見出し画像

改・「60おっさんのタイからラオス・初めてのバックパッカー1人旅」 note版

〜ドンデッド・ディナーのひと時
No.17

陽が暮れ始めた頃、
AYさんの宿へ自転車で向かう。
細い1本道を、ルンルンルンと漕ぐ。

宿近くに来たら、
昨日、買ったオレンジのパンツを爽やかに揺らす彼女がいた。
とってもニコニコしている。

「おお、それ、明るいやん」
「そーう・・・あのさ・・・、
あの乱暴な運転していた人の店、あったでしょ。
あそこで、私の言ってた美味しい鍋と焼肉あるんだって。
だから、そこ行こ!」
と、2人で向かう。

入る直前、
店前のメニューを確認する、AYさん。
「?!」
腑に落ちない。
違う感じがするらしい。

「私、どこかで見たんだよなぁ。
でも、ここ、メニュー・・・無いなぁ・・・」
と呟いている。

「ちょっと、フェリー船着場の方へ戻ってみようか」
「ええ、でも、あの兄ちゃんに言ったんじゃないの?」
「ウフん。イイんじゃない」
旅慣れた彼女。
悪気は無い、爽やかだ。

しばらく行くと、
何度か目にした気になるオシャレな店で、
彼女が立ち止まった。
「・・・!?・・・!!」
徐に入り、
カウンターで確認。
「ここだ!ここです」

メコン川を望む、テラスの席で
ビールと目当ての鍋と焼肉を待つ。

暮れてきた夜、
暖色系のランプが頭上で灯り、
テーブルを照らす。

来た!
焼肉プレートと鍋が合体された電気機器。

プレートで肉を焼き、
横ではグツグツ鍋が煮えている。
みそ味風のタレで肉を頬張り、
コンソメ風味の鍋の野菜をつまみ、
空芯菜の炒め物も味わう。

家族のこと、
悩み事、
他、いろいろな事を知り、
彼女は一生懸命生きているんだなぁと感心。

それに比べて、明日のドンデッド脱出、
タイ入国、パタヤー行きは大丈夫かと
不安を感じている僕はなんと小心者かと嫌悪する。

「AYさんご馳走さんでした。ありがとうございました」

ビール代だけは支払い、
AY さんと握手を交わし、別れた。

手元には、なんと1000Kipだけ。
13円だ。
何も買えない。
しゃーない、タイ入るまで節約だ。
「でも、バーツは持ってるからな」
と、宿に戻り、
レンタサイクルをひっそりとした”Mr Tho's Bungalows"の店先に置き、
ゆっくりとシャワーを浴びる。

iPhoneを見ると、
ラインが・・・、
「何か判らないことがあれば何でも連絡下さい」
とAYさんから。

嬉しいじゃないか。心強くなる。

サポートしていただけましたら、より一層、充実した日々が送れると共に、明日へのパワーが漲ります!よろしくお願いします。