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【ライブレポ】リルネード冬の東名阪ツアー 2021 東京公演

2021年12月26日(日)、3人組アイドルグループ・リルネードが「冬の東名阪ツアー2021」東京公演を開催しました。

・リルネードのためのセット

リルネードのワンマンライブに初めて行ったのが、2021年6月に開催された北関東ツアーのファイナル公演でした。
その時驚いたのが、メンバーが登場する前からすでにリルネードの世界観が出来上がっているということでした。
会場のTSUTAYA(今ではSpotify)O-WESTのステージ上にはまるでお姫様の部屋かのように真っ白な可愛らしい垂れ幕が掲げられ、その上にはこれまた白い風船の数々がしつらえられていました。
本来無機質なはずの真っ暗なステージが、リルネードのために華やいでいました。

こうした仕掛けは、この日の会場、恵比寿LIQUIDROOMにもありました。
ステージ上の白い垂れ幕は数を増していました。
フロアとステージを隔てる幕だけでなく、その奥にも大きな3枚ほどの白い垂れ幕がありました。
これだけではありませんでした。
フロア中央の天井に括りつけられたミラーボールから何本かの白いレースが伸びていました。
北関東ツアーよりも豪華になっている気がします。
その真下にいると、アイドルのライブというよりも高貴なパーティーに招待された気分でした。

また、リキッドルームのフロア中央部分は、出入り口の扉から数段階段を下りたところにあり、両サイドや後ろの小高くなった段に囲まれて、全体的に盆地のようになっています。
この日はそのサイドや後ろにもお客さんがいました。
その効果は意外な所で感じました。
曲の終わりやメンバーのMCコメントの間など、区切りにはいるたびにいつも拍手が鳴らされます。
この日は後ろや横からなど様々な角度から拍手が降り注ぎ、ステレオに聴こえてくる音は会場を一つにまとめているように感じました。

定刻を過ぎ、メンバー登場を告げるOvertureが流れるのかと思いきや、ワンクッションが挟まれました。
フロア下手側の壁にある小さなスクリーンに、突如映像が映し出されました。
すっかり忘れていました。
毎回ではないでしょうが、リルネードのワンマンライブは凝った動画から始まります。

7月の末に開催の2周年ライブでも、メンバーの登場に先だってメンバー紹介のVTRが流れていました。
以前は「フォークソング」からの抜粋でしたが、今回はその時の最新曲「恋愛ちゅー」からショットを抜き出し、あるいはこの日のために撮りおろしたのか、長めの動画が3人のメンバーを丁寧に紹介していました。

やがてスクリーンが暗転し、「Overture」が鳴り始めるました。
PV風の映像はメンバーのビジュアルを紹介してくれましたが、この「Overture」はリルネードの曲をひとまとめに凝縮しています。
ブラス隊が賑やかに鳴らすメロディーは身体を揺らし、自然と裏拍の手拍子を打ちたくなります。
このリズミカルな拍子は、リルネードの曲を語る上で欠かせません。

直近に観たリルネードは対バンライブでしたが、その日は蔀さんが不在と二人きりでのパフォーマンスでした。
大前提として、どのグループアイドルでもフルメンバーではない状態は、元々が何人であろうと寂しく見えてしまいます。
ただ、リルネードの場合はことさらに、それぞれの声質やパフォーマンスの方向性が重ならず、替えがききません。
技量ということではなく、誰かが欠けたときに、そのメンバーが持つはっきりとした個性を埋めるのはなかなか難しいのでしょう。
慣れない歌割で補いあいながらのパフォーマンスは良かったのですが、この日改めて3人のライブを観てしまうと、これに敵うものはないと思ってしまいました。

ここからは多少具体的に、各メンバーやシーンについて印象的だったところを書いていきます。

・演技力

曲を聴いているだけだと分かりにくいのですが、リルネードの曲は1番と2番とで雰囲気が変わることが結構あります。
1番の初めに流れを作り、サビで一端の盛り上がりを見せた後、そのままの流れで行くのかと思いきや、2番Aメロだとふとトーンが落ちるというパターンが割とあります。
音の数は明らかに減り、照明の明るさは絞られます。

そういう展開でなくとも、ストップモーションかのように数秒間止まったままという振り付けも結構あり、ライブに緩急がはっきりとしているイメージがあります。

こうした場面で目につくのは、リルネードメンバーのいわば演技力です。
静止したままのメンバーを観ていると、止まりながらもただストップしているのではなく、何かしらの演技を付け加えていることがわかります。
止まっているように見えても、着実に物語が進んでいます。

MC後、メンバーの曲振りから移った「フォークソング」では、オレンジ色の照明が視界をぼかしました。
決して眩しいほど強くたかれていたわけではないのですが、目の前に光の環ができたようで、幻想的な景色が広がっていました。
この曲ではメンバーの歌い方も変わり、音量を出すというよりもこもるような感じになっています。

・桐原美月さん

桐原さんのコロコロ変わる表情には、これまで相当やられてきました。
この日は、いままで以上のものを観た気がします。

個人的にすごく好きな場面が、「ラビンNν」での間奏です。
桐原さんがセンターにやってきて、栗原さんと蔀さんがその横につきます。
2人はお人形さんのように桐原さんを可愛がり、桐原さんもまんざらでもないような表情をするのですが、その直後、ソロダンスに入る前、桐原さんの表情は180度かわります。
すましたような表情になるのですが、ここのシーンは以前観たときとはまた違うように感じました。

単に表情を消すだけでなく、自らが今全ての注目を浴びているという意識から「魅せる」ほうに寄ってきているように思いました。

リルネードのライブでは、曲中にストップモーションになることがことのほか多いと、先に書きました。
桐原さんはここでの表情も素晴らしかったです。
積極的にグラビアの仕事をして活躍の場を広げている桐原さんですが、グラビアで鍛えられたのか、静止の画にだいぶ強くなっているのかもしれません。

そしてもう一つ。
横目でフロアと目を合わせる時、桐原さんはフロアに近いほうの目ではなく、遠いほうの目で観てくる気がしました。
例えばフロアに左顔を向けているとき、左目で見てくるのが普通なはずですが、右目の方で観てくるというような感じです。
だから何だということではあるのですが、仮に意図してこの視線の送り方をしていたら凄いと思いますし、桐原さんのこと、意図していそうな気がします。

・蔀祐佳さん

「バックダンサーとして立った幕張よりもここが広く見える」
自分たちのためだけに集まったフロアのお客さんを眺めながら、蔀さんは感慨深げにこう言っていました。

蔀さんの出す高音は、こちらの耳に不思議なエフェクトをかけてきます。
どんなテンションの曲であっても、蔀さんの消え入りそうな、でも消えない高音が聴こえてくると途端に切なさが襲ってきます。
これは本当に不思議です。

蔀さんは、表情もまた豊かになっているように思います。
半年前の北関東ツアーから明確な進化を感じます。

・栗原舞優さん

ダンスという点では桐原さんのほうが目立ってしまうところがどうしてもありますが、栗原さんの動きは激しくとも安定しています。
ライブの後半に向かっていくにつれ、歌う姿勢は前かがみになっていきました。
栗原さんは歌も本当にぶれがなく、リルネードの核たる「かわいさ」と、ライブアイドルに必要な「生歌」を見事に両立させています。

「手上げて!」「踊って!」
栗原さんが叫ぶ煽りの言葉は短いです。
しかし、このフレーズだけでも効果的にフロアを盛り上げます。

・サルネ?

ライブの中身について少し触れます。
アンコールを呼び込む拍手の後、下手側のスクリーンに映像が映し出されました。
どうやら舞台は会議室で、社員とリルネードメンバーの話し合いの場面のようです。
20年代のオシャカワ」をコンセプトに、一貫したテーマで活動してきた3人ですが、今一度説明したところ「こんなので売れないよ!」と社員に一蹴され、メンバーは泣き出してしまいます(小芝居です)。
この場には「ののたP」ことプロデューサーの元虹コンメンバー・奥村野々花さんが同席していました。
困り果てたメンバーは奥村さんに「ののたPの好きなようにしてください!」と泣きつき、Pの手元には「ワオキツネザル」の写真が。

続いて画面には、「リルネード」のグループ名がドンと表示されました。
続いて「リ」の文字に横棒が一本入り、現れたのが「サルネード」。

戸惑いの雰囲気のまま、スクリーンでは「サルネ!」のMVが始まりました。
事前に告知されていた新曲の初披露が、ここにやってきました。
ワオキツネザルのような恰好をしたメンバーの方にはおさるさんがのっかっています。

現地でこれを観たときには正直面食らっていて、一見コミカルソングかなと思ったのですが、しっかりと「可愛い」ほうに引き寄せているところが流石リルネードだなと思います。
まだ曲が頭に入っていないので多くは語れませんが、「フォークソング」や、王道恋愛ソング「夏のレコードがまわりだす」「恋愛ちゅー」のどれとも見事に被らないスタンスの曲です。
本人たちもMCにて、リリースごとに変わる曲の路線について口にしていましたが、最終的にはどの路線であっても似合ってしまうのだからすごいです。

尻尾がついたり、足跡?が後ろに着いたりしている猿の衣装も曲もじきに見慣れるのだろうなと思います。

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最新曲を含めた持ち曲全てを披露した全17曲のライブはこれにて終わりました。
最後までメンバーの歌の勢いや声量は落ちませんでした。
相当練習してきたのだろうなと、半年間での体力のつき方にはこれまた驚いてしまいます。

結成3周年を迎える2022年に向け、リルネードは一つの目標を掲げています。
それが「ゼップでのワンマンライブ開催」です。

いよいよXデーが近づいてきているのかもしれません。

見出し画像:リルネード(@rirunede)公式ツイッターアカウント画像を改変


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