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【ライブレポ】転校少女*Live Tour 2021 "Girl*s Spring"【甲府Conviction】

【まとめ】
この日を迎えるまでに色々あった気持ちも、ライブを観終わる頃には多少なり解消されたような気がします。

4月24日(日)、山梨県は甲府Convictionにて開催された表題のライブに行ってきました。
5人組アイドルグループ・転校少女*の全国ツアー「Girl*s Spring」2公演目です。
二部制でしたが、僕は二部にのみ行ったのでそのレポとなります。

転校新体制紹介

この甲府公演ですが、メンバーの塩川莉世さんが山梨出身ということもあり、塩川さんの凱旋公演でもありました。
塩川さんはアンコール後の寸劇でも主役を務めていたり、ファンからは塩川さんのための横断幕も用意されていたりしましたが、実際本編のパフォーマンスでも主役級の活躍でした。
特にソロコーナーは圧巻だったのですが、これについては後半に触れるとして、前半では他のメンバーについて書いていきます。

【見出し】
・佐々木美紅さんの頼もしさ
・復活した成島有咲さん
・音程と初々しさのバランス「ときめけ☆アフタースクール!」
・圧巻だった「SHUGAR」と「さやりせ」
・「二度目」の新体制

・佐々木美紅さんの頼もしさ

転校少女*には昨2020年11月に新メンバー3人が加入したのですが、そのうちの一人である佐々木美紅さんは特にパフォーマンスに定評があります。
これまでもライブレポにて何度も取り上げてきましたが、この日も素晴らしかったというか、もはや頼もしさすらあります。

佐々木さんはこの日、歌声が光っているように思いました。
特筆すべきは、そのリズム感です。
伴奏に先だって走ることもなく、不自然に溜めて遅れることもありませんでした。
何度もリズムを的確に奏でているのを見ると、自ずから安心感が湧いてきます。

佐々木さんはダンスでもソロパートを任されていますし、歌よりもむしろダンスのほうが得意なのかな?とは思うのですが、リズム感が良いからこそダンスも上手いんだなと、その歌声を聴いて納得した気分です。

声質自体も他にはなく独特なもので、例えば「TRIGGER」という曲での「成り下がらないから」のソロパートでの、若干鼻にかかりながら抜けていく音色は綺麗でした。
恐らくですが高音よりも低音の方が歌いやすそうに見受けられるので、そうしたパートでのソロが増えることを願っています。

・復活した成島有咲さん

続いては、もう一人の新メンバー、成島有咲さんについて。

先述のようにこの日は全国ツアーの二公演目でしたが、成島有咲さんは今回が初めての参戦でした。
というのも、成島さんはツアー初日直前にコロナ感染が発覚したため初日への参加が叶わず、ここまで2週間程度の療養を強いられていたのでした。

成島さんにとってこのツアーは転校少女*に加入後初のツアーであり、その幕開けに居られなかったことへの悔しさは想像するに余りあります。
そんな悔しいお休みからやっと復帰できたこの日。
凱旋を飾った塩川さんに勝るとも劣らず、甲府公演に対する想いは大きかったのではないでしょうか。

実際張り切ってこの日を迎えたことはMCでも言っていて、この日のためにコスメを買い込んで目の周りのキラキラ感を増やしたり、全体的に「かなり可愛く」したそうです。
いつもより可愛くなった成島さんは、その表情でも魅せてきました。
特に横顔です。

この日、僕は(一応)最前列の下手側端っこに立ってライブを観ていたのですが、ここからだとほとんど真横からステージを眺めるような視点となっていました。
舞台袖まで見えてしまうほどに角度がついていることから、メンバーの横顔がいつもよりはっきりと見えました。

そんなレアな角度から見る成島さんの表情は、これまで真正面から眺めていた時に感じていた印象をさらに強めてくれました。

成島さんの表情は、ニコッと笑うような楽しい曲でももちろんなのですが、どちらかというともの悲しい曲となるとより映えます。

この日を振り返った時、強く焼き付いているのが「ヤマアラシのジレンマ」を歌った新曲「リバース・エイジ」のワンシーンです。

共犯者みたいだった 車道渡りながら
月明かりが照らす波へ 秘密を分かちあった頃

曲のシリアスさに合わせて表情を消した横顔は、青みがかったライトによって照らされて非常に綺麗でした。
シリアスとは書いたものの、そこまで思いつめたような表情というわけでもなく、成島さんが作っているのはあくまで哀愁漂うようなイメージの表情です。
これは無表情とも違うのですが、表情を上手いことを消している印象です。

