兄のペニスを舐めた頃

みんなが好きな私は
クスリでハイになってる時
みんなが好きな私は
とにかく…
私じゃないの
あれは私じゃない
本当の私じゃない

彼が私のクリトリスをまさぐったとき
私は傷つくべきだった
そして苦しんでいれば
被害者でいられた
私はあのとき最高に興奮してたの
女であることを祝福した
そして兄の睾丸を頬張り
父の尻を舐めた

父に犯されればせめて
憎むこともできた
私はただ焦がれた
ある日男が現れて
塾の帰りに拐ってくれることを
そして激しく痛めつけられレイプされることを

両親を離婚させたくなくて
二人を集めてただリビングで聴いた
Rolling in the Deep
どんな歌詞なのかも
曖昧なままで
…The scars of your love remind me of us…
その傷は私だったというのに
滑稽なあの夜のことをまだ覚えてる

みんなが好きな私は
一体あれは誰?
明るくて朗らかで陽気な女
オピオイドでネジの外れた女
私はまだあの小説を完成させられずにいる
あの主人公はまだもがいてる
私はもう大人になったふりをして
彼女を見捨てようとしている

私はチヒロだった
今なら彼女の名前がわかる
彼女はK...と呼んでいたけど
今ならわかる
彼女には本当は
チヒロという名前があったんだと


私は醜く
男を焦がれていた
10歳の秋

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