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【ライブレポ】PLAY PARADE (2022.4.23)

6人組アイドルグループ・Palette Paradeが主催する、「PLAY PARADE」が4月23日(土)に渋谷ストリームホールにて開催されました。

いくつかアイドルさんを観ましたが、印象的だったステージについてピックアップして書いてみます。

・透色ドロップ
・衛星とカラテア
・かすみ草とステラ
・ベンジャス!
・Pimm’s

◆透色ドロップ

個人的にはかなり気に入りの良曲がそろった、強めのセットリストでした。

透色ドロップは5月2日に、4月からの約一カ月間の投票期間でファンから集めた上位10曲を披露する「透色ドロップ ミュージックアワード2022」というライブを開催するのですが、ほぼ間違いなくこれらの曲は入ってくるだろうと思います。
前回の単独ライブでも最終盤やアンコールに披露された、重要な曲ばかりです。

透色ドロップの魅力は、対バンライブの20分や25分程度という短さであっても前半と後半とで真逆の雰囲気に振り切れてしまうことだと思っています。
その変わりようは明らかで、誰が見てもそうと分かるはずです。
グラデーションなくスパッと変わります。
全16曲が一通りでなく多彩なので実現しているのでしょうし、メンバーの表現力も見逃せません。

この日ハイライトしたいのは「アンサー」、ダンスSEを挟んで4曲目に披露された曲です。
1~3曲目は「夜明けカンパネラ」「きみは六等星」といった、透色ドロップの見た目通りな可愛さやフリコピの楽しさをハイライトしたような曲だったのですが、「アンサー」では突如として空気が変わりました。

メッセージ色の濃い「アンサー」。
終わったとき、会場は静まり返りました。
物音を立てるのもはばかれるような静けさは、まるで映画館にいるかのようでした。
スクリーンを観ているときに訪れる、セリフとセリフの隙間の深い沈黙の時間。
まわりの壁や天井に吸い込まれてしまったかのように音が消えてなくなる、あの瞬間に似たものを感じました。
ネバーランドじゃない」を同じ会場で数分前に披露していたとは思えません。

単独と違って対バンライブですから、人の行き来は自由です。
パフォーマンス中であっても開けっ放しのドアからは人が出たり入ったりしていました。
ざわざわとした雰囲気はどうしたって残るはずなのですが、「アンサー」終わりの時ばかりは会場が異様な雰囲気となっていました。

ここまで空気を変えてしまったのはダンスにもあります。
メンバーのダンスは、前回観た単独ライブ「瞬間的記憶」よりも凄味を増していました。

3月5日に開催されたこのライブでは、当時7人という多めの編成でも動きが散らからずに揃っていることに驚いたのですが、この日はその上に力強さが乗っていました。

思えばこの日、メンバー登場前になりだしたSEから音が大きめでした。
「アンサー」終わりに感じた映画館のような沈黙の長さは、鳴りだした音のボリュームと、それが消えてしまったときとの溝が深かったから、というのもあったのかもしれません。
音量の大きさは、どうも透色ドロップとは不釣り合いな気がします。
メンバーの歌声は優しく、煽り以外で声を張り上げるということがありません。
爆音を鳴らすタイプからはまずかけはなれています。
ゴリゴリのロックサウンドのアイドルならまだしも、透色でこんなに出す必要はあるのだろうか。

そう思っていたのですが、「アンサー」で打ち消されました。
ダンスが伴奏に負けていません。
バスドラのドンドンと身体を打つ音と対等でした。

個別にメンバーをあげるとすると、例えば橘花みなみさん。
サビの振り付けで右腕を回すときの様子は、激しさを越えて乱暴さがありました。
遠心力に任せて回し、腕がいまにももげそうです。
動作自体は八の字を繰り返すだけのシンプルな動作なので、こちらもそれっぽく形を合わせたフリコピで真似はできますが、橘花さんほど強くは振れません。

腰を下ろしたまま斜め前のフロアをにらみつける佐倉なぎさんの表情は、いつものごとく引き締まった顔つきでしたが、場面によっては少しの笑顔をみせるときもありました。
シリアスな曲でのそうした笑顔は、単に自分がこれまで見落としていただけなのかもしれませんが、不敵さという、佐倉さんの新しい引き出しが開いたところを見たような気がしました。

少し巻き戻して1~3曲目、可愛く楽しい曲で固まった前半戦では見並里穂さんが光っていました。
フロアに向かって目と目を合わせ、楽しさが全身からわき出ています。
少なくともフォーメーション的に立つことの多い上手側は、見並さんが支配していたようなものでした。

ライブ中、ステージを観ながら意識がふと他のことに向くときがあります。
気が散っているわけではなく、「自分いま楽しんでるな」とか「やっぱこのグループ好きだな」とかいう思いが出てくるのです。
帰り道に考えるようなことを、ライブの渦中に浸るような一瞬が訪れます。
ライブを眺めている自分というより、そこから離れた別の自分の視点になっている感覚です。
ライブを観るごとに文章に残しているので、メンバーのだれか1人だけでなくて全体を観ようと心がけているのですが、こんなことを考えているときはさらに俯瞰の目になっています。

どこかのタイミングで意識におりてきたのは、「バスラツアー」のことでした。
6月に結成3年目を迎える透色ドロップは、5月末から6月末にかけて東名阪福を巡る「2nd Birthday Live Tour 『目に見えない大切なもの』」を開催します。
日程も会場も発表されています。
個人的には東京に行くことは確定しているものの、それ以外にはどうしても消極的になってしまっていました。
遠いですし、ライブのボリュームとしてはファイナル東京公演が一番厚いはずです。
正直、東京さえ抑えられればいいかなと思っていたのですが、ステージを見ながら少なくとも東京以外にもどこか1ヵ所は行こうと、そう考えが変わっていました。
見並さんの地元九州・福岡に行くこともまんざらでもないような感じです。
こんなことがよぎってしまうくらい、この日のライブは素晴らしかったです。

初めて観た9カ月くらい前から、透色ドロップのステージは観るたびに良くなっています。その集大成が3月で卒業した成海千尋さんを含めた7人での「瞬間的記憶」だと思っていたのですが、6人となった今もなお良く、3.5を越えてきています。
いま透色ドロップは新メンバーを募集中で、恐らく選考もだいぶ深まった段階にあるはずです。
邪推ですがバスラツアーは、新体制に変わるちょうど境目にあたるのではないかと思っています。
この調子ならツアーファイナルまでにさらに良くなっていくでしょう。

それまでに今の6人を見ておかないと損だという気持ちになってきています。

◆衛星とカラテア

透色の特典会を終えホールに再び入ったのは14時過ぎ、既に衛星とカラテアのステージは始まっていて、一曲目「ヒーロー」の2番サビに入っているところでした。
四拍子の一拍目に万歳するように両手をあげる振り付けが、サビにはあります。
左後ろのドアから急いで入り、目にしたフロアの光景に驚きました。
両手の波が、まるでワンマンライブかのようにたくさん上がっていました。

ときに対バンライブだとお客さんが散らばって薄まることがあり、単独ライブだったら大きな会場をいっぱいに動員できるグループでも、ある日の対バンを切り取ってみるとまばらで盛り上がりに欠けることがあったりもします。

衛星とカラテアは、先日1stワンマンライブを開催しました。

もともとO-nestで開催の予定でしたがコロナの関係で日程変更、さらに会場はO-WESTへとグレードアップをしました。
キャパがじつに2.5倍になっています。
日程変更からライブまでは日が開きませんでしたが、それでもワンマン当日のフロアはいっぱいに。
結成まだ1年にも満たないグループとは思えないほどの人気ぶりでした。
その時は単独ですからフロアの方は皆衛星とカラテアを観に来ているわけで、フリコピやジャンプがいたるところで起こっていたのですが、一方この日のストリームは対バン。
にもかかわらずワンマンに負けないくらいのフリコピでした。
その光景はまるでO-WESTのリプレイかのようでした。

カラテアメンバーの着ている衣装はトップスがジャケットタイプで、上半身は結構締まっています。
動いたときに衣装が膨らんで実体以上にシルエットを大きく見せる...なんてことが期待できなく、今回のようなステージが広い会場では動きが小さく見えてしまいそうなものです。
しかもジャケットの色は真っ黒と、ストリームの背景と同化しています。
そんな状況でも、衛星とカラテアメンバーはステージ映えしていました。
すらっと伸びた手や腕にその答えがあるのかもしれません。
初見のライブで感じた「古武道感」というイメージは、何度かステージを観た今でも変わらずにあります。

ワンマン後のライブレポに書ききれていなかったことを、この日思い出しました。
ギアが入ったときの大槻りこさんの歌声が強烈です。
「ヒーロー」とともにサビのフリコピが楽しく盛り上がる曲である「Hello World」の冒頭は、静かに始まります。
サビからは想像つかないほど静かですが、Aメロ前に静けさを打ち破るのが大槻さんの歌声です。
「そして宇宙(そら)の果てまで」
語尾にかけてのシャウトでパーカッションや伴奏が目を覚ましてAメロへと入っていきます。
ハイになるサビへかかる重要なブリッジが、大槻さんの歌声でした。

