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【ライブレポ】サンダルテレフォン定期公演 "エス・ティー" vol.5

2月12日(金)に恵比寿CreAtoにて行われた表題のライブに行ってきました。
楽曲派アイドルとして一部アイドルファンの間では話題となっている4人組アイドルグループ・サンダルテレフォンのライブです。

サンダルテレフォンの定期公演は月一のペースで開催されており、前回の「vol.4」は1月中旬に開催されたのですが、このときは緊急事態宣言の煽りをうけ、急遽開催が前倒しとなったため都合のつかなかった僕は行けませんでした。

そのため、個人的には2カ月ぶりの定期公演でした。
それまでリリースイベントや対バンライブに行ってはいたものの、しっかり時間をとったワンマンライブというのは格別のものがあります。

セットリストはこちら。
いつもと同じくファンの方のツイートを参照しています。

M1. Step by Step
M2. Follow You Follow Me
M3. 真夏の匂い
M4. Sleeping Beauty
M5. コーリング (Kenichi Chiba Remix)
M6. Sleeping Beauty Remix ver.(初披露)
M7. かくれんぼ
M8. SYSTEMATIC
M9. Magic All Night (Kenichi Chiba Remix)
M10. Shape the Future
M11. ワンダーランド

カチッとはまる歌声

ライブを通し、色々書くべきポイントはあるのかなと思うのですが、今回特筆したいのはメンバーの歌声の重なりです。

今までのライブレポではメンバーのソロパートなど「個」の部分にフォーカスを当てて書いていました。
確かにメインボーカルで引っ張る小町まいさんはもとより、今日は特に歌声が響いていたように感じたサブボーカル・夏芽ナツさんの高音は会場すみずみまでに浸透していくかのようになめらかに伸びてきていました。

歌割の多い二人だけでなく、「かくれんぼ」のソロパートはじめ難しい音程のパートを歌い切った藤井エリカさん、「SYSTEMATIC」などのソロパートで存在感を放つ西脇朱音さんの声にも磨かれた良さがあります。

この定期公演のタイミングでは無いのかも知れませんが、音源からは歌割も少し変更されたような気がしていて、これによって藤井さんと西脇さんの声がよく聴こえました。

ただ、今回思い知ったのは、「個」だけでなくハモリやユニゾンの厚さもかなりの魅力だということでした。

例えばメンバー2人での主旋律と副旋律でハモりパートがあるとき、その節々にそれぞれのパートを担当するメンバーの歌声を感じつつ、二つの音が重なってそれこそ「ハモリ」という一つの和音として聴こえます。
この和音の響きが、ずっと聴いていたいほど綺麗です。

ハモリ自体はどのアイドルの曲でもあることで、このこと自体は別に珍しくもないのですが、サンダルテレフォンメンバーの歌声の場合は、特に複数の音が合致している割合が高いように思え、複数の基材が緩く繋がっている状態ではなくツメによってカチッとハマっているかのような気持ちよさがあります。

メンバー内どの組み合わせでも綺麗な和音が成立しているところも素晴らしく、特に夏芽さんの歌声は他のメンバー3人との親和性が高く、まるで界面活性剤のように誰の声でも非常によく溶かしこんでいるように聴こえました。

「Sleeping Beauty」リミックス初お披露目

今回の定期公演のトピックスは、既出の曲である「Sleeping Beauty」のリミックスバージョンの初お披露目でした。

これまでサンダルテレフォンは「コーリング」「Magic All Night」と立て続けに既出2曲のリミックスバージョンを披露してきており、これらは今年1月にリリースの1st EP「SYSTEMATIC」に収録もされていました。

既存の曲のリミックスというのは時に単なる焼き増しにしかならないこともあり、賛否分かれる所ではあるのですが、こと「コーリング」と「Magic All Night」に関しては高いレベルでの再構築がなされているという印象です。

例えば原曲では摩天楼にいるかのような感覚さえする「Magic All Night」は、リミックスへの変換によってそうした雰囲気を残しつつも、どちらかというとクラブっぽい音の要素が多く盛り込まれ、こちらも自然と身体が動いてしまうようなところがあります。

