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それぞれの帰る場所③

実家の庭には、巨大なジョロウグモが代々住み着いていて、巣を張る場所もだいたい決まっている。

ある夏、母の通り道に巣を張るクモがいた。
母は顔に巣が張り付く度に、うヒャア!と大騒ぎしていた。

何度かそんなことがあって、しばらくすると、その通り道を通っても巣に引っかからなくなった。

別の場所に行ったