1日10時間
1日10時間
中学三年生の夏休みに入る前、当時の担任の先生が、
「受験する気があるなら、毎日十時間勉強しなさい。それが最低ライン。それが出来ないなら受験する資格なし。」と言いました。私は兄弟はいたのですが、年が離れていて、相談しても、今の受験はわからない、としか答えてくれず、何となく友だちにも確認できないまま夏休みが始まりました。毎日、その日の行動を帯グラフのような物で記入して提出することになっていたので、先生の言葉を信じて暑い中、来る日も来る日も十時間勉強していました。夏休みが終わり、始業式。行動グラフを持って教室へ。私のグラフを見た友だちが、唖然としているので
「どうしたの。」ときくと、「毎日十時間勉強してるから、驚いた。」と言われ、こちらが驚き。ほかの友達にも確認しても、馬鹿正直に毎日言われた通り勉強していた子は、ほぼいませんでした。先生には褒められはしましたが、私は素直に喜ぶことはできませんでした。結果から言えば、志望校には無事に合格したのですが、当然ながら、10時間勉強していなかった子達も、普通に合格していました。中3の夏、勉強時間を半分にしていたら、もしかしていい意味で、違う人生があったのかも、とその後も何度となく思いました。まあ逆に受験に失敗して、悪い意味で違う人生に、と言う可能性も否定はできないので、何が正解かは、わかりませんが、少なくともあの夏休みから40年経った、今も当時のクラスメイトの間で笑い話のタネにはなっています。