がりが如実に分かる指標の一つとなっている所もあります。
もちろん、どんなに盛り上がっていてもマサイが全く起こらないライブもたくさんありますが。
例えば先述のリルネードなど転校少女*以前の演者さんの時も、そうしたマサイジャンプをしている人はいたのですが、せいぜい4~5人程度が最前列で跳んでいるくらいでした。
ですがTRIGGERの当該パートの時は、フロアの真ん中から後方を中心にたくさんの人が跳んでおり、一番後ろでみていた僕の視界が一瞬無くなるほどの多さでした。
前の前の出番であった #2i2 の出演後、その特典会にファンの方が大挙したこと、そもそも出番がトリ前であったことなどの要因もあり、フロアの人数はこの日のピーク時のそれでは無かったのですが、跳んでいた人数は明らかに今日イチでした。
まさか転校少女*のライブでこうなるとは思いもしませんでした。
なぜこんなに跳んでいたのでしょうか?
思い起こすと、TRIGGERの大サビ前に挟まれる間奏は、今回Longバージョンとなっており、従来であればこの間にメンバーそれぞれが自己紹介したりするのですが、今回は松井さやかさんただ一人がマイクを取り、他のメンバーがダンスで繋いでいる間に「コロナ禍によって皆それぞれ苦しいけれども明るい未来を信じて頑張っていきましょう!」といった思いを口にしていました。
それを受けての塩川莉世さんの落ちサビ、そしてくだんのラスサビに繋がれたのですが、こうして考えてみるとマサイが頻発するほどに感情が高まったのは、塩川さんの歌声もさることながら、松井さんのそのコメントもフリとして効いていたのではないかと思えてきます。
「時代のど真ん中 リアルを撃ち込めば 波紋みたく広がって」
という歌詞がTRIGGERのサビにあります。
この時は、メンバーによって撃ち込まれた衝撃は波紋どころかとてつもない波となって押し寄せていました。その結果のマサイでしょう。
転校少女*はこの日主催ライブを2本こなしており、そこから移動を挟んでの今回のライブでした。そのため、疲れもあるだろうし本調子にステージを観られるのだろうか?とくにそれまで出番のあったグループが軒並み良かったため、上がり切った閾値がどうなってしまうのか?などと勝手ながら思ってしまっていたところもありました。
しかし、結果としては素晴らしいステージで、歴戦のグループに対しそんな懸念が少しでもよぎってしまうというのがあまりに失礼だと反省しました。
ツイッターでも「転校少女*が優勝だった」と総括している人が何人かおられましたが、5曲のうち新曲が2曲と、ここ最近のライブに行っていない方だと初聴きの方が多いであろう状況で、それであっても既存曲の間違いない質の高さや、それを上手いこと乗りこなしているメンバー6人というのは確かに出色でした。
新体制のためできる曲が限られているというのもありますが、結果としてこれが「WONDER WAVE!」「じゃじゃ馬と呼ばないで」「TRIGGER」といった盛り上がり曲ばかりのセットリストを生むこととなりました。
転校少女*の登場に先立ちOvertureが流れ、それにあわせて手拍子をしている時には、この対バンライブ会場が転校少女*のための会場に変わるほどの熱量を帯びてくるとは思いもしませんでした。
VJの説得力
最後に対バンライブ全体の感想です。
いくつか書きたいことがあるのですがまず、映像による説得力について。
今回、ステージの背景にビデオジョッキー(VJ)として映し出された映像が、見事に曲に説得力をもたせていることを思い知りました。
これは知っているアイドルではもちろんのこと、初見のアイドルの知らない曲でも、VJによってなんとなくどういうコンセプトの曲なのかが分かります。
例えば、グラビアで名高い十味さんが所属する#2i2というグループ。
披露された一曲目は、その後のメンバーのMCによると「人間らしさを取り戻したくて反発しているアンドロイド」という設定が織り込まれているそうなのですが、確かに数字の羅列がデジタル表示されている様子は機械仕掛けのなにかを思わせますし、一方でその背景一面を占める赤色はどぎつく、こちらは血や肉を生々しく表現したようにも見えます。
