【ライブレポ】Hype Idol! Festival!! 8/21
8月21日(土)に、アイドルフェス「Hype Idol! Festival!」が開催されました。
60組を超えるアイドルグループがUSEN STUDIO COASTに集まりました。
コロナの影響で出演予定だったグループが次々と辞退、それによって別グループの追加出演が決まるなど直前までタイムテーブルが固まらず、メインステージのタイムテーブルは3回も変更になっていました。
出演辞退となったグループの一つには、観たかったグループもありました。
残念ですが、当分の間ライブは蓋を開けるまでどうなるか分からないという、このような状態が続くのでしょう。
とは言っても、開催中止にならないだけありがたいことです。
ここからはこの日、主に観ていた以下5組のアイドルについて雑感を書いていきます。
・ミームトーキョー
・サンダルテレフォン
・NEMURIORCA
・Pimm’s
・群青の世界
ミームトーキョー
リルネードというグループがあります。
ディアステージから、2019年7月31日にデビューしました。
リルネードは、結成からまる二年に当たる2021年の7月31日、デビューした会場の渋谷WWWXにて2周年ワンマンライブを成功させました。
そんなリルネードと全く同じタイミングでデビューしたグループがあります。
二周年ライブは、その日のリルネードの出番から4時間後に開催されました。
ミームトーキョーです。
2年前、両グループは同事務所から合同お披露目ライブにてデビューしました。
スタートラインは同じなのですが、この2年間で、曲やコンセプトは互いに違う方向を走っていきました。
「2020年代のオシャカワ」をかかげ、王道アイドル路線を進むリルネードに対し、ミームトーキョーは2020年代のアングラとでも言いましょうか。
STUDIO COAST特有のどぎついレーザー光線がよく似合うグループです。
メンバーはカジュアルな私服風衣装を着て、けり上げて弾みをつけるような動きをしながら気持ちを歌詞に吐き出します。
この姿は一目見るだけで、胸のすくような気分になります。
自然と身体を動かしたくなる曲の中には、吐き捨てながらも「捨てたもんじゃないぜ人生」と、メッセージが綺麗に折りたたまれています。
センターでソロを歌い終わったとき、明るめにカラーを入れた髪型をしたMEWさんの後ろ姿は大きく見えました。
さっきのソロパート、上手く歌えたかな?という不安はどこにもありません。
ステージに立つ人の自信は、表現に説得力を与えてくれます。
書き出してておきたいシーンがあります。
3曲目「スーサイド・ボーダレス」が終わり、最後の曲に入る時。
曲の転換に空白が生まれました。
時間にして20秒くらい。
ここまで激しく踊ってきたミームトーキョーのメンバーの呼吸を一旦整えるためというのもあったのでしょうが、それだけにしては余裕を持ちすぎている気がします。
勝手な憶測ですが、これはあえての空白ではないのかなと思っています。
今回のようなライブアイドルが多数出演するフェスには、グループの入れ替え時間がほとんどありません。
出来る限りたくさんの演者に出演してもらい、かつライブ時間をできるだけとりたいという思いの結果なのだと思います。
一緒にライブを観ている人と、さっきまでのライブについて話すことさえまともにできないほどです。
会話のラリーさえ十分にできないうちに暗転し、次のグループのOvertureが流れ始める...というせわしなさは、ライブアイドル独特のリズムだと思います。
パフォーマンスが止まないため、朝一発目から晩まで、絶えず爆音が流れ続けているということになります。
そんな中、ミームトーキョーが大胆にも作った空白。
この空白によって、何が起こったのだろうという意識をステージに向けさせます。
それまでの流れが一旦途絶え、まっさらになりました。
そんな余白をおいて静かに始まったのが「ブランニューワールド」。
サビに入ると、ステージ後ろの照明がカッと強くたかれました。
あまりに眩しすぎて、ステージ上のメンバーのことを捉えるどころか目も開けていられません。
目は開けていられませんが、サビのメロディーが聴こえたとき、照明でも光の当たることがない、心の何処かにある視界が大きく開けた気がしました。
晴れやかな気分になっていきます。
あてもなく駆け抜ける僕ら
夜明けの光を求めて
空はずっと続いてるんだから
これまでの3曲と随分毛色が違うなと思っていたら、「ブランニューワールド」は事務所の先輩であるでんぱ組.incからの継承曲とのことでした。
サンダルテレフォン
チケットを買ったときにそういえばと思ったことがあります。
サンダルテレフォンを単独ライブ以外で観るのはこの日が半年ぶりでした。
土日や休日の多くを、サンダルテレフォンは対バンライブに出演しているのですが、主催公演にも手を抜いておらず、定期公演は月に一回必ず開催されます。
2周年ライブや東名阪ツアーなど節目のライブもありました。
主催公演がコンスタントに開催されているので、対バンライブにまで手を伸ばすことがなかったのですが、換言すれば、どれほど定期公演で満足させてもらっていることかということです。
改めて、月一回必ず開催してくれていることのありがたみをひしと感じます。
定期公演の会場よりもかなり大きめの会場で観るサンダルテレフォンでしたが、広い会場になりのパフォーマンスをしていたような気がします。
例えると、普通のカメラで取った、切手サイズの小さな写真をポスターほどの大きさまで拡大しようとすると、普通は伸ばされた画像はぼやっと粗くなってしまいます。
サンダルテレフォンの場合はそうではなく、会場がどれほど広くなろうが粗くならず、定期公演の時と変わらないパフォーマンスの精度でした。
お客さんがたくさんいようが、フロアにいる全員とできるだけコンタクトを取ろうという姿勢や、4人を4人と思わせないようなステージの広さを使ったダンスなど、「らしさ」が出ていました。
それに加えて、西脇朱音さんと藤井エリカさんはとりわけでしたが、いつにも増した笑顔も心を打ちました。
「碧い鏡」では、夏芽ナツさんの「特別であること憧れて」というフレーズ。
サンダルテレフォンの曲には、特定のメンバーと相性が極端に良い曲、あるいは悪い曲はないと思っているのですが、この「碧い鏡」だけは夏芽さんの声質と抜群に合う曲だと思っています。
ここでの夏芽さん特有の高音には、主張しすぎず、さりげなくもしっかりとビブラートがかかり、伴奏の音まで一緒に引き下げられていくように感じました。
当然の反応として、鳥肌も立ってきます。
最後の曲。
序盤にはまばらだったフロアの中央部分に、お客さんがいくらか入ってきました。
中央が埋まり、あと一曲への雰囲気が作られます。
STUDIO COASTには大きなミラーボールが天井に括りつけられています。
サンダルテレフォンの曲で、ミラーボールが似合う曲、もうこれしかありません。
「Magic All Night」
しかし、すぐにはイントロへと行きません。
もったいぶってじらすように、テンポよく刻むパーカッションの音が聴こえます。
「皆さんも一緒に手拍子してください!」夏芽さんの訴えに合わせて手拍子の輪が広がり、場は整いました。
ここでいよいよ曲へと移ります。
待ちわびたイントロで、両腕を曲げながら後退する振り付けの4拍目、メンバーに合わせて手を叩く時の気持ちよさは、なかなか他に変えられるものではありません。
「Magic All Night」のサビ、右腕を斜め上に挙げながら同じリズムで右足を空で蹴り上げる振り付けがあります。
定期公演の会場ではフロアの後方から見ているため、メンバーの足元までよく見えていませんでした。
この日、蹴り上げる足を見て、その高さに驚きました。
サンダルテレフォンのファンの方の多くは「フリコピ」をよくしておりその正確さにはびっくりさせられますが、さすがのフリコピ部をもってもこの足の高さは再現できないのではないでしょうか。
NEMURIORCA
初めは特に意識にも及んでなかったものも、繰り返し触れていくことでどんどん好きになっていくというのはよくあることです。
「知る」ということは、好きになるためのステップとしてかなり大きな一歩なのでしょう。
単純接触効果というらしいですが、人間のありがちな行動パターンとして学術的にも認められているそうです。
このグループを好きになるハードルは、もはやハードルとも思わないほど低くなっていたのかもしれません。
NEMURIORCA。
前回始めてグループを観たのは7月開催の対バンライブと、初見から日も浅いのですが、それからここまでの一カ月でも、ライブレポを書く過程で曲を聴きこんだりライブ映像を見返すなどしており、グループのことを多少なり知ることはできていました。
この日披露された「シャチメロン」という曲。
間奏で、髪に青系の色を入れたロキチャンが、フロアに向かってメッセージを飛ばし、誓いの合図を送るかのように中指を立てる光景があるのですが、ここなど、一度は目にしていただけに随分と親しみというか、見慣れた感がありました。
