【ライブレポ】「九州女子翼定期公演第三十四 in TOKYO」
九州女子翼の持ち曲に「赤の流れ」という曲があるのですが、このライブでは大いなる赤の流れを感じたような気がします。
2月13日(土)にAKIBAカルチャーズ劇場にて行われた5人組アイドルグループ・九州女子翼の表題のライブに行ってきました。
個人的な話ですが、九州女子翼は昨年末にYouTubeで公開された「Non Stop Kyushu」という曲の動画をきっかけに知りました。
初見のアイドルさんであることから、レポに移る前にまずは公式HPなどに書かれている紹介文などを引きつつグループの全体像について触れようかと思います。
以下がグループのコピーです
攻撃的なダンスパフォーマンスとエモーショナルで洗練されたサウンドとオール生歌のボーカルワークで九州の女性の「綺麗さ」「可愛さ」「力強さ」を表現するガールズグループ。
グループカラーはこれらのイメージを重ね合わせた情熱の「赤」。
現在は、メンバーの一人である新谷香苗さんが卒業を発表されており、ウェブ上での活動以外は新谷さん以外の4人で行っているとのことです。
紹介文、画像ともに九州女子翼HPより
基本は拠点である福岡で活動しているものの、定期的に東京にも来て、都内での定期公演や対バンライブなどに出演しているようです。
僕が知った時もちょうど定期公演を12月24日に控えていたのですが、このときは都合が合わなかったため行けず、さらには翌1月に予定されていた定期公演に関しては、コロナによる緊急事態宣言の影響で中止となってしまいました。
そのため、初めて観るのはこの2月公演まで先延ばしとなりました。
とはいえ、緊急事態宣言が長引いてしまった中、生で観られるのは2月どころかしばらく先になるのだろうと覚悟はしていたので、思っていたよりも早く会えたという方が正しいかもしれません。
諸々リスクを抱えつつも東京にまで来てくれたことは非常にありがたいです。
九州女子翼の定期公演は他のアイドルのそれとは少し違っており、定期公演が複数の部から構成されているようです。
今回は第一幕として各メンバーのソロカバーコーナー、そして第二幕がライブ本編といった構成でした。
おそらくカバーのコーナーとライブ本編は固定だと思うのですが、前々回にはこれらに加えてファッションショーのコーナーが第一幕にあったようです。
油断したら前置きが長くなるのでこのくらいとして、さっそくライブ本編に移ろうかと思います。
確かに感じる赤の流れ
細かい御託を抜きにして、目に見えない衝動のようなものを感じました。
じっとしているとステージからの圧によって飲み込まれてしまうような勢いがそこにはあったのですが、その勢いは単なる力任せのものではなく、確たる技術があって成り立っているのだと分かりました。
例えば、サビの難しい振り付けにも負けない歌声の強さ。
YouTubeに上がっている九州女子翼の動画などを観ていると、とくに前述の「Non Stop Kyushu」や「赤の流れ」などはサビで振りの手数が途端に増え、かなり複雑な動きとなっているように思えました。
テンポも決して遅くない曲のサビで複雑な動作というのは、間違いなくパフォーマンスの難易度を高めているはずです。
こうした難しさがあると、歌には多少なり「被せ」があってもおかしくなさそうなのですが、九州女子翼の場合はそれを否定し、先述のようにグループの紹介文にて「オール生歌」であることを打ち出しています。
そのため、今回はじめて生で観るにあたり、歌声がどう聴こえるのかは楽しみの一つだったのですが、果たしてサビであっても苦にするようなところがなく、それでいて振りの一つ一つも抜くことのない力強さを感じました。
「赤の流れ」はグループの滾る思いを流れ出てくる溶岩になぞらえたような曲らしく、それを思うとサビ終わりで舞台の奥から手前に向かって手をリズムよく突き出しながら向かっていく動作(これで伝わっているんでしょうか?)などはそれの象徴的な振り付けかもしれません。