曲のメッセージ性が映像により増幅してこちらに向かってくるようです。
表情の素晴らしさ
今回のように、対バンライブを一日中何組も観ていると、歌がグループの中で突出している方、しゃべりが立っておりMCをまわすのが上手い方など、メンバーの方がそれぞれグループの中で表現している個性のようなものも垣間見えます。
そうした個性の一つとして、ステージ上の表情が非常に魅力的なメンバーも各グループにいて、そこにも触れておきたいです。
リルネードなら桐原美月さん。Ringwanderungなら佐藤倫子さん。虹色の飛行少女なら赤城希望(平松可奈子)さん。転校少女*なら成島有咲さんや佐藤かれんさんなどは印象深いです。
顔を膨らませたり急にはっとした表情をしたり、すました顔をしたり。豊かな表情には吸い寄せられてしまうものがあります。
この方たちはまた、フロアをよく見ているなという感覚も受けます。
特筆しなかった方が表情に乏しいと言うことではなく、単に僕自身のステージへの視野が狭いことに他ならないのですし、もっとグループ全体を見渡したい思いはあるのですが、どうしてもそういったメンバーの方ばかりを観てしまいます。
ライブの立ち位置
最後に、ライブの見る位置について書いて終わりにしようかと思います。
どこまで個人的な話をしていいものかとは思っているのですが、今回のライブは全編通して最後列のど真ん中、ステージ上でセンターに立つメンバーの目の前といういわゆる「ゼロズレ」の位置で観ていました。
ライブアイドルを好きになってから5,6年。その間長い空白期間があったものの、いつも端っこのほうでおとなしくライブを観ているのみでど真ん中になんてほとんど立ったことがありませんでした。
そうした位置に立って初めて気付くのですが、センターゼロズレというポジションは非常にアイドルの方々と目が合います(合う気がします)。
ひとたび目が合うと、アイドルによっては何度も目を合わせに来てくれるような気さえします。
もっとも、初見のアイドルさんも多かったですし、普段通っているアイドルにかんしても特典会(チェキ撮影やオンライントークなど)には基本的に行かないため、「この人だ!」との認識の上で目を合わせてもらっている訳ではありません。
知っている人がいる、ということではなく、ステージ上からフロアの遠めの方を見渡した時に、僕の位置がちょうどカラーコーンのように目につく場所に立っていたということに過ぎないのでしょう。
ですが、こうした瞬間はメンバーとその空気を共有できたように思え、なにかカタルシスのようなものさえ感じます。
ライブアイドルの良い面としてはSNSや特典会での距離の近さ等が挙げられるかと思うのですが、ライブ中にも距離感の近さを味わえたような気がします。
振り返ると、各グループの素晴らしいパフォーマンスもさることながら、この日のライブが良かったと思えるのは、恵まれた立ち位置に助けられた部分もあったのではないかと思えてきます。
フロアの構造としても、音は中央に集約されるようなつくりとなっているでしょうから、中央後ろに居ることでいつも以上に音圧を感じることができました。
あまりにこうした立ち位置や目の合う/合わないばかりにこだわり過ぎると、ステージのごく一部分しか目がいかず、グループ全体としてのライブの完成度の高さを見落としてしまうという弊害もあろうかと思うのですが、新たな楽しみ方を知った気分です。
ーーー
ここまで今回のライブで楽しかったポイント、目が離せなかった場面などを書けるだけ書いてきました。
内容としてはかなり鈍重になってしまった気がするのですが、ライブ中終始湧き出ていたのは、アイドルっていいな、まだまだ観ていたいな、というごく単純な思いでした。
素晴らしい対バンライブを観られたことの感謝とともに、ここで生まれた熱量をできる限り文字として保存しておきたい!という思いも強くなるようなライブでした。
これで1万字くらいでしょうか。
長くなりましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
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