見出し画像

【ライブレポ】転校少女*Live Tour 2021 "Girl*s Spring" 【ファイナル東京公演】

5月16日(日)に、恵比寿LIQUIDROOMにて開催された表題のライブに行ってきました。
5人組アイドルグループ・転校少女*の2021年春ツアー、「Girl*s Spring」のツアーファイナル公演です。

転校新体制紹介

新宿ReNYでの初日公演を皮切りに全国6都市(東京、甲府、福岡、札幌、大阪、名古屋)を巡るツアーでしたが、コロナの関係で延期となった大阪公演以外は無事開催され、最終日に東京に戻ってきました。

二部開催で、僕は一部と二部に行ったのですが、あえて分けずにまとめて書き連ねていこうと思います。

【見出し】
・音の粒を浴びるような感覚
・オリジナルメンバーによるアコースティックコーナー
・自分たちの色を出している新メンバー
・もう研修生ではない
・春ツアーを終えて

・音の粒を浴びるような感覚

この日の会場、恵比寿LIQUIDROOMはキャパシティが1000人弱で、この春ツアーで訪れた会場の中では最大の規模でした。
会場の大きさによるものなのでしょうか、この日はメンバーの歌声から放たれる音の粒がステージからフロアに拡散し、霧状となってこちらに降ってくるような感覚を受けました。

転校少女*の曲はキーが高いため、こと狭いライブハウスなどでは音が刺してくるようなイメージを受けるのですが、細かい粒となって降ってくる歌声は、それはそれで快の気分をもたらしてくれました。

浴びるような音の気持ちよさは、しかしメンバーのボーカルがあってこそのものです。
ここからは、各メンバーへのコメントへと移りますが、まずは転校少女*のメインボーカル二人について書いていきます。

・オリジナルメンバーのアコースティックコーナー

メインボーカルの松井さやかさんと塩川莉世さんは、グループ結成当初からのオリジナルメンバーであり、高い歌唱力で転校少女*を引っ張っています。

そんな二人の大きな見せ場が、転校少女*と縁の深いアーティストを迎えてのアコースティックコーナーでした。

この日は、キーボードに吹野クワガタさん、ギターにひぐちけいさんを迎えた豪華なセットで、松井さん塩川さんの「さやりせ」デュエットに始まり、それぞれのソロ、そしてメンバー全員での1曲歌唱という流れになっていました。

まずは、松井さやかさんについて。

松井さんは発声が強めなのですが、その歌声はマイクを通すことによって抜けが良く聴こえました。
冒頭に書いた「音が降ってくるような感覚」は、松井さんのソロで際立っていたように思います。

後述しますが、この日メンバーは過去衣装を着てのパフォーマンスでした。
二部のアコースティックコーナーでは、松井さんは過去の定期公演時の劇場衣装だったという黒のパンツ衣装を着ていましたが、このスタイルで歌う「ロシアンルーレット」には、前をまっすぐ見据えた表情との合わせ技でカッコよさがありました。

そして、塩川莉世さん。

塩川さんの歌声も、様々な形容のしがいがある魅力的な声です。
松井さんに劣らずブレスが強めなのですが、塩川さんの歌声にはより残響感があります。
各パートの歌い終わり、音が途絶えたと思ったら残っているという感覚です。

そんな二人のデュエットコーナーでは、個性的な二つの声が混ざり合うことによる化学反応を見ました。
二人は表現に様々な工夫をこらし、例えば地声/裏声を意図して使い分けたり、主旋律に綺麗なハモリを乗っけたり、一番の盛り上がりとなるラスサビではあえてユニゾンで歌うなどしていました。

グループ結成当初からの長い付き合いで、お互いの声を知り尽くしたであろう二人の音のやり取りを見ていると、途中からはまるでプロのキャッチボールを見ているかのように思えてきました。
二人は、硬式ボールのように音を自在に扱っているように見えるのですが、歌声の伸びがすさまじいです。
軽々放りながらぐんと伸びる感じが、プロの送球と重なって見えました。

・自分たちの色を出している新メンバー

しかし、転校少女*のライブを光らせているのはオリジナルメンバー2人だけではなく、今年加入の新メンバー3人の存在も大きいと思います。

佐々木美紅さん、成島有咲さん、佐藤かれんさんの3人は、2021年1月に転校少女*に加入しました。
3人の溶けこみの速さには驚くばかりで、まだ加入数カ月しか経っていないとは思えません。
これまでのライブレポでも、まとめやすさから3人のことを「新メンバー」とは書いていますが、もう新メンバーだなんて呼ぶのは失礼なのではないかと思うほどの活躍ぶりです。

ただでさえ松井さん塩川さんの歌唱力は出色なわけで、大いに比べられてしまうところもあるかとは思うのですが、3人はしっかりと食らいついていっています。
食らいつく、という言い方も微妙かもしれません。
高いパフォーマンスはそのままに、3人が3人ともそれとわかる個性をはっきりと出しています。

ここからはそんな新メンバーについて、一人づつ書いていきます。

佐々木美紅さん

佐々木美紅さんは、これまでのライブレポでもダンスの上手さについて多く書いてきました。
ソロダンスをすでに複数任されていますし、本人としてもダンスに絶対の自信があるようなのですが、ボーカルも特徴的で、鼻にかかったような歌声です。
佐々木さんは積極的に裏声を使っていますが、こうした歌い方もまた他にはあまり見られません。

続いて成島有咲さん。

冒頭で、メンバーのボーカルについて「霧状になって降ってくるようだ」と書きましたが、その中にあって成島さんの歌声は芯を食っていました。

この日、二部の一曲目はいきなりの盛り上がり曲である「TRIGGER」でしたが、ここでの「リアルを撃ち込めば」という成島さんソロパートは、目を冷ませと言わんばかりの鮮烈さでした。
引っ張ったテグスのようなイメージです。

バラード系の「She’s Rain」という曲の2番出だしでは、センターに立ち長尺のソロパートを歌っていました。
まだ立つ機会が少ないセンターの位置でも堂々たる振る舞いでした。

確たる自信があるからなのでしょう。
MCなどパフォーマンス以外の話に一旦移りますが、成島さんはよく「自分が一番かわいい」と言っています。
現在のビジュアルに至るまで努力を重ね、一時期より14kgもやせたとのことで、これには尊敬しかないですし、先のコメントにもおっしゃる通りと思う部分も大いにあります。
ビジュアルだけでなく、歌やダンスなど努力によって得た自信は、いざステージでセンターに立った時にも揺らぐことはないほど強いのだなと、このソロパートを観て感じました。

また、成島さんはMCでも良い立ち回りをしています。
ここ最近のMCトークでは、成島さんで「オチ」となることが多いような気がします。
ツッコミどころでいうと、塩川さんも天然?というか無軌道な感じはあるのですが、塩川さんともまた違った面白さがありますす。
そうしたこともあってか、このツアー中ぐらいからは、成島さんが喋るときに「ここで落としどころなんだな」という不思議な安心感を覚えるようになりました。

佐藤かれんさん

アコースティックコーナーの全員歌唱曲は、一部と二部それぞれ「step by step」と「WOW WOW TRAIN」だったのですが、ざっくり言うと前向きなこの2曲に佐藤さんの笑顔がよく合っていました。
常々言ってはいることなのですが、佐藤さんはライブ中のどこを切り取っても表情が良いですし、パフォーマンスでもこのツアーで相当伸びたように思います。

二部のラストの「WONDER WAVE!」、これはオーラスの曲でしたが、ここでの佐藤さんのソロ「その笑顔が僕をそうさせるから」はとりわけ強く響いていました。
2回こなしたライブの最後の曲でここまでの声が出るとは驚きです。
マイクへの声の乗りがもともと良いこともあるのだと思いますが、それも含め、佐藤さんにはまだまだ隠されたポテンシャルがある気がしています。

メインを張るオリジナルメンバー2人の歌声は高音がよく響くので、地声が低めで、低音域が強そうな佐藤かれんさんの声はこれからも存在感を放っていくでしょう。

・もう研修生ではない

この日のMCでは、新メンバー3人が過去着ていた「研修生」衣装についてのトークが広げられました。
3人を加えて新体制となったのが2021年1月であることは先述の通りなのですが、初お披露目はそれより2カ月前の11月、グループの6周年記念ライブにてでした。

初お披露目から新体制発足までの2カ月間、新メンバーはレッスンをしつつもスポットでライブに出演したり特典会の手伝いなどをしていたのですが、この時の衣装は「Transfer Girls(転校少女)」とプリントされた黒のロンTに、チェックのスカートというセットアップでした。
松井さんら他のメンバーは曲の衣装を着ている中で、新メンバーはどの曲の衣装でもない、いわば研修生衣装だったわけです。

この思い出話の中で、メンバーの誰かが口にしていたのが「今その研修生衣装を着たら違和感があるのではないか」ということでした。
僕としてもこれには強く同意するところです。
研修生衣装だったのはまだ数カ月前のことですから、今着たところで見た目としてはあの頃とほとんど変わっていないでしょうが、それよりもライブの数々で塗り重ねた自信など見えない部分での成長は急激で、これと衣装とを隔てるギャップは確実に大きくなっているはずです。

新メンバーについて長々とここまで書いてきましたが、こうして様々な角度から賞賛の言葉を書きたいほどに3人は輝いています。

・春ツアーを終えて

このツアーファイナル公演は、増していく新メンバーの頼もしさを感じるなど、転校少女*の明るい未来を見通すようなライブでした。

と同時に、結成から6年半というグループのこれまでの道のりを振り返るようなライブでもありました。

この日のセットリストは、序盤が「転校少女*」の前名義「転校少女歌撃団」時代にリリースされたいわゆる「初期曲」で固められ、アコースティックコーナーを挟んだ後半では「転校少女*」時代の曲が多くを占め、本編ラストは一部が「リバース・エイジ」、二部が「春めく坂道」という最新シングルの収録曲で締めくくる構成になっていました。
セットリストを追うことにより、結成当初から現在に向かっていく流れを垣間見ることができます。

さらに衣装も、「過去衣装着まくり!」と事前に告知していた通り、衣装チェンジが複数回あり、しかも基本は5人それぞれ別時期の衣装を着て登場しました。
公式アカウントからライブ画像を拝借したこの記事の見出し画像で、メンバーの衣装がバラバラなのはこのためです。

どこかのタイミングで、成島さんがひとりだけ最新曲「春めく坂道」の衣装で登場したのですが、他のメンバーが過去衣装を着ている中だと浮いてしまうような構図になっていました。
成島さんでオチが来る、と書きましたがここでもしっかり落ちています。

また、先述の研修生衣装の話も含め、MCでは過去衣装にまつわる思い出話がいくつも飛び出しました。
僕自身、転校少女*のライブに行くようになってからまだ半年程度で、過去衣装どころかその頃についてはほとんど知りません。
転校少女*を守ってきた松井さんと塩川さんによって語られる数々の過去エピソードは、その知らなかった頃の空白を多少なりとも埋めてくれました。

ーーー

コロナの影響により、大阪公演は延期となってしまったのですが、一旦はこれでツアーも終わりとなります。
たった一カ月とは思えないほど、その間色々ありましたが、ひとまず無事に完走となったのは何よりです。

転校少女*は5月中の残り日程はライブをお休みし、6月からライブを再開します。
6月には、誕生月を迎える松井さんと成島さんの生誕祭など、主催公演を主としていくつものライブが既に予定されており、今後の展開も楽しみです。

見出し画像:転校少女*ツイッター公式アカウント(@tenkoushoujo)画像を改変


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集