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【ライブレポ】転校少女*定期公演~佐々木美紅生誕祭~

パフォーマンスしているメンバー、そしてとりわけこの日の主役からはいつも以上に笑顔があふれ、幸せ感じる生誕祭でした。

6人組アイドルグループ・転校少女*が3月21日に秋葉原のAKIBAカルチャーズ劇場にて表題の公演を開催しました。
この日の主役は1月に加入した新メンバーの一人、佐々木美紅さんです。
先日23歳の誕生日を迎えたばかりの佐々木さんを祝した、誕生日公演でした。

この日の佐々木さんにはお誕生日特権が与えられ、例えば髪型もいつもポニーテールで固定されているところを今日ばかりはおろしたり、衣装も通常の「春めく坂道」のものではなく本人がチョイスした黒のドレスを着ているなど特別感にあふれていました。

くしくも、佐々木さんチョイスのドレスは、佐々木さんの加入前に「プロムナードの足跡」という曲のMVを撮影した時にメンバーが着ていた衣装らしく、意外なところでのつながりもありました。

そして、お誕生日特権に加え、ライブ本編で佐々木さんに用意されたのはソロコーナーでした。
この内容に触れつつライブレポに入っていこうと思います。

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加入後間もないものの、早くも複数の曲でダンスソロパートを引き継いでいるなど、ダンスのうまさに定評ある佐々木さんですが、ここでは歌一本で勝負とのことでした。
思い入れ深い3曲をメドレー形式で歌い、限られたソロコーナーの時間を目一杯使っていました。

普段の転校少女*でのパフォーマンスの時にも佐々木さんの歌声を聴く機会は当然ながらありましたし、ソロパートもいくつか聴いてきました。
しかし、ここではこれまでなんとなく抱いていたイメージとは少し違った印象を受けました。

いつもはざっくりと言うと歌声に力感を覚えていたのですが、この日はむしろ、目の前で壊れてしまいそうなほど繊細なものに聴こえました。

転校少女の曲はキーが高めで、かつ勢いもあります。
そうした曲に負けないよう出した歌声が、こちらには力感をもって聴こえたていたのかもしれません。

この日佐々木さんが見せた繊細さは、とくにフレーズの頭で顕著でした。
目的の音にパッと到達せず、そこに至るまで絞り出すように声をだしているように思えました。
その歌声はややかすれ、言うなれば言葉の先頭に濁音がついているようなイメージです。

ためらいを感じさせつつ出される音は、とくに一曲目に披露された奥華子さん「恋」で際立ち、いじらしさが混ざった感情の機微を上手く表しているように思いました。

生誕祭で期せずして佐々木さんの歌声の新たな引き出しを知ったのですが、いざ知ってしまうと、ではこの歌声は転校少女*の曲の中でどう活かされるのだろうか?とその延長線上も想像してしまいます。

繊細な声が活かせそうな曲は、例えば「Winter Wish」や「She’s Rain」などバラードチックな曲がパッと思い浮かぶところですが、新体制では未披露であろうこれらの曲が、この先佐々木さんの歌声によってどう形作られるのかは気になってきます。

もっとも、佐々木さんは加入して日も浅いため、恐らく現実的にはオリジナルメンバーが多くのソロパートを担当するのだろうなとは思うのですが、一つの小さな願いとしてはぜひここに佐々木さんを当ててほしいところです。

そういえば、メドレーの3曲目に披露されたAIの「ママへ」は、以前にメンバーの塩川莉世さんが自身のソロ名義「SHUGAR」のワンマンライブで披露した曲でもありました。
衣装といい、選曲といい、グループとの不思議な縁も見えます。

ソロではこうして歌声の新たな一面を見せた佐々木さんですが、転校少女*メンバー6人全員揃ってのパフォーマンスとなると、身上であるダンスで見せ場を大いにつくっていました。

例えば、 ソロコーナーの後に披露された「プロムナードの足跡」は佐々木さんのソロダンスから始まります。

サリンジャーの「The catcher in the rye」から着想を得たこの曲、佐々木さんはステージ上を存分に使い、悩める主人公ホールデンさながらに心の葛藤を表現していました。
無関心で不条理な都会を示すかのように無表情なほかのメンバーの顔(特に成島有咲さん)も、このダンスを盛り立てています。

ダンスだけでなく、表情にも心の移り変わりが投影されています。
紆余曲折をたどりつつ、終盤でようやく見つける一筋の光。

不条理な街へ今 踏み出すんだ

この歌詞を象徴するように、かざした手を充実した顔で眺める佐々木さんの表情は、序盤の表情と合わせ見事に「プロムナードの足跡」の世界を作り出しているように思えました。

ところで、この日の生誕祭の雰囲気を振り返ってみると、主役の佐々木さんを筆頭に、メンバーの笑顔がいつもより増している気がしました。
一曲目に披露された「情熱リボルバー」も、カッコよくまとめることの方が多い普段に対し、この日はライブしていることの喜びを抑えきれなくなっているような笑顔が印象的でした。