・音程と初々しさのバランス「ときめけ☆アフタースクール!」

新体制となってはや3カ月ですし、いいかげん新メンバーと呼ばなくてもという話ですが、話の便宜上このワードを使うこととします。
とはいえ、すでにこのレポでも何度も新メンバーと書いてしまっているのですが。

ここで注目したいが、恐らく3曲目に披露された「ときめけ☆アフタースクール」という曲です。
この曲は、昨2020年の新メンバーのお披露目ライブにて、新メンバーをステージに加えて一発目に披露された曲だったと記憶しています。

曲自体は数年前にリリースされていますが、新体制で録りなおした「2021 ver.」が3月リリースの「春めく坂道」にも収録されていたり、ここ最近のライブでも頻繁に披露されていたりするなど、新体制とセットになっているような曲です。

この曲、新メンバーの見せ場として、3人で分担して歌う
メイク 前髪 バッチリ パッツン そんなの意味なくなくなくなくない?
というフレーズがあります。

このパートについて、これまでのライブで聴いた感想としては、新メンバーの元気いっぱいな声を感じる一方で、あまりにセリフっぽくなりすぎているきらいがあるように聴こえていました。
元気いっぱいなのは「初々しさ」がついて回る新メンバーのイメージには合っているのですが、そこが強調されすぎると歌というよりももはやセリフになってしまい、他のパートと比較して妙に浮いてしまっているような感じがあったのです。

ですがこの日の3人の歌声は、元気さを残しつつも音を一つに集約させていました。
初々しさ、リズム感に加えて音程の安定とのバランスをとった着地点を見た気がします。

もちろん、これは僕にとっての聴きやすさの話であり、どういう歌い方であれメンバーが歌う歌い方が正解だということは前提にあるのですが、この日は格段に聴きやすくなっており、他のパートとのつり合いもとれていました。

新メンバーの歌唱力の底上げがなされているのかなと思いますし、ここを聴くだけでも、新メンバーの努力の跡を見られたような気がします。

特に、佐藤かれんさんに対しては尊敬の念しかありません。

佐藤さんは新メンバーの中では唯一の業界未経験であり、さらにグループの中で唯一の学生でもあることから、負担は人一倍だと思われます。

いつだったか「ライブの一分前まで講義を受けたり、仕事の合間に授業関係のプレゼンをしていた」なんてツイートをしていました。
講義やレッスンなどがあるため、一カ月の間で完全な休みが一日もなかったという趣旨のこともツイートしていた気がします。
転校少女*自体、この数カ月間はライブや新曲のプロモーションなどでかなり多忙であったはずなのに、そんなスケジュールの中に講義など大学での予定が入ってくるだなんてもはや想像できません。

そんな状況でいながら、佐藤さんはトレードマークともいえる笑顔を絶やしません。
これが素晴らしいですし、「ときめけ~」を含むソロパートでの歌声もだいぶ安定してきています。

・圧巻のさやりせハーモニー


ここまでは新メンバー3人について書いてきましたが、オリジナルメンバー2人にも触れないわけにいきません。

今回の甲府公演を語るうえで絶対に外せないのが、中盤のアコースティックで披露された塩川莉世さんのソロコーナー「SHUGAR」と、塩川さんと松井さやかさんが組んだデュエットコーナーでした。
正直、甲府公演においてはこのアコースティックコーナーだけでチケット代の元をとり、さらにはお釣りを貰った気がします。

まずは、ギターにひぐちけいさんを迎えた「SHUGAR」コーナーから書いていきます。
毎度のことながら圧倒的な歌声の塩川さんには聞きほれてしまうのですが、この日もでした。

つくづく思いますが、塩川さんの歌声は、楽器のように正確にメロディーや歌詞を捉えています。
そのためか、なじみのない曲であっても歌詞がすんなりと頭に入ってきやすいですし、知っている曲ならなおさらかみしめることが出来ます。
ここが塩川さんの歌声に魅了される理由の一つだと思っています。

そんな歌の正確さをみせる塩川さんですが、かたやMCとなると一転、不安定さが見え隠れします。
グループでいるときもかなり奔放なイメージなのですが、一人となるといっそう際立ちました。
話題があっちこっちに行き来したり、ひぐちけいさんの話を聞かずに先へと進んでしまっていたりしました。
これもこれで塩川さんのキャラクターの一つであって面白いのですが、これがあることで正確な歌声とのギャップを生んでいます。