高めにエフェクトのかかったメンバーの歌声も、はじめて聴いたときこそ多少の違和感があったものですが、耳を撫ぜられるようなその高音は聴くごとに心地いい感覚へと変わっていきました。
かと思えば、レンさんだったでしょうか。
同じく「シャチメロン」ソロでは太い声も突如として現れたりします。
野太い声は電子音のなかに撃ち込まれ、その対比効果で強調されただけではなく耳に残りました。
ミームトーキョーのときにも書きましたがこの日、ステージ上の照明がかなり強く、演出にしてもやりすぎと思っていました。
目も開けていられなく、顔をあげてステージを見るなんてとても出来ません。
やがて、光が弱まったように感じました。
多少の明順応のおかげなのか、それとも照明の絞りがゆるんだからなのか、ようやくステージ上のメンバーのシルエットぐらいが見えるようになったとき、照明にやられて雪目のようになった目にはぼやっとした残像が残っていました。
ここで聴こえた太い歌声はアクセントと言うにはあまりにも強く、STUIDIO COASTの照明の残像のように、後遺症に近いと言えるような跡を耳にくっきりと残しました。
ところで、NEMURIORCAのステージを観て気付いたことがあります。
歌っていない時のメンバーをふと見ると、白い歯を見せて笑うでもなく、かといってはりつめた真剣な表情をするわけでもなく、その中間のような面持ちをしている姿が目立ちました。
もっとも、ニコッとしているメンバーもいるにはいるのですが、何とも言えない表情は遠目からでもわかり、なにか不思議だなと思っていました。
目線が送る先もまた独特で、フロアの後ろのお客さんというよりもそれよりもっと向こうの虚空を見つめているようなイメージです。
だからどうということではないのですが、「にんげんをすくいたい」と掲げるNEMURIORCAのこと、これも世界観の一つなのかもしれないと考えると面白いかもしれません。
Pimm’s
この4月まで転校少女*というアイドルグループにいた小倉月奏さんがこんなツイートをしていました。
今年の5月のことです。
「こんなに全員が歌上手いグループあるのって(思う)くらいすごい」
小倉さんがすごいと絶賛したそのグループが、この日メインステージ9組目に出演した6人組アイドルグループ、「Pimm’s(ピムス)」です。
このツイートをもう少し掘り下げてみます。
Pimm’sの小山星奈さんと懇意にしている小倉さんが、転校少女*を脱退後、半分ファン、半分関係者のような形でPimm’sのライブを観に行った時の感想がこれだったのですが、このツイートをしたのが小倉さんということに大きな意味があると思っています。
というのも、小倉さんがかつていた転校少女*も、歌唱力の高さに定評があるグループです。
オリジナルメンバーの塩川莉世さんと松井さやかさんの歌声については「業界屈指」というタグさえ付けられています。
この評価には、贔屓目というフィルターを外したとて、言い過ぎだとは思いません。
この二人に加え、短い在籍期間でしたが小倉さんの歌声も安定しており、歌に長けた3人による歌姫三本柱はがっしりと出来上がっていました。
小倉さん本人としても、自身やグループの歌唱力の高さには、それなりのこだわりや自負があったと思います。
そもそも、小倉さんは転校少女*加入前、塩川さんの歌声を聴き、いつかこの子と並んで歌いたいと思い転校少女*のオーディションを受けたのだと、過去の配信で口にしてもいました。
そんなグループにいて、横で化け物級の歌声を聴いてきた小倉さんでさえ「こんなグループあるの」と思ってしまうグループがある。
それがPimm’sだということなのです。
たった一つの感想ツイートではありますが、小倉さんのツイートは、Pimm’sの歌唱力への説得力を強く肉付けするような気がします。
僕としても、まだ知らないアイドルグループがたくさんあることは分かっていながらも、この日のライブを観て小倉さんのツイートには共感しました。
確かにメンバーみな歌が上手い。
クリアな歌声はごちゃごちゃせず抜けていき、かりに、マイクを通さずにメンバーの歌声を聴く機会があったとしても、こんな具合に聴こえるのだろうなと想像できます。
ライブのアーカイブ配信を見返しました。Pimm'sのすごさは、生で観ている時の興奮から一歩抜け出した、映像配信を見てもよくわかります。
一般に、ライブとその模様を収めた映像とではギャップを感じることが多くあります。
寄りのショットがあったり良いシーンや角度を切り取ってくれる分、絵面としては映像に分があるのかもしれませんが、歌声となるとどういうわけか映像のほうが見劣りしてしまうことが多いです。
これは、居合わせた生の現場の雰囲気に絆されて、本来以上に歌声が良く聴こえているということだけではどうも説明できないような気がします。
マイクが拾った音を、アンプを通して増幅させるか、そのままカメラに収めるかの違いが耳への違和感になるのでしょう。
Pimm’sの場合、スマホ越しに映像を眺めても歌声は光っていました。
アンプやPAに頼らない歌声というのはこういうことなのかもしれません。
Pimm’sは新体制初となるアルバムリリースを11月に控えており、それに向けて衣装を一新しました。
深い紺色を下地に、いくらかあかるい青色のチェック柄が配置されています。
スカートの丈や形、トップスのつくりはメンバーごとに違います。
ステージでは、後ろから強く照ってくる照明に当たって影となり、衣装が全体的に黒っぽく見えました。
ステージ背景と色が同化した衣装は前に出すぎず、一歩引いて歌を立たせていました。
本編に入ると、一曲目「Original War」の小山さんの歌いだしから度肝を抜かれます。
「Originalを空飛ばして
バレた言い訳(ウソ)も今日でGood bye キラキラの明日へ」
高橋真由さんと川崎優菜さんの、投げおろしていくような両翼のラップパートは重くのしかかってきます。
林茜実里さんは、歌い方が情熱的で、何よりここに引き込まれます。
遠くからより、映像のような近い位置からソロを観ていたいメンバーです。
「Like a Sunflower」という曲。
聴きながら、ここは難しいパートだろうと思うところがあります。
1番サビで言うところの、「会えない不思議(はてな)手にして」のパートです。
「あえない」の「え」の音で最高音を迎えます。
恐らく「レ#」の音です。
それだけでなく、直前の音は低い「ファ」と、低音から高音に一気に上げないといけなく、とにかく技術が要るところだと思います。
パート割を見てみました。
誰かに偏ることなく、まんべんなく割り振られています。
1番では林茜実里さんから早川渚紗さん、2番では小山星奈さんから小林智絵さん。
ワンフレーズのパート割だけで判断するのも間違いとは思いますが、これはそれだけメンバーのレベルがおしなべて高いということを照明するものなのではないでしょうか。
最後に書いておきたい人がいます。
おそらくグループで一番背が低いのでしょう。
プロフィールに身長148cmとあるメンバーです。
早川渚紗さん。
ソロパートを見てみるとよくわかるのですが、パートを歌い終わったあと、早川さんはニコッと笑います。
何をここで書きたいかというと、その笑みを見せるタイミングが、早いのです。
歌い終わって一呼吸もおかないで見せる表情は、笑いながら歌っているのかとさえこちらに思わせます。
実際、配信を見返してみると、早川さんは本当に口角を上げながら、苦しさとは無縁の表情で歌っています。
どのグループであっても、ソロパートの扱い方には、メンバーごとの個性が見えます。
ソロを歌うメンバーにとっては見せ場であり、フロアの視線の多くは唯一の音があるほうに向けられます。
その時ばかりは焦点がグループから離れてソロのメンバーに向き、文字通りピンスポットを浴びることのできる瞬間です。
そこでどんな振る舞いをするか。
ピンスポットの中で、気持ちをマイクに預けるように、アイドルはうたい、それが数メートル離れたこちらの心に届き、時に心を震わせるのですが、早川さんは歌うことが心底楽しくてしょうがないといった、それともまた一段違った心境でパフォーマンスをしているように見えました。
Pimm’sはメンバーの歌唱力がみな高いことから、「Like a Sunflower」のように曲のキーも高めな印象です。
早川さん担当のパートも、歌いやすい楽勝なパートとは思いませんでしたが、そこまでの裏側や苦労など感じさせないかのような笑顔でした。
Pimm’sは最後までMCを挟まず、6曲を連続でやりきりました。
圧巻です。
群青の世界
相手のことをよく知らないときに、外側だけをなぞって、目に見えない中身までもさも分かったかのように判断をしてしまうことがあります。
いわゆる一つの「食わず嫌い」。
大いに自覚するところであり、見えている部分だけで決めつけるのは治さないといけないところだと思いつつも、けれども大昔の人にとっては重要な能力だったのかもしれません。
