【ライブレポ】東京アイドル劇場 Fragrant Drive公演(2021.12.26)
落ちサビや歌いだしのソロという、曲の聴かせどころは、そのパートを任されるメンバーにとっては力が入るところだと思います。
この日のライブは全体を通して、曲の聴かせどころという聴かせどころが全てハマっていたように思います。
全6曲で通底していたように感じたテーマは、とにかく優しく。
気持ちが入ってたまっていく力みをほぐしながら、まるで雪の上を、足跡も付かないようにそっと歩いていくように歌っていたメンバーの姿が印象的でした。
12月26日(日)、5人組アイドルグループ・Fragrant Driveが、高田馬場BSホールにて表題のライブに出演しました。
この前日、つまりクリスマスですが、Fragrant Driveは仙台PITで開催された対バンライブ「Merry Merry Idols」に出演していました。
翌日のこのライブは、仙台から帰ってきて一発目の公演でした。
高田馬場BSホールは、Fragrant Driveが頻繁に立っているステージで、いつもの見慣れた会場なのですが、なにせ前日の仙台PITが1500人キャパだっただけに、数十人のBSホールはかなり狭く見えました。
メンバーにしても昨日の今日ですから、ステージの距離感を取り戻しながらのパフォーマンスだったと思います。
セットリストに沿って、ここからライブレポに入っていきます。
M1. ふたりのストーリー
仙台公演で最後に披露された「ふたりのストーリー」が、この日の一曲目でした。
今の5人体制となってからリリースされた唯一の曲で、恋愛ソング風の歌詞ではあるものの、ファンに語り掛けるような感じもある曲です。
あくまでイメージですが、Fragrant Driveのファンの方は他よりも専オタ、つまり応援するグループはFragrant Driveほぼ1本という方が多いような気がします。
僕は専オタから遠く離れた存在ではあるものの、そういうグループを取り囲む空気感を思えば、歌詞がより入ってきます。
「ふたスト」は、6月のワンマンライブで披露されて以降、ライブでコンスタントにかかっていたのですが、音源としては初披露から半年後のクリスマスにようやく解禁となりました。
メンバー5人がチェキのような構図に収まっているジャケットデザインは、辻梨央さんが描いたそうです。
デジタル限定のシングルとのことですが、デザインが素晴らしいので、ぜひ有形のジャケットとして手許に残ればなという思いです。
一日遅れのクリスマス公演ということで、この日メンバーはクリスマス仮装でのステージだったのですが、三田のえさんはトナカイの着ぐるみというチョイスでした。
ただ、これが観る角度によっては肝心のトナカイの角が見えず、薄い茶色という着ぐるみの色もあっておさるさんのように見えてしまうという、なんというか少し面白い感じになっていました。
しかもこの曲は、頭を歌いだす三田さんがセンターというフォーメーションからスタートします。
メンバーがなんとなくにやけてる雰囲気でライブが始まったのは、こんなシュールさを思ってなのかもしれません。
こういった前段がありながらも、しかしパフォーマンスで三田さんは素晴らしかったです。
後にも書きますが、歌が本当に上手くなったと思います。
音は今までも取れていたと思うのですが、どちらかというとメンタルがそこに追い付いて堂々としてきて、それが歌にもいい影響として現れてきているように感じます。
M2. Evergreen
ライブとは直接の関係がない話なのですが、落ちサビを歌う伊原佳奈美さんは、ほぼ毎日ブログを更新しています。
聞いたら、前身のグループClef Leaf時代から約5年間書き続けているそうです。
継続できる能力も相当すごいのですが、伊原さんのブログへの姿勢ががすごく好きだなと思っています。
ライブレポを書きながら日々感じているのが、少しでも気持ちの良い言い回しにしたいという欲がどうしても出てしまうということです。
もっと肩の力を抜いて書きたいのになと心では思っていても、ライブの熱が冷めないうちに残さねばといざキーボードを叩きはじめると、いつもどこかへんてこりんな感じになってしまいます。
伊原さんのブログの何が良いかというと、この「より良く見せよう」という変な欲求が見えてこないことです。
伊原さんのブログ内容は日記帳で、雑談しているかのような雰囲気で日々の出来事が端的に記されています。
文字量も多くはなく、脱力した、でも分かりやすい文章で進んでいきます。
媒体はLINE Blogです。
ファニコンのような、課金をしたりコアなファンでないと見られないような場所ではなく、見ようと思えば誰でも見られる、オープンアクセスな場所に書かれています。
ツイッターに紐付けてブログ告知をすることもほとんどありません。
来る人は拒まないが、あえて積極的には呼び込まない。
興味を持った人だけが見てくれればいいという思いがあるのかなととらえています。
世の中にはたくさんの文章があるわけですが、ガツガツとした欲もなく、けれども着実に自分の書きたいスタイルで綴られる伊原さんの文章は、生きにくい今の時代にあって癒しになってくれています。
M3. Melt
季節が巡り、この曲への機が整うのを待っていました。
「冷たい雪が唄い融ける春 やがて背中を押すかのように咲いて」
落ちサビは板橋加奈さんのソロパートです。
先日、今シーズンの初披露を配信ライブで聴いたときよりも板橋さんの歌い方は柔らかく、裏声とまでは言いませんがミックスっぽく聴こえてきました。
耳に届いた感触がすごくよかったです。
「ふたりきりの毎日には 限りがあるの」
「ふたりのストーリー」にもあるのですが、この曲にはメンバー5人がステージ中央で向かい合うシーンがあります。
ファンはその中にはいないわけなのですが、見つめ合うメンバーが笑顔になるところは、見ているだけでもほっこりします。
M4. Snow Dust
三田さんの出番はこの曲でも多いです。
耳を傾けると、試行錯誤の末に色々な歌い方を身に着けている気がします。
力を入れていたり、逆に抜いていたりと、フレーズや曲ごとに変化がはっきりと見て取れました。
つられるように、辻梨央さんもそっとしそうな抑え目の歌い方でした。
これも気のせいかもしれませんが、最近の辻さんの歌い方は、以前までのグイグイと押してくるような音圧よりも、引いて歌ったときの優しさを感じることのほうが多くなっている気がします。
M5. Want Your Love
板橋加奈さんのシュウペイポーズでおなじみの曲です。
この日はクリスマス公演ということで、ステージにはたくさんの風船が飾られていました。
Fragrant Driveの出番は、ここまで何組も出演したアイドル劇場のトリということで、もうクリスマスの締めだから風船を割って良いのか割らないほうがいいのかみたいな話など上がっていました。
M6. Everlasting First Kiss
Everlasting First Kissのような恋をあなたとできたら素敵ね Miss You
Everlasting First Kissのような夢を胸に突き進んでいこう
落ちサビでは片桐みほさんから伊原さんへとバトンが渡されました。
ふたりで一つの落ちサビを作り上げるところも、伊原さんの「ゆぅんめ」という歌い方も込みで完成されていました。
個人的にはこの日がFragrant Driveの今年のライブ納めで、滑り込みではありましたが行けたのはよかったです。
今年を振り返ると、なん組ものアイドルのライブに足を運びましたが、恐らく一番通ったのがFragrant Driveだったかなと思います。
過去グループの良曲も引き継ぎ、パフォーマンスの良さがあり、それだけでなくメンバーが常に飽きさせない工夫をしてくれるFragrant Driveは、もっと大きくなるべきグループだと思っています。
来年、2022年にはTOKYO IDOL PROJECTと@JAM主催のアイドルフェス「NPP2022」への出演が決まっています。
ここを足がかりに、グループにとって良い一年になってほしいという思いです。
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