そもそも原曲自体もダンスミュージックとしては十分すぎるほどノリがよかったのですが、リミックスによってさらにそのノリのツマミを全開にしたような感があります。

どちらのリミックスバージョンも、音のみならず振り付けやメンバーの立ち位置などにも原曲と比較して種々変更点があり、新たな世界を見せてくれています。

これら2曲だけでも十分なようなものですが、リミックスの波はこれだけで収まらなかったようです。

サンダルテレフォンの定期公演では重大発表や新曲の初披露など、開催のたびに何かしらの新しい発表があったので、その流れを汲んで今回もあるとは思っていたのですが、その内容についてはまるで見当もつきませんでした。

ワンマンライブは4月開催のものがとうに発表されているし、ライブ・イベント系の告知では無いのだろうな..とは思っていたのですが、よもやリミックスバージョンとは。

また、初披露の流れも、特段MCなどで前振りがあったわけでもなく、セットリストの流れの中でサプライズ的にリミックスバージョンのイントロが流れ出す、といった具合でした。

一旦原曲の「Sleeping Beauty」を披露してから「コーリング」を挟み、そこから間をあけないままリミックスバージョンに移ったのですが、こうして全くの予告無しで披露されたため、リミックスのイントロが流れても一瞬何が起こったのか分かりませんでした。

肝心の曲のほうに触れていくと、オリジナルのほうは閉ざされた空間で大音量で聴くと気持ちよくなるような低い轟音が目立つロック系なのですが、リミックスバージョンでは一転、ポップさが増すというか、星がきらめく天空のような雰囲気が広がります。

もっとも、これは銀河を思わせるようなステージ背景のビデオジョッキー(VJ)の効果もあってのものかと思うのですが。

フリコピ班では無いので振り付けの詳細についてはよくわかりませんが、少なくとも一つ言えそうなのは、もともと原曲にあった、サビで後ろに引いた右手を大きく突き上げる振り付け(下の動画中0分59秒)がリミックスでは別の動作になっていました。

原曲のこの動作は力強く、個人的にはこここそが「Sleeping Beauty」の「Sleeping Beauty」たるゆえんの一つかなと思っているのですが、ここの変化だけでも随分と印象が変わります。

振り付けについては、その後のMCでメンバーもコメントしていましたが、原曲と立ち位置はさほど変わっていないものの、サビで振り付けを大幅に変えたということでした。
これは、立ち位置やサビ以前の振り付けは変えるもののの、サビ部分の動作は大体固定だったこれまで2曲のリミックスバージョンとは大きく異なる部分であり、立ち位置が変わらないからこそ振りがごっちゃになってしまうともメンバーは口にしていました。

振り付けを担当したコレオグラファーのいどみん先生(@idm_dd)によると、「Sleeping Beauty」のオリジナルとリミックスの振り付けの違いは単なる別物ではなく、両者でリンクする部分があるとのことでした。

考察をしないまでも、そうした部分に注目していきながら今後観ていくのもひとつ楽しみのポイントかもしれません。

今後の楽しみも尽きない

ライブも終盤に入り、メンバーも前髪が乱れるほどに汗が目立つようになりましたが、僕も僕でそれに合わせるかのようにうっすらと汗をかいてきました。
それくらいライブ中の空間は熱っぽく、外の寒々しい空気との温度差で風邪をひきそうなほどでした。

次回の定期公演はちょうど1カ月後の3月12日(金)に恵比寿CreAtoで、そして2ndワンマンライブ「在る」が4月21日(水)に渋谷WWWにて予定されています。
2ndワンマンのほうは先日完売となったそうです。

コロナの関係でおそらく人数を絞るであろうとはいえ、平日早い時間の渋谷WWWがライブ2カ月前にして埋まるのはすごいことです。

前回行った定期公演後のレポでは、フリコピが盛んな周りのファンの方などに感化されて「フリコピがしたい」など言ってみたり、ステージの背景に映し出されるVJがどうのとか言っていたりしたのですが、今回はそうしたことは脇に置いてメンバー4人の姿にひたすら吸い込まれてしまいました。

最後の曲「ワンダーランド」が披露されるころにはここではないどこかにいるような気さえ覚えました。没入感という言葉でも適切に現わせている気がしません。

今後のサンダルテレフォンはどうなっていくのか。
今回のライブを観るに、まだまだ期待してもし足り無さそうです。

見出し画像:サンダルテレフォン公式ツイッター(@sandaltelephone)より


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