周りが敵か味方か分からない状況下では、「良いモノか悪モノか」を瞬時に見極めて行動に移さなければ、文字通り命の危険があったからです。
それを思うと、治さないといけないと一方では思うものの、その一方で大昔からコードされている遺伝子を受け継いでの「食わず嫌い」だから治しようがないんだよなと、開き直るような気持ちもあります。
食わず嫌い的観点で見ると、外側だけでも魅力的に見えるのが群青の世界です。
アーティスト写真です。
おとなしく、つつましく佇む姿。
乱暴な物言いになるかもしれませんが、一つ言葉を当てはめるのなら「清楚」ということになろうかと思います。
もっとも、グループのインタビューを読んでみると実際のメンバーのパーソナリティーは見た目に反して結構賑やからしいのですが、あくまで初見の、輪郭をたどった段階での話です。
そして衣装です。
グループ名にある「群青」とは、やや紫がかった青色を指すのだそうですが、衣装の配色は、群青色というよりも空色に近く見えます
近くから見ると、それともまた少し違った色合いに見えるのですが。
他にはない心地いい色合いです。
透き通るような青色が乗り、角張った装飾がない衣装は、ステージに立つメンバー5人の境界線をあいまいにします。
そしてグループ名。
「群青の世界」という、音の響きと、字面の良さ。
思わず口に出して発音したくなりますし、必要以上に文字に書いてみたくもなります。
曲はというと、ここまで書いた看板とも相反しません。
歌詞に共感するファンが多いという「エモーショナル」な言葉が乗った、ロックサウンドの涼しいポップス系です。
一方で、メンバー自身「振れ幅が大きい」と称しており、一言で言い切ってしまえないほど曲に奥深さがあるというのも一つの側面です。
個人的には「Nonstop」という曲の、押さえつけられたような世界観がすごく気になるのですが、対バンライブではほとんどかかることのない曲のようです。
甘い恋愛を歌うアイドルソングでもなく、フロアを一息に着火するような熱いソングというわけでもなく、すましたようなおしゃれ系というわけでもありません。
意外と他ではあまり見かけないサウンドであり、それこそ、これが群青の世界の「世界」なのではないかと感じます。
これが、群青の世界について、曲を聴き情報に目を通しての感想です。
ただ、群青の世界については目につきやすい外側だけではなく、その中身、パフォーマンスについても語ってみたくなる魅力があります。
水野まゆさんは指先が長く、振り付けに上品さを加えていました。
人を笑顔にさせてしまうところがあるメンバーと思います。
この翌日に20歳の誕生日を控えていた横田ふみかさんは、気持ちを込めるところで「ふと」下を向く姿が印象的でした。
終盤、喉を消耗したのか少しかすれ気味になったような声となっていましたが、それがまたグループの低音域を広げていました。
群青の世界のダンスは、腰のあたりからひねる動きなど、バレエのそれに見える動作もあるかと思えば、端から中央まで走ってフォーメーションチェンジをするところもあるなど、歌っている最中に息が切れてしまうのではないかとこちらが勝手に心配してしまいます。
工藤みかさん作詞の「青い光」など、サビの振り付けのビートは速いです。
加えて衣装の通気性も良さそうではありません。
それでも、メンバーは涼しい顔をしてやりきってしまいます。
そこが素晴らしいです。
群青の世界を観ていると、求めていたものを埋めてくれるような感覚を得ます。
ライブレポの締めとして少しここに残そうと思います。
強い言葉が目立つ現在。
このライブレポもそうなのですが、誰でも好きに語れてしまい、それがまたネットワークによってあっという間にあちこちにまで広がっていきます。
拡散とはよくいったものだと思います。
見たくないものも、こちらから働きかけなくとも見えてしまう。
ものごとを善か悪かの二択で分け、拡散力にまかせて強く言い切ってしまった者勝ちみたいなところがある、とこの時代に感じているのは僕だけでしょうか。
窮屈なこの時代は少しずつ、ぼくたちを疲れさせます。
そんなモヤモヤは、他とは違う、クリアな青で清廉な世界を作り出している群青の世界を見ることできれいさっぱり洗い流してくれるような気がしました。
冒頭で書いた「看板」の魅力の中には、そこに身を預けたくなるような期待感を含んでいます。
だからこそ、食わず嫌い的に惹かれたのかもしれません。
今回のライブを観て、直感というコンパスは案外正確なのかもしれない。そんな気がしてきました。