【ライブレポ】20220211 ソノウチ
2月11日(金祝)、恵比寿CreAtoにて「ソノウチ」が開催されました。
全6組の出演のうち、3組のみピックアップして書きます。
◆イートイン
2021年12月にデビューしたイートイン。
5人組グループですが、井咲由衣さんが学業のためこの三連休はお休みとのことで、初めての4人でのパフォーマンスでした。
前回観たのが、ちょうど一カ月前に渋谷ストリームホールで開催の「ミュージックパーク」。
デビューからまだ日も浅いのにも関わらず、メンバーのステージさばきは落ち着き払っていました。
その上、広いステージを自分たちのものにしていて、ワンマンライブに居合わせたかのような感覚がありました。
曲は非常に洗練されているのですが、その一方で親しみやすさがあります。
メンバーの歌声の出し方で上手いと思うのは、いわゆる中声からピッチが上がるところの切り替え。
持ち曲はまだ5曲なので、セットリストのバリエーションは少ないものの、メドレー形式にしたり、同じ曲を連続させたりと目先を変えて来ています。
今は苦し紛れの策かもしれませんが、初見だったり観た回数が浅い段階だと非常に頭に入ってきやすくありがたいです。
どの曲も引きが強いので、二度聴いても飽きがきません。
この日は、初めましてだった渋谷ストリームと似た曲順でした。
つま先立ちになる振りが効いている「SILENT VOICE」に始まり、「Summer song」「Cranberry Shine」で締める流れ。
「Cranberry Shine」で手拍子を打つところでは、山村伶那さんと小林瑞希さんがリズムに合わせて手を合わせていました。
ようやくクラップや振り付けがなんとなく頭に入ってきてステージと一緒に楽しめるようになってくると、「Cranberry Shine」「Summer song」の質の高さをより感じます。
最後に持ってこられるとふと現実を離れ、やってくるのは充実感です。
「knock knock knock」はMCを挟んで二度披露されました。
変わり種セットリストの一環です。
途中アクシデントで伴奏の音が消えることもあったのですが、ここで動じなかったのも、完全生歌だということを意図せずアピールするような形になったのではないでしょうか。
ところで、「ソノウチ」も前回観た「ミュージックパーク」も、企画・主催は「ジ・ズー」。
イートインの所属事務所でした。
だからなのか、幕間BGMや特典会時のBGM等にイートインの曲がかかっていました。
やけに耳にしたのが「knock knock knock」。
すっかり刷り込まれてしまいました。
イートインは、あとはどういった対バンライブに出ていつ見つかるか次第だと思っています。
間を置かずまた観たいグループです。
◆BLUU
一曲ごとにタイトルを告げながらの始まりでした。
全くもって前知識が無かったのですが、強烈なグループを見つけてしまった気分です。
エレキギターを鳴らす振り付けがあり、サウンドもロックテイストのようです。
鈍重なラップをひねり出す逢坂はつねさんの存在感が強く、比べるものではないのかもしれませんが、Pimm’sを彷彿とさせるようなグルーヴ感を生んでいました。
他のグループを見ていると結構被せが入りがちなサビでも、テンポが速い振り付けの動作を減らさず被せも無しに歌い切っていました。
相当のライブをこなしてきたのでしょう。
凄すぎます。
印象的だったのが、ラスト「ループが止まらない」。
雪咲みうなさんが下手端からセンターに向かって綺麗に曲がりながら始まる歌いだしから、ただならぬ雰囲気を感じました。
本領発揮のようです。
切り裂くようなブレスをマイクに乗せるところが、情熱的と一言で現わすにはもったいないような、差し迫った感じを生んでいました。
◆Fragrant Drive
M1 胸の奥のVermillion
M2 Dance Flight
M3 Snow Dust
M4 ふたりのストーリー
M5 Stay Gold
SEや曲に合わせて自在に点灯していた照明は、ステージに影を落として衣装の輪郭をはっきりとさせていました。
暗がりの中で正対すると、伊原佳奈美さんの消えた表情は影が付いて非常に良いです。
この日は、一曲目「胸の奥のVermillion」から板橋加奈さんが自然な優しい笑顔でした。
この日は、「Dance Flight」と「Snow Dust」にスポットを当てて書いてみます。
M3「Dance Flight」
一週間前のライブレポでは、片桐みほさんの歌いながらの表情が刺さってくると書きました。
今までとは違うと思っていたのですが、実際そのようで、ここ最近意識して表情や仕草を変えてきているとのことでした。
普段はMCでの立ち位置である下手側へのアピールが多めなイメージなのですが、この日は下手のみならず上手にも向けられました。
配信用に設けられた両サイドのカメラに向かい、舌を出しながらの挑発的な表情です。
そして、辻梨央さんの落ちサビです。
ひとりでは唄えない ひとりでは届かない
ひとりでは叶わない ずっとひとりのままでは...
ひとりのままでは...」と最後のフレーズをギリギリまでロングトーンで伸ばした末、辻さんは「歌い切る直前にその音を1,2個分上げました。
文字に起こすと「ひとりのままではーーー⤴」のようなイメージでしょうか。
昨2021年10月のライブ映像の当該箇所でも、最後の最後にロングトーンをホイッスルボイスくらいの音域にまで上げています。
この日はより意図して音を高くしたような感じで、音が階段を上がったという区切りがはっきりとわかりました。
どうしてこの出し方をしていたのでしょうか。
聞けばこれは、レッスンで生まれた偶然からきているそうです。
歌いながらつい上ずり気味になり「あっこれ裏返るな」と思いつつもそのまま伸ばしきったら、案外メンバーからは好評だったと。
一見失敗かと思ったけど「その出し方いいじゃん!」となり、そこからはあえて本来の音程を外すようなロングトーンにしているとのことでした。
音程は絶対に揺るがないという信頼感が、辻さんにはあります。
音感もあると思うのである程度自在に動かせるのでしょう。
ただ、正確だからこそあえてリミッターを外したところを観たいという思いもありました。
そうなったライブにはもう手が付けられないだろうと。
「Dance Flight」のロングトーンでは、そんな願いが少しだけ実現した気がします。
M4「Snow Dust」
「ふたりのストーリー」、「Stay Gold」、さらにこの「Snow Dust」。
三田のえさんの落ちサビパートがある曲が、この日のセットリストに多めに入っていました。
「Snow Dust」では、落ちサビだけでなく歌いだしのソロまで任されています。
「夜に降る雪 足跡消して どこから来たか わからなくなる」
ソロに入ると、三田さん以外のメンバーはその場で止まり、落ちサビに関しては4人は腰をゆっくり下ろし、三田さんだけがステージに立っているという状況になります。
恋愛ソングであるこの「Snow Dust」。
歌詞に織り込まれている「寒空」「夜に降る雪」などというワードは、孤独で独りぼっちな様子を思い起こさせます。
フォーメーション上で他の4人が特段リズムを合わせることもなくただただ沈黙し、三田さんだけがスポットライトを浴びる。
このシチュエーションは、歌詞の世界そのままのようです。
4人が動かなければ動かないほど、三田さんが絞り出すように歌えば歌うほど、この曲は完成に近づいていく気がします。
そして落ちサビを経ての大サビ。
心から想うのは 君のことだけなの
からまわる この想い まるで溶けた硝子ね
一段とボリュームが増したのが、このパートでした。
この日の全5曲を振り返っても、一番の声量だったように思います。
上手側にいたのでそちらに目線が行くのですが、目を閉じて詞へ溶け込んでいった辻さんと板橋さんの表情がいつにも増して良かったです。
板橋さんに至っては入り込んでいるからなのか、直後5人で横に並び右手を下ろすパートでは皆より半歩前に出てきているようにさえ見えました。
以上がライブレポになります。
このレポを上げたのは2月13日ですが、この日は三田さんの20歳の誕生日でした。
ときに色々背負っているように見えてしまい、板橋さんの言うようにそんなに無理しなくても...とは思うのですが、アーティスティックな感性が強い三田さんに対しては何を作り出してくれるのだろうと期待してしまうところもあります。
ともあれ、お誕生日おめでとうございます!