転校少女*はここ最近は積極的に対バンライブに出演していますが、そうした初見の人が多いいわばアウェー状況ではなく、今回は単独公演という「ホーム」な空間だからこそ、こうしたいつも以上の笑顔が引き出されたのかもしれません。

気負った緊張感とも無縁に見うけらられ、それでいて「プロムナード」の佐々木さんや、後述する小倉月奏さんなどを筆頭にパフォーマンスの良さははっきりと表出されていました。

この日の主役である佐々木さんこそ、転校少女*加入後初の生誕祭ということで、冒頭のMCでは緊張感が残るといったコメントを残していましたが、見る感じではそれよりも喜びが勝っているように映りました。
お祝いムードが充満し、ほぐれた雰囲気の中見るステージは、こちらも肩の力を抜いて楽しむことができました。

MCではまた、様々な人達から佐々木さんへのプレゼントも贈られました。

スタッフの方からのケーキのプレゼント、ファンからのメッセージ入りのプレゼント、そしてメンバーからのプレゼント。
抱えきれないほどのものを手にして心の底からうれしそうな佐々木さんと、佐々木さんの担当カラー、オレンジのサイリウムでいっぱいになった暖色の空間は、眺めているだけで心まで暖められていくかのようでした。

佐々木さんの生誕祭の内容はここまでとし、ここからはステージ上での他のメンバーについて特記していきます。

小倉さんのかぶせは強い

先述した佐々木さんの見せ場が冒頭にやってくる「プロムナードの足跡」では、サビに入ると主旋律の後を追うようにハモリの歌声が乗っかるパートがあります。

「まだ心は折れてないから」(目をこらして)
「ダメ」なんて「ムダ」なんて言葉で(ここにいる)

他のメンバーがユニゾンで主旋律を歌う中、カッコ部分の被せを歌っているのが小倉月奏さんなのですが、主旋律で張り巡らされた網目の中でのはっきりとした主張が見えました。
それでも前に出すぎているようには感じはありません。
これは小倉さんについてつくづく思うことなのですが、バランス感覚が素晴らしいです。

成島さんのカッコよさ

新メンバーの成島有咲さんは見るたびに新たな発見があるようで、つい目で追ってしまうところがあります。

この日なんとなく感じたことですが、成島さんは、すました表情を決めるようなシーンでは顔を少し傾けるような気がします。

今回のAKIBAカルチャーズ劇場は前方が着席のため、ステージからフロアを見下すときは、スタンディングが主であるライブハウス以上に角度がつきます。そうした場所だととくに、より角度をつけられた成島さんの顔つきは効いてきます。

あと、これはパフォーマンスとは直接関係がありませんが、成島さんはMC中、しゃべっている人のことをじーっと見つめていることが多い気がします。
もちろんほかのメンバーもしゃべっている人のほうを見てはいるのですが、成島さんは特に際立っているように思えます。

凝視していて、目を離さない印象です。
今日は佐々木さんがしゃべる機会が多かったので、MCの立ち位置でちょうど隣に立つ佐々木さんを見つめる成島さんが印象的でした。

話を聞くときは人の顔(目)を見なさいとはよく言われることですが、成島さんはそのお手本の様です。

佐藤さんは本当にうれしそう

そして新メンバーの3人目、佐藤かれんさん。

美紅ちゃんとおなじポニーテールにできてうれしい!と本人もMCにて言っていましたが、本当にうれしそうなことは、言葉にせずともその顔や動きなどを見るだけでわかります。

いつも笑顔が目立つ佐藤さんですが、今日の祝福の笑顔も素晴らしかったです。
この日の佐々木さん生誕祭を盛り上げていたのは、さすがのMCで上手いこと回していた松井さやかさんに加え、佐藤さんの笑顔もあったように思えます。

成島さん同様またしても「人として」の話になってしまいますが、曇り一つない笑顔で人を祝福できることは素晴らしいですし、自分がこんな笑顔で祝われたらどんなに嬉しいことかと思います。

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目立ったメンバーについて書いてきましたが、最後に再び佐々木さんの話に戻って、このライブレポを終わりにしようかと思います。

ライブのMC中、佐々木さんは23歳の抱負として「徐々にダンスパートを任されることが増えたので、完璧に美紅ちゃんのものになったよねと言われるくらいまで極める。」とコメントしていました。

佐々木さんの性格は知るはずもありませんが、「極める」というワードを選んだ所に、佐々木さんのストイックさが見えるような気がしましたし、いずれ極められるだろうという自信もほのかに感じました。

この日のパフォーマンス中にいつも以上に目立った笑顔も、生誕祭の喜びだけでなく、自らのソロダンスに対するプライドの現れから来る笑みもあったのかもしれません。

転校少女は4月からは全国ツアーも控えていますし、佐々木さんのパフォーマンスがグループの曲にマッチしていく過程を観られると思うと非常に楽しみです。

見出し画像:転校少女*公式ツイッター(@tenkoushoujo)画像を改変


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