それだけでなく、MCの前後で一変する空気がこのギャップをさらに強めています。
直前までのMCではグダグダで、少しの笑いも生まれるような和やかな空気だったのに、いざ歌い始めるとなるとその空気も変わります。
披露する曲名を告げて歌に移るとき、照明の明かりが絞られると同時に塩川さんの表情が締まります。
次いでギターのイントロが鳴りだし、ほどなくして塩川さんがマイクをとって第一声を発した瞬間には、今までの空気とは全く別ものの、アーティストの空気感がフロアに広がっていました。
ここまでの変化はグラデーション的なものではなく、わりとバチっとした切り替えで、塩川さんはこの空気づくりが非常に上手いと感じます。

また、塩川さんはこうしたMCと歌い始めの切り替えだけでなく、歌声の切り替えも巧みにしているように思います。
曲の歌いだしでは息の音が目立つ、ささやくような音に聴こえたかと思えば、サビにかけてその歌声はグンと伸びてきます。これがマックスかと思いきや大サビではそれをも超え、もはや小さなライブハウスでは収まりきらないような歌声となります。

塩川さんソロの「SHUGAR」についてはここまでで、続いては松井さやかさんも加わった「さやりせ」コンビのデュエットについて書いていきます。

まず、二人の声を比較すると、塩川さんの歌声は下から上がってきて天井知らずの伸びとなるイメージなのに対し、松井さんの歌声はどちらかというとライトな感じで、高音でもわりとポンとそこに到達するイメージです。

二人とも、歌声にはすぐにそれと分かる個性があるのですが、聴く人を選ぶようなクセがない印象で、いつまでも聴けます。
こんな素敵な歌声を持つメンバーが同じグループに二人も居るという事実はそうそうないことだと、この日のアコースティックを聴きながら感じていました。

・二度目の新体制

ライブの内容についてはここまでなのですが、最後にここ2週間のうちに転校少女*に起こった出来事について書きます。
このことはライブと直接の関係がなく、蛇足とも思ったのですが、触れないのもあまりに不自然な気がしたのでここに追記します。

ツアーの初日公演が開催されたのが4月10日で、二か所目の甲府公演(4/25)までは2週間の空きがありました。
この間はあまりライブ予定がなく、成島さんの療養期間でもあったのですが、この期間が終わるか終わらないかのうちに、メンバーの小倉月奏さんの脱退が発表されました。

どうした事情があったのかは分かるべくもないのですが、ツアーの最中に脱退というのはなかなか異例のことと思います。
また、転校少女*は2021年1月に新体制となったばかりです。
これからグループが完成に向かっていくと思われた矢先の、突然すぎる出来事でした。
いわば「二度目の新体制」と言うべき状況を余儀なくされてしまったわけです。

このことについては、この記事以降うだうだと書くつもりもないのですが、個人的な想いとして、小倉さんの脱退はなかなかに受け入れがたい事実でした。
結果的に小倉さんの最後の出演となったツアー初日のライブレポでも、小倉さんについてはかなり書いてきました。
ボーカルに関しては先述の「さやりせ」に勝るとも劣らないと思っていましたし、とにかく残念だという気持ちしかありませんでした。

なにより、ツアー中のタイミングで残されたメンバー5人はかなり苦しかったと推察します。
この日のアンコール後、最後のMCにて松井さやかさんが「この日まで不安だった」と、あくまで明るいトーンを保ちつつ、さらっとではありますがコメントしていました。

しかし、当のライブとなるとそんな不安とは無縁でした。
そう思わせてくれたのが、このライブレポで取り上げた新メンバーの伸びと、「さやりせ」の盤石な歌声でした。

個人的には、観ている位置も良くありませんでした。
先述のように端っこだったのですが、成島さんらの横顔はよく見えると書いたもののスピーカーが目の前にあるような位置で、正直外れです。

ですが、ライブを観ている間はそんなことも些末なものと思えました。
改めて、様々なモヤモヤを打ち破るメンバーのパフォーマンスには感服するばかりのライブでした。

転校少女*はすでにツアーの福岡・札幌公演を終えています。
コロナの関係で大阪公演は延期となったものの、名古屋・ファイナルの東京公演が近いうちに控えており、このまま何事もなく終えてくれればと願っています。

見出し画像:転校少女*公式ツイッターアカウント(@tenkoushoujo)画像を改変




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