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改・「60おっさんのタイからラオス・初めてのバックパッカー1人旅」 note版


〜1万Kipのラオビールと中継地点パクセーのランチとディナー
No.12


ホテル近くに来ると、
とっても軽〜い感じの短パンとビーサンの彼女がやって来た。
その溢れるリラックス感が、
僕の強張り感を柔らかくしてくれた。

旅道中、
ピリピリした神経はこういうときに緩〜く、
一気に解きほぐされるんだなぁと、
その心変わりに感心するばかり。

「ゆっくりできました?」
「ラインで連絡とかで結構、忙しかったです」

会った途端、たまたま、そこにあったチケット屋で、
彼女は、目当てのチケットの表示を見て躊躇なく、
明日行く、
ドンデッド行きのチケット(バス&フェリー付き)、
65000Kip、1枚を購入。

ペラペラの書式の紙片に、
料金、行き先、時間、サインをして一丁あがり。

ナントまぁ、お手軽、大丈夫?
この料金の分配はどうなんの?
バス会社に船会社、ここの代理業社、
さらに、よそとブッキングしないの?と・・・、
ダフ屋的雰囲気の兄ちゃんに大丈夫なんかいなと思いながら・・・。

『僕は、ここで、あと一泊して、
ウボンラチャターニーにでも戻ろかなぁ・・・』

と、彼女の行き先が気になるものの、行動を決めずにいた。

それから、遅い昼を、
彼女のホテルのレストランで、
麺(ラーメンみたいな塩味にミントが入ったもの)と、
ラオビール(10000Kip 131円)を注文。



麺は美味しいのか美味しくないのか判らない、不明な味だった。
合計5000Kip。

「ここはご馳走します!」
中年男のオッさんはそれなりに勘定を受け持った。

その後、彼女から、良かったら晩でもとの誘い。
気分良く頷く。
『うーん、嬉しいな。ルンルン』

通りの向かいにあるドラッグストアーで
互いに必需品の水を買う。
僕はついでに、アイスバー2本を購入し、
6時に行く約束をして、
1本、アイスバーを渡した。

この様な行動が、なぜ若かりし頃、20〜30代にバンバン出来んかったんや。
こんな感じで気さくに対応出来ていれば、色んな出会いや別れ、良きも悪くも経験しており、私の人生も濃密で大きく変わっていただろうなぁーって感傷に浸る。

『シャワーでも浴びてリラックスしよう。
で、明日、どうしようかな・・・?』

勢い良いシャワーを浴びながら、
なぜか、THB、Kip の貨幣の変換をしている。

『2000THBは・・・50万8000Kip ・・・6700円、両替したけど、
THBからKip!へ。桁が、1桁多いよ・・・10万、20万、30万って!?
えーっと、1万Kipが130円、ビール、大瓶1本、これでOK!
これがKipの基準だ!・・・』

ということを思いながら、外へ出て、歩き廻る。



川幅の広〜いメコン川をぼんやり眺めながら、

『彼女の足手纏いでウザイと思われるかもしれないけど、
やはり、折角来たんだ、こんな夢にも見なかった地へ・・・、
AY さんも行ってみたい、いい所。
メコン川の中にある島、ドンデッド・・・
でも、やっぱり、なんか、そう、やらしい感じしちゃうよな・・・』

で、・・・AYさんと会うなり、
「僕も行きます」
と言ってしまう。

彼女のリアクション、至って普通。
「いいと思う」
即、チケット、65000Kipを同じチケット屋で購入。

陽が傾きかけた頃、
街を散策がてら、いい店あったら入ろうかとテクテク、ウロチョロ。

スーパーマーケットみたいな露店の集まった所、
カフェ、ピッツア屋、ヴィエンチャン行きバスターミナル・・・。
素っ裸の5才くらいの可愛い女の子が水浴び、私はパチリ。


