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【ツアー初日】転校少女* Live Tour 2021 "Girl*s Spring" 【新宿ReNY】


【抄録】
メンバーが一人欠席となった状態でのツアーの初日でしたが、「マイナス1」を感じさせない素晴らしいパフォーマンスでした。万全なコンディションのフルメンバーが揃ったライブが待たれます。

今回は、4月10日(土)に開催された、6人組アイドルグループ・転校少女*の表題のライブレポです。
4月から5月中旬の一カ月程度にかけて全国6箇所を巡るツアーの初日公演でした。

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ライブは二部制だったのですが、それぞれに対してのレポというよりも、両部ひっくるめた「初日公演」に対して全体の雑感などを書こうかなと思っています。

【見出し】
・穴を埋めるパフォーマンス。しかし...
・歌声が浮き出るアコースティック
・細かな点の雑感(①瞬け、プルート ②松井さやかさんの気合い ③アンコール後の寸劇 ④WONDER WAVE!のキーボード)


穴を埋めるパフォーマンス。しかし...

まず書いておきたいのが、メンバー全員揃ってのツアー開幕がかなわなかったということでした。
2021年1月に加入した新メンバーの一人、成島有咲さんがコロナ陽性と数日前に診断され、その療養のためにツアー初日を欠席したのでした。

経緯としては、成島さんは4月1日に発熱し、翌日すぐに受けたPCR検査では陰性、当初は溶連菌感染との診断で、抗生剤?によって一旦解熱を見たものの数日後発熱、再度PCR検査を行ったところ陽性判定が出たというものでした。

最初の発熱でイベントを欠席することになった時、成島さんはツイッターで「悔しい。とても悔しい」と感情をあらわにしていました。
この時は一日・二日程度のお休みかと思いきや、よもや再度発熱し、しかもコロナで最低10日間の自宅待機となってしまうとは想定だにしなかったでしょう。
成島さんの悔しさは想像するに余りあります。

コロナの感染はもはや防ぎようがありませんし、誰のせいという話ではないのですが、そもそも転校少女*は3月からこの4月にかけてかなりの過密日程が組まれていました。
新曲のリリースに伴うリリースイベントや主催イベントや対バンライブなどかなり多忙を極めていたため、コロナに関わらずいつ倒れてもおかしくない状況だったことと推察します。加えてこのツアーのためのリハーサルなどもあったでしょうし、ピンピンしている他のメンバーは超人的と言えるのかもしれません。

また、ツアーを前にした不安要素は他にもありました。
成島さんがコロナ陽性の報が出たのがツアー前日の4月9日(金)夜で、グループ主催ライブを直前に控えたタイミングだったのですが、成島さんショックに覆い重なるように、メンバーの一人、小倉月奏さんがこのライブを欠席することも続けて発表されました。
したがって、ツアー前日にも関わらずメンバー6人中2人が不在となってしまったのでした。

結果として小倉さんはその日限りの欠席で、ツアー初日には無事参加となったのですが、そのことが分かるまでの間は、果たして初日には何人が揃うのだろうか...という不安がぬぐい去れませんでした。

※このツアー初日の翌日(4月11日)にも主催イベントが3本組まれていましたが、小倉さんは体調不良によって欠席となりました。ツアーの日も無理を押して参加していたと思われます。

胸がざわざわする雰囲気のまま迎えた4月10日のツアー当日、一部二部ともに開演の5分前に所属事務所のスタッフの方がマイクをとり、この度の成島さんの件について改めて経緯の説明をなさっていました。
そして間もなく開演時間となり、Overtureに合わせた手拍子とともにメンバー5人が一人一人ステージに上がってきました。
現段階での一応のフルメンバーを見て、まずは無事にツアーが開催されてよかったなとの想いが生まれましたが、依然として残っていたのが、成島さん不在でどうなるのか?という漠然とした不安でした。

しかし、結果としてこれは余計な心配でした。
特に一部のド頭で披露された「リバース・エイジ」と「With You」でのメンバーのパフォーマンスは突き抜けており、もやもやとした気持が何処かに吹き飛んでいくようでした。
思うところも多かったので、少し字数を割き、この二曲について書いていきます。

冒頭からよく響いていたのが、松井さやかさんの歌声かなと思います。
一曲目「リバース・エイジ」から鮮烈で、暗めのライブ空間に差し込んだ真っ白な光が見える気がしました。

松井さんの歌声に導かれるように歌われたラスサビも壮大でした。
ここでは、一歩前に出てソロを歌っていた松井さんの後を追うように他のメンバーが前に出て、全員横並びとなってラスサビをコーラスします。
メンバーが一歩前に踏み出してきたときのステージの動きは、まるでこちらに向かって押し寄せる川の流れのように感じました。
ツアーの日まで温めてきたメンバーの意気を見たように思います。
なによりそれを引っ張っていたのが、直前のソロパート「果てしなく横たわる RIVER」を歌いこなした松井さんではないかと思っています。

メンバー全員の圧は、二曲目の「With You」でも感じました。
この曲は、離別してしまった大切な人を「出会えた奇跡が明日を輝かせる」「いつでもそばにいる」と心の支えにする気持ちを歌った、切ない系の曲です。

メンバーから発される歌声には、それぞれのメンバーの成島さんを思う感情が込められているように聴こえました。

「こっちだよ」って君の声が聞こえた

「With You」で歌っているのは、もう二度と会えないであろう人のことなので、この曲と成島さんの一時の不在を重ねるのは少々強引な気がするのですが、この日は要所でメンバーの頭の中に浮かぶ成島さんを見たように思います。

「リバース・エイジ」「With You」の二曲を通じ、ステージ上に入り交じる様々な思いを感じるようでしたし、当初抱いていた不安はどこへやら。すっかりステージに身を預けていました。

ギリギリまでの調整

それから、成島さんが欠けたステージの見栄えですが、5人であっても不自然さがまるでないように見えました。
それぞれの曲のフォーメーションについては違いが分かるほどまで把握していませんが、本来成島さんがいるべき位置がぽっかり空いているようなことがほとんど見られませんでした。5人仕様のフォーメーションを急遽完成させたのだと思われます。

歌割もしかりで、欠けた成島さんパートを新メンバー2人などを中心に見事に補っていました。
新加入とはいえ、成島さんのパートは少なくありません。
重大なパートもいくつか任されています。
こうしたパートを、新メンバーの佐々木美紅さんや佐藤かれんさんが、自分のパートに引き続いて歌い切ったところは胸を打ちました。

このように、マイナス1を思わせないパフォーマンスでしたが、その裏ではかなり切迫していたことも伺い知れました。
あとでメンバーのインスタストーリーを見返して判明したのですが、ツアー開幕の前日、どうやら深夜2時までリハーサルをしていたようです。
先述した、成島さんに加えて小倉さんも不在のまま主催イベントをこなした日です。
投稿時間から考えると、もっと遅くまでかかったのかもしれません。
また、僕は当日遅くに会場に着いたので分かりませんでしたが、一部の公演時には開場が20分程度押したそうです。
これらのことから想像するに、深夜のリハでは5人バージョンのフォーメーションやパートの確認、そして会場では場当たりなどを行い、ぎりぎりまで調整を詰めていたのだと考えられます。
苦労を思うと頭が上がりません。

もっとも、こうした完成度の高いステージに感服しつつも、ここに成島さんが加わった完全体を見届けたかったという点では心残りです。
ツアー初日では各人が多少なり無理をしてマイナスを補っていた分、成島さんの復帰によってとくに新メンバーはもう少し余裕もでてくるでしょうし、単にプラス1となるだけで見え方は大きく違ってくるはずです。

今回のツアー、東京公演の次には、甲府公演が4月25日に予定されています。
日程が空くため、成島さんは順調にいけば療養期間も明け、甲府では無事復帰できるのかなと思います。またみられる日が非常に楽しみです。

続いてはもう少しライブの中身に踏み込んで、中盤のアコースティックコーナーと他の細かな部分に触れていきます。
まずはアコースティックから。

歌声が浮き出るアコースティック

ライブの中盤には、新曲の「リバース・エイジ」など、転校少女*の曲を何曲も手がけている吹野クワガタさんをキーボードに迎えてのアコースティックコーナーがありました。吹野さんのキーボード以外伴奏がないため、メンバーの歌声がいつも以上にはっきりと聴こえましたが、塩川莉世さん、松井さやかさん、小倉月奏さんといったエースクラスのボーカル3人を中心とした音のまとまりを感じました。

印象的な点としてお伝えしたいのが、おそらく新体制で初披露となった「Catch Me (If You Can) 」という曲のサビパートです。

Darlin’ 思わせぶりな 気のないそぶりも
全部 知ってるよ ダメダメ
駆け引きなんて わたしの前では
まるで意味ないから 出直してね

主旋律に覆いかぶさってくる高音のハモリが、目が覚めるほど綺麗でした。
どのメンバーがハモリを歌っていたのか思わずステージを見渡してしまったのですが、小倉さんだったかな?となんとなく思うくらいでさほど確証がありません。
音源を聴きなおしてもさほどこのハモリは際立っていないように聴こえたのですが、強調されたハモリによって綺麗な層を成した歌声の重なりは、とにかく気持ちがよかったです。

また、このコーナーでとくに光っていたメンバーを挙げるとすると、小倉月奏さんかと思います。
メンバー5人が中央からサイドに広がるように緩やかな扇形のフォーメーションをとって歌っていたのですが、最下手側、扇の端っこにいた小倉さんは、時に「今って小倉さんのソロコーナーなのかな?」とこちらが錯覚するほど目立っていました。
顔は真っすぐ前を見据え、自身がメインで歌うパートでも、その歌声は姿勢と同じく真っすぐにこちらまで届いてきました。
それでいて、歌声にはふわっとした敷物のような柔らかさもありました。
これらが、先に書いた「気持よさ」を作り出しているのだと感じます。
ソロパートで小倉さんを照らす照明でさえも、心なしかより光っているように思えました。

気持よさを端的に示すような場面としてもう一つ、佐藤かれんさんがサビでのメンバー全員のコーラスパートに一瞬入り忘れ、直後慌てて加わる、なんていうシーンがありました。
その場では「あれっ」と思ったのですが、乗り遅れてしまうのも納得な気がします。
というのも、綺麗な歌声で充満したアコースティックの空間はあまりに快適で、時間の流れを忘れてしまうような没入感がありました。
ふと我を忘れてしまうほどであったことから、入り遅れてしまうのにも無理がないというか、そうなる気持ちも分かる気がするのです。
このシーンは、佐藤さんが失敗をしてしまったというよりも、むしろ乗り遅れるほど曲に入り込んでいたことを示しているように思いますし、これこそアコースティックコーナーの充実ぶりを象徴しているように思います。

細かな点の雑感

最後に、まとめきれなかったことを各論的に4点書いていこうと思います。
非常に見づらくて恐縮です。

①二部で披露された「瞬け、プルート」という曲の2Aメロにはこんなフレーズがあります。

投げやりになって 何度もデリートしたメモリー
憶えてたのは 僕の強さ

歌割としては、たしか佐々木美紅さんから塩川莉世さんへバトンタッチが行われるパートでした。
この日、下手から上手へ横切りながら「投げやりになって~」と憂いの表情を見せた佐々木さんと、その後をうけて中央奥から手前に出てきて「憶えていたのは僕の強さ」と切り出した塩川さんは、歌声、表情など全てを含めて好対照に見えました。
マイナスからプラスの感情へ。
二人で歌詞の世界を反映していたような気がしますし、一つの物語をこの短い間に見た気もします。

松井さやかさんは、第一部最初のMCで「この場にいる誰よりも楽しむ」と意気込んでいましたが、その言葉通り気合いが乗っている印象でした。
歌声に関してはこのライブレポの冒頭に書きましたが、それは「春めく坂道」での表情にも現れていたように思います。
本編ラストの「春めく坂道」は、「今の私たちにとって大切な曲です」という前振りとともに披露されたのですが、曲中の松井さんを見ていると、歌いながら感慨深げに目を閉じるシーンが多いように思いました。他にもそうしているメンバーがいたのかもしれませんが、松井さんの印象は強かったです。

③本編終了後のアンコールはメンバーによる寸劇から始まりました。
メンバー誰か一人が主役となり、ツアーで巡る各地にまつわる設定の寸劇を行うという、ツアーならではの試みでした。
この東京公演では佐々木美紅さんが主役となり、「(今回の会場である)新宿で一番有名なダンスの先生・KOJIRO」という、独特なファッションセンスかつツッコミどころ多しのキャラクターを演じていました。

この寸劇、メンバーの新たな面を知れそうで魅力的です。
佐々木さんは、新メンバーながらも転校少女*のメンバーの中では割としっかりしていそうなキャラに映っていたのですが、この寸劇ではメンバーからのツッコミの総攻撃にあっていました。
ここまでいじられる佐々木さんはあまり見ないような気がしていて、貴重なものを見た気分です。
全体的に多少のグダグダ感はありましたが、新たなキャラクターを知れる期待感があり、今後も注目していきたいコーナーです。
メンバーによってはこの日の佐々木さん以上にカオスになりそうな方もいるので、それも楽しみです。

④キーボードの吹野クワガタさんの出番はアコースティックコーナーだけかと思っていたのですが、二部でのみアンコールでも再登場しました。
寸劇に続いたオーラス曲「WONDER WAVE!」で、アレンジの伴奏を鳴らしていましたが、特にBメロでさりげなく挟みこまれた音色は、砂浜に落とされた足跡のように耳に残りました。
ぜひとも、伴奏にキーボードアレンジを加えたあのバージョンを音源化してほしいものです。

ーーー

ここまでがライブレポとなります。
決してベストとは言えない状況のツアー開幕でしたが、素晴らしいパフォーマンスでした。
何度も書いてしまいますが、全員そろったステージが待ち遠しいです。

見出し画像: 転校少女* 公式ツイッターアカウント画像を改変


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