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【万感の】転校少女*6周年記念ワンマンライブ Girl*s Rock【ライブレポ】

ライブが終わり、ふと一息ついたところで「チケット代がタダ」という事実を思い出しました。

今回は、11/21(土)に行われた、転校少女*というアイドルグループの6周年記念ワンマンライブ「Girl*s Rock」のライブレポです。

冒頭に書いたように、このライブのチケット代は無料という破格の値段でした。

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普段は「このライブのチケット代は〇〇円だから、それだけの元を取ろう」なんて見方はしませんが、それなりのお金を払って観たライブが微妙に感じるときには、多少なり損した気分になってしまうこともあります。

ですが今回のワンマンに関しては、そもそもそんなことを考える必要がありません。
必要なのは交通費とドリンク代くらいです。
元を取る/取らないでいえば、会場でステージに立つメンバーの姿を生で観られただけで十分です。

終わってみれば、得をしたどころか無料で観て本当にいいの?と申し訳ない気持も少し芽生えてくるほどに素晴らしいライブを観させてもらいました。

まずは、全体の感想から。

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本編に移ります。

今回のライブの会場はお台場にあるZepp Tokyoでした。

Zepp Tokyoは通常なら2500人越えのキャパとかなり大きめの箱で、プレミア感があるとともに、今回はそこに生バンド「転校バンド」付きという豪華さです。

開演直前、転校少女*メンバーの登場に先立ち、転校バンドのバンドメンバー5人がまだ暗いステージ上に現れ、それぞれの楽器の前に立ちました。

こうなると、メンバーが出てくるまでもう5分も10分もないことを察します。
通常のライブだと時間ぴったりに始まらないことも多く、始まるまで少しばかり間延びしたような感覚を受けますが、生バンドが登場することによっていよいよだというという緊張感が走ります。

ほどなくして最新シングル「情熱リボルバー」の衣装で登場したメンバー3人は、初っぱなから激しい曲で襲いかかってきました。

数曲連続で披露の後に2分程度の短いMCを挟みながら、フルコーラスでのパフォーマンスです。

披露されたすべての曲を網羅することは無理ですが、ここからは印象的な曲と演出について書いていこうかと思います。

曲本編へ

▶瞬け、プルート

3曲目に披露された「瞬け、プルート」はゴリゴリのロックナンバーですが、個人的にはここにKEYTALKっぽさを感じてなりません。

◆転校少女*  瞬け、プルート


4つ打ちのビートによるアップテンポな曲であるというのがそう思わせる点なのかなと思うのですが、それ以上に特徴的なのが、小倉月奏さんがソロで歌うBメロかなと思います。

人であふれた 帰り道のプラットホーム
騒音(ノイズ)の中 不意に涙が伝ったんだ

転校少女*の曲は全体的にキーが高めだと思うのですが、その中でもこの「騒音の中」の部分のキーはかなり高いです。

ここを歌う小倉さんの歌声を聴くとなぜか、高音ボイスが特徴的なKEYTALKのボーカル、首藤義勝が歌っていそうな感覚を受けます。

どの曲が当てはまるかはぱっと浮かんできませんが、ここのメロディラインもKEYTALKにありそうなので、親近感が湧いてきます。

▶情熱リボルバー

5曲目に披露されたのが、先述した最新シングルである「情熱リボルバー」。

◆情熱リボルバー MV

こちらもロックナンバーであり、かつ力強さを感じる良い曲ですが、とりわけ好きなのがラスサビ前の松井さやかさんの半分シャウトのような、「OH MY SOUL」のパートです。

この曲自体、叫びたい心の内を歌にしているようなところがありますが、ここではその気持ちすら抑えずに叫んでいる感があります。
生で聴くのは今回のライブが初めての曲でしたが、松井さんの声がZeppに響いていました。

記憶違いだったら申し訳ないですが、この松井さんパートと同時に3~4本のファイヤーボールが上がりました。
ファイヤーボールは他の曲でも演出として使われており他にもストームや花火?など演出はなされていましたが、これもZeppという比較的大きい会場だからできることでしょう。

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▶リミックスの魅力

続くセットリストで印象的だったのが、自粛期間明けの夏ごろのライブにて既存の曲にアレンジを加えたリミックスバージョンとしていくつかの曲を披露した、というMCに続いて披露された

さかさまの世界 ~ She’s Rain ~ Winter Wish ~ Mad Good Love

という中盤の流れでした。

MCで話していたリミックスライブの映像はこちらに上がっているのですが、僕は予習も兼ねて何度も観ていました。

◆転校少女 ミュージックサマーキャンプ

このバージョンでは、曲の転換の際に、前の曲のアウトロに次の曲のイントロが徐々に重なっていき、最終的に次の曲のイントロがはっきりと聴こえてくるというグラデーションのようなマッシュアップで繋げられているのですが、僕はこれが好きでたまりません。

曲間がぶつ切りにならないことでセットリストに一つのストーリーを作っているようにも思えますし、前の曲に埋もれていた次の曲が「徐々に」その姿を現わしていくというのが良いです。

さかさまの世界」は歌詞の世界観が独特で、歌と語りが混ざったような歌い方が特徴的な不思議な曲です。
またまたロックバンドでたとえると「My Hair is Bad」っぽさを感じます。
セットリストの中のアクセントとしては結構好きな曲です。
メンバーの小倉月奏さんはお気に入りの一曲として挙げていました。

She’s Rain」と「Winter Wish」は以前のライブレポでも書きましたが、哀愁を漂わせるしっとり系の2曲です。
会場に響く生バンドの伴奏もさることながら、それに負けないボーカルの強さがあります。

続く「Mad Good Love」。
僕はかなり好きな曲なのですが、この曲では4ビートに合わせて跳ねる振り付けが特徴的です。

◆ Mad Good Love ライブ映像

こうした振りがあることや、縦ノリしやすい曲であることから、メロディに合わせてフロアが上下に動いているように見えました。

アイドルのライブでは身体を揺らすよりもサイリウムを振ったりコールしたりとがメインで、あまり縦ノリはないイメージです。

よくロックバンドのライブでは見かける光景ですが、この日の「Mad Good Love」はまさにバンドのライブのそれでした。

「Mad Good Love」のサビではさらに、腕を前に出した後に後ろに引きながら縦移動をする、駆け引きを思わせる振りもあります。
後ろにバンドセットが控えているとはいえ十分に奥行きのあるZeppのステージの奥から手前へと移動していく姿は、迫ってくるような立体感がありました。

▶エモーショナルな楽曲

続くセットリストには、メンバーの塩川莉世さんもMCで言っていましたが転校少女*の一つの持ち味である「エモーショナル」が表出している曲が並びます。

この中で特筆するとするならば「銀河列車」という曲でしょうか。

直前のMCではグループ名である転校少女*の「*」の意味は何ぞやということについての説明がありました。

前名義の「転校少女歌撃団」からの改名とともに付いた「*」ですが、これは星を意味しているとのことでした。
さらに改名のタイミングが「銀河列車」をリリースしたころと重なっており、「*」が予想以上にすんなりとフィットした、というようなことも言っていた記憶があります。

そんなMCの後に披露されたのが「銀河列車」でした。
ゼップの天井を埋め尽くす星のようなライティングも、この曲の雰囲気とマッチしているのはもちろんのこと、直前のMCで語っていた転校少女*のアスタリスクの由来にまつわるトークを思い返しつつ聴いていくなかでも、これ以上なくピッタリな演出だったのではないかと思います。

ライブハウスであるZeppの空間には居ながらも、この時ばかりはどこかの音楽ホールにいるかのような感覚でした。

さて、ここまで序盤~中盤を書いていたらかなりの文字数になってしまったのでここからは本編ラストまで飛びます。

本編の最後に披露されたのは「TRIGGER」。音源化されていないそうですが、この上なく盛り上がる曲です。これも「瞬け、プルート」などと同じようにロック調なので、メンバーの煽りに合わせて手拍子をするAメロBメロも楽しいです。

◆TRIGGER 

ただ、このころには「これでもう本編も終わりか...」と名残惜しい気持ちもいくばくかは生まれてきます。

ラスサビ直前にスパークのような演出もなされました。最後の最後にこんな演出があるとは思ってもいませんでしたし、その衝撃が結構強く、普通にびっくりしました。

そういえば、計20曲が披露された充実の本編において、メンバーの衣装チェンジはありませんでした。
ずっと「情熱リボルバー」の、赤をベースとしたボタニカル柄の衣装です。

衣装の変化で魅せるよりも、とにかく曲を聴かせパフォーマンスで魅せる。
そんな想いを感じます。
あくまで邪推ですが。

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緊張を感じさせない新メンバー

本編終了後、メンバーがはけてすぐにアンコールの手拍子が自然発生的に始まりました。

衣装チェンジしたメンバーが出てきて「終わらない世界」披露の後、MCでは告知タイムとなりました。

事前にツイッターなどでは、「うれしい6つのお知らせ」があるという予告もなされていました。
その目玉であり一発目。まずは、新加入メンバー3人のお披露目でした。

事前に新メンバーのイニシャルや顔の一部分は公開されていました。
お披露目の前にその情報のみでピンと来ていた人もいたらしいです。すごいですね。

それぞれ自己紹介や意気込みなどを語っていましたが、3人もれなく堂々としているな、というのが真っ先に出てきた感想です。

どうやら2人は元アイドルだった様ですね。
アイドル未経験者のもう一人はtiktokのフォロワーが5万人に迫るほど人気な方なのだそうです。

いまいちtiktokに関する数字は実感をもって捉えられませんが、ツイッターで考えると、5万人もフォロワーが居たら地下アイドルの世界ではもうだいぶ「世間に見つかっている」状態です。
それを思うとなかなかな数ですよね。

個人的な話ですが、転校少女*新メンバーの堂々たる挨拶を聞きながら、今は亡き「palet」というグループの新メンバー加入時のことを思い出していました。

5年前に行われた赤坂BLITZでの年末ライブでした。
今回と同じようにアンコールの後に2人の新メンバーが初お披露目されたのですが、彼女らから感じる緊張感は今でも忘れられません。明らかに顔がこわばっていました。
迎え入れるメンバーも、彼女らの背中に手を置いてあげたりとなんとか落ち着けるようにつとめていた記憶があります。

さらに余談ですが、そんな非常に頼りなさそうだった当時の新メンバーの内一人は今でも別のグループでアイドルを続けています。
それが現ワールズエンド。の日南りとさんです。
palet加入当時とは別人のようになっています。
彼女を見ていると、数年もあれば人は変わるということがよくわかります。

新メンバーお披露目についてはこんあイメージが強くこびりついていたことから、今回もそんなガチガチの挨拶を予想していたのですが、3人ともそれとは無縁そうでした

人数を絞っているとはいえZepp Tokyoというそれなりの規模の会場での初お披露目です。
緊張したと口では言っている新メンバーもいたものの、そうはまるで見えません。
泰然自若という言葉がまさに合います。

新メンバー込みの6人で披露されたアンコール2曲目、3曲目の「ときめけ☆アフタースクール!」や「Girl*s Time」を見ても、何の迷いもないようなステージさばきのように見受けられます。

6つのお知らせの中には、新体制による全国ツアーが来春開催との発表もありました。

人数が増えたことでユニゾンの力強さは増すでしょうし、新メンバー3人がどのようなパフォーマンスをするのかが楽しみです。
そこに立ち会うことができたらなと思うばかりです。

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安定の小倉月奏

ここまではメンバー個人について書きませんでしたが、小倉月奏さんのパフォーマンスに触れておこうと思います。

今回のライブ、小倉さんの歌声が抜群だったなと感じています。

開演前の影ナレも担当していましたが、彼女は声が非常に綺麗です。

自粛期間中に小倉さんが行ったライブ配信(おそらくチェキにサインをしてくれるオンライン特典会でしょうか?)のアーカイブがYouTubeに上がっているのですが、小倉さんの声を聞きたいがために、ここ最近の僕はそれをラジオのように聞きながら寝ています。

声のみならず、テンションも無理しているような風ではないため聞きやすいです。
喋っている内容からも頭の良さを感じます。

これまでのライブ映像をみても、その歌声は非常に心地の良いものだなという感覚だったのですが、このワンマンライブを観るとそれに力強さが加わったように感じました。

これまでが頼りなく聴こえたなんて上から目線で言うわけでは毛頭ありません。
過去ライブのパフォーマンスを観ても、これが加入して1年ちょっと、さらには休養期間もあった人のそれだとは言われなければ分からないほどには上手いです。

ですがこのライブではそれに輪をかけて上手く、なにか一本芯の通ったような歌声となっているように聴こえました。

生で観たのは対バンライブを合わせてもこれで3回目という僕が何を言うんだという話ですが、とうに「安定の小倉月奏」ではないでしょうか。

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観るだけで没入できる

僕は今月の対バンライブ(11月3日開催秋葉原アイドルサーキット)で初めて転校少女*を知り、予習がてら先週(11/14)の定期公演に行きました。したがって、これが3回目の転校少女*のライブ参戦というかなりのにわかな状態で臨んだ今回のライブでした。

その定期公演でも感じたことですが、転校少女*のパフォーマンスは、新たな「アイドルライブの楽しみ方」を示してくれるような気がします。

僕自信のライブの楽しみかたには、曲中の簡単な振付を真似してみる、いわゆる「フリコピ」をしたり、コールをしたり、曲に合わせて口パクで歌ったりすることがメインになっているところがありました。

これまでのnoteには名曲と思うアイドルの曲についていくつか書いているように、もちろん曲自体に魅力を見出しているからそのグループを好きになり、ライブに行っていることには間違いないのですが、楽しめているのには上に書いたこれらの要素があることも無視はできません。

転校少女*の曲にも、フリコピをしやすいような曲はたくさんあります。
コロナのご時世でなければコールも盛んでしょう。

しかし、今回の転校少女*のライブを観るに、ただ何もせずステージに魅入って曲に浸るだけでもう十分没入できると思い知らされました。

多彩な曲がありながらその質がもれなく高く、「聴かせる」ことに特化しています。
現在ステージに立つメンバーは3人ですが、3人ともボーカルに長けているのも最大の特徴かと思います。

思えば、冒頭で触れた「チケット代タダ」という事実も、単なるばらまきではなく、今の転校少女*を観ればまたライブに遊びに行こう、と思う人が少なからず居るであろうことを見越しての試みだったのかもしれません。
それくらいの自信を感じました。

僕は一週間前の定期公演に行った時点で心をつかまれていましたが、仮に行ってなくともこのワンマンライブを一目観ただけで「転校少女*についていこう」と思わせられていただろうと思います。

あまりにあっという間に過ぎつつも、充実した2時間半のライブでした。

◆見出し画像・本文中画像出典: 転校少女*公式ツイッターアカウントより


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