後述する山本愛理さんのアオリなども含め、赤で統一されたメンバー4人の圧が強く、まさに抑えられない赤の流れがステージからうねりとなって襲ってきているような感覚を覚えました。
MCから空への咆哮へ
本編開幕から6曲ほど連続でパフォーマンスが披露されたのですが、そうした勢いは終始衰える気配がありませんでした。
その流れのまま、今回の公演ではラスト一曲を残してMCへ移りました。
MCではメンバーそれぞれの言葉によって思いを紡いでいました。
コロナ禍にあってライブすることへの思いや新谷さんの卒業時期が近づいたことによって新たにした決意など。
一人一人が言葉を選びながら一言ずつ丁寧に伝えようとしている姿勢が印象的で、心揺さぶられるようでした。
情感込めたMCのあと、最後の一曲として披露されたのが「空への咆哮」でした。
「空への咆哮」はイントロ以外に間奏等が無く、それを補完するようにメンバーの歌声によって最後まで繋いでいるという曲です。
今回のライブの締めにこの曲がチョイスされたことには、直前のMCで一人一人にコメントで繋いだ思いを歌でも表現しようという意図があったのかもしれません。
初見という身ながら想像していました。
目の前に広がった雪をも溶かす煽り
最後に、メンバー個人について書きつつこのレポを締めようかと思います。
4人全員を書こうとすると僕の筆力では厳しいところがあるので、2人だけに絞ります。
実玖さんと詩絵里さんについては次回書きます。
まず鈴川瑠菜さん。
鈴川さんは、第一幕ソロコーナーのド頭に「ゲレンデがとけるほど恋したい」を歌ったのですが、これが大いにハマっていました。
本家である広瀬香美さんの曲はキーが高く難しいと聞きますが、これもまたその代表格のようなもので、特にサビで続く高音などは明らかに出しづらそうです。
誰でも真似できるとは到底思えないこの「ゲレンデ」ですが、鈴川さんの歌声は、そうしたサビのハイトーンも全く苦にしないような充実したものでした。
最近の公式ツイッターによる鈴川さんの紹介文ではこのように書かれていましたが、ライブでの歌声を聴けばこの紹介文にも大いに納得します。
勢いあまって本人に「菅平にいるかのように思いました!」とかいう訳のわからないリプライを送ってしまったのですが、雪を擬人化したような鈴川さんのいでたちも含め、スキー場で流れている光景が浮かんでくるような気が確かにしました。
目の前には白銀の世界が広がり、腰かけている座席がリフトになったように思えます。
ですが、こうした雪の景色も、解けてしまうどころか完全に蒸発してしまうほど、その後の本編のライブが熱を帯びていたことは先述の通りです。
続いて、山本愛理さん。
気迫の歌声もかなり聴きごたえがあるのですが、彼女の繰り出す煽りが非常に効いてました。
途中煽りが完全に他のメンバーの歌声とかぶり、内容を聞きとれない部分も多かったのですが、これに関してはそもそも内容云々の話ではないのでしょう。
むしろ、言葉として聞こえないような絶叫だからこそ響いてくるところがありますし、これが「赤の流れ」を作り出していると確信します。
山本さんが発する気合たっぷりの煽りと、それに負けじと高まるメンバーの歌声、そしてそれをさらに上回っていく煽り。
これらが相互作用をして、その場限りの一つの曲を成しているように感じました。
「生に勝るものはない」とはアイドルに限らずよく言われることですが、九州女子翼に関して言えば、この煽りと歌声の絡み合いは、音源はもとより映像ではなかなか伝わってこないかもしれなく、生で体感すべきものの一つかもしれません。
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いつも以上に感覚に依ったライブレポとなってしまいましたが、僕のような初見という立ち位置でも、メンバーの意思の強さとこのステージにかける思いは伝わってきました。
次回定期公演は3月下旬に予定されています。
それまでに事態が少しでも東京に来やすい状態になっていることを願っています。
見出し画像:鈴川瑠菜さんツイッターより改変