◆かすみ草とステラ

一つのメロディーの中で同じ動きを繰り返したり、左右で補完するような動きになっていたり、次の展開が予想しやすい振り付けが多く、どの曲もフリコピがしやすいです。
素人がついていけないような難しさはどこにもありません。

「かすてら」を観るのは個人的には1カ月ぶり2回目なのですが、恥ずかしながらまだ曲をちゃんと把握できていません。

何事にも順序があると思っています。
ライブを心から楽しみたいのであれば、まず曲を知ることがファーストステップだと思っています。
まず曲を押さえないと本当にフロアに溶け込めたとは言えないですし、メロディーや歌詞を刷り込んで初めて楽しいと実感できる。

こう書くほど堅苦しいものではありませんが、元来ライブとはそういうものだと思っていたので、これまで初見グループを観る前にはできるだけ予習をするようにしていました。
アイドルのライブでは、ただ右手をサビに合わせて上げていれば良いバンドのそれとは違い、フロアにも様々な動きを求められます。
クラップやちょっとしたフリコピなどです。
楽しみ方は人それぞれですし、ここに強制力などありませんが、曲を理解しただけでなく代表的な振り付けまで分かっていないと、いざライブとなったときにメロディーには乗れていても取り残されたような寂しさを感じてしまうのは事実です。

そういう意味で言えばまだよく知らない「かすてら」のライブなど置いてけぼり感を味わってしまいそうなものなのですが、不思議なものです。
勝手に考えていた順序はあっさり崩れました。

タイトルも知らない曲を見よう見まねでフリコピをしている最中にやってきたのは「楽しい」という感情だけでした。
フリコピしやすいとは言えど、ともすると周りがみんなやっているから仕方なく..みたいになってしまいそうなのですが、実際にはライブが楽しくて仕方ありませんでした。
次に観るまでは流石に曲を覚えようと思っています。

続くグループも、かすてらとは音楽の方向性こそ違えど、振り付けの楽しさでは共通していました。

◆ベンジャス!

6人組のベンジャス!こちらもほとんど初見でした。
「日本一フリコピしやすいグループ」をコピーに掲げています。
振り付けは一目見ればざっくりとは追いつける感じで、言う通りフリコピはしやすいです。
でも全てを終えたときに確かな疲労感がありました。
しやすいけれども簡単ではないラインが絶妙です。

高梨螢さんは緩衝材を一つずつつぶしていくようにフロアの一人一人とコンタクトを取っていました。
「同じ空に」のソロパートを歌う浅倉うみさんの低音が心地よく、長いこと聴いていたかったです。

◆Pimm’s

対バンライブの20,25分程度の持ち時間だと、ノンストップでのパフォーマンスは珍しくありません。
水も飲めないまま4,5曲動きっぱなしというのはメンバーにとっては大変でしょうが、なにせ曲を止めないので勢いを止めずにいられます。
変に途中で告知コーナーを挟んでしまうより、体力を削りながらでも押し切ってしまうほうが印象付けとしても効果があるのかもしれません。

この日のPimm’sは、トークを途中に挟んでいました。
というか、対バンライブではノンストップで行くパターンはほぼない気がします。
体力的にはノンストップなんて余裕でしょうし、ロックアイドルを標榜するライブスタイルにはそのほうが合いそうなのですが、意外にも少ない。
これは逆に、どんな状況でも盛り上げられるという自信から来ているのかもしれません。
一旦冷まして汗を引かせてしまってもMC明けでまたすぐに着火できる、そういうグループです。実際この日もそうでした。

MCの直後は、メンバーがサイリウムを握り、振り付けにヲタ芸などがある「うりゃおい」でした。
メンバーが中央に集まって右手のサイリウムを重ねるところから始まるのですが、メンバーの顔を観ながら高橋真由さんがニヤリとしていました。

音響との相性がとりわけよく感じたのは早川渚紗さんでした。
難しい高音を出すときでも口角が上がっているのがよくわかるくらい笑顔が目立つ早川さん。
早川さんの笑顔を見ると安心します。
声の聴こえ方としてはかなり高めで、ピンクのサイリウムとよく合います。

ラップパートの多くを担当する川崎優菜さんは、MCの時や自らのソロパートでも自分のリズムに従っている感じがします。
Pimm’sメンバーとして活動してもう7年近く、余裕を感じます。

ラストは「BOY MEETS GIRL
ラスサビでは両端に並んだ川崎さんと小山星奈さんが高らかに鳴らし、そのあとを高橋さんが半音上げて続きます。
改めて、良い曲だと感じます。
歌唱力を要求される曲ではありますが、どのメンバーも同じくらい高いレベルのPimm’sだからこそ響いてきます。

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