AYさんは、のっそりと歩く黒猫を見つけると、
ミラーレスカメラを出し、パチリ。

「おお、いいモノ持ってるやん!」
ニッコリ笑んで、
「私、ホント猫好きなの!家でも飼ってるし。
おばあちゃんも猫、だーい好きなんですよ」

再び、シャッターチャンスを狙ってパチリ。

「お店ないよね!私のホテルの反対側に行ってみようか?」
「そうやね」
「私、結構歩くの好きなの」
「おー、そうなんや」

僕の足は、少々、疲れていた。
が、黙って、

『ホンマやな、歩き廻ってもへっちゃららしく足取りが軽い。
気に入るお店見つける根性ありだなと。
今までこんな感じの子と会ったことなかったな』
と後をついていた。

これでも、もし、私に遠慮して歩いてたら、それはそれで凄いな。


彼女のホテルの前に戻り、ストリートを逆方向に行くと、
交差点、左手側・・・。
通りを挟んで向い合う2店のレストランの灯りが競っているように見える。
客入りの多い店に決める。
アジア系、欧米系、色んな人がディナーを楽しんでいる。

僕はビール、フランスパンにチキンをサンドしたモノとフレンチフライ。
彼女は、シンプルに海鮮エビチャーハン?
を注文。

来た!!
ラオス料理じゃないやん!と思いながらガブリ?
アレ、前歯の1本が動いた。
ヤバッ!接着、外れる。
グラグラ動いていたの歯医者でくっ付けてもらっていたのです。

『ああ〜、仕方ないな・・・』

静かに食べようと、口をモグモグさせる。

昼が遅かったせいで、お腹いっぱい・・・、
残しそうだ。

本来なら2人で夕食を楽しまなきゃいけないのに、
お互いスマホで明日のホテル探しに夢中だ。

だって、明日だ、心配だ。
仕方ない。
先ずは、宿を決めて、それから、ゆっくり、ディナーを楽しもう。

彼女は3泊する予定なのか奮発して良い宿をとったみたいだ。

僕はバンガロー風の宿をゲット!
9500Kip 1300円、まぁそんなもんだろう。
日本では安くて堪らんが、現地感覚になっているみたいで、
ちょっと高い気がした。

『とりあえず1泊か?
良ければ、その場でまた、1泊、追加すれば良い』

宿の予約ができ、安心したのか、ゆっくりするどころか、
早々に夕食を終え、明日に備えて、宿に戻る・・・。

パクセー。

ここは、目的地へ行くまでの、
中継地点みたいな滞在なんだなぁ、単なる通過点やなぁ、
と、思ったりもしたが、
僕にとっては、
やはり、これも一つの旅の行程、密度の高い確かな、断片である。

で、暗い夜道、
彼女のホテルから4、5分のところ、
明るい時と違って暗い時の風景がしっくりこない。
迷いに迷って、2、3の人に尋ねたりして、
心細くなるも、30分ほどかかって、やっとの事で宿に着く。

振り返れば、ほんの1ブロック先に進めばいいところを、
何故か何度もその手前まで来たハズなのに、
その先を行かなかったんだ。
思い込みは怖いもんだ。
ほんの1ブロック先の左手に在ったのに。

『ヤレヤレ、やっと、着いたわ』

と、部屋のドアを開けると、
若い金髪の女性が右手のベッドで寝転びスマホを見ているではないか。

『オオ〜、混合ドミ!彼女は平気か・・・!?
当たり前よ。バックパッカー達はそんなこと気にしない。
それがいいんだよ』と心の声。

「Where are you from?」
「Swissland」

「From Japan」って言い返したかは、忘れてしまった。

それっきり、何も言わず、
ルームライトのオン、オフだけ、目配せして(世界共通)、
自分のベッドに就く。

スマホに夢中の彼女に、それ以上声も掛けられず、(←またもやか?!)
ドアの開け閉め、荷造りの音に気遣い、
喋れないもんなと開き直る・・・ブツブツブツ。
残念で、情けない!

というか、明日のAYさんとのドンデッド行きのことも気に掛かる・・・。

『でもさ、スイスの女性だよ』
喋ることが出来れば、どんな未知の世界が拡がっていくのか?

・・・ってことで。

目が覚めると、
彼女が眠りについてるうちに、その部屋を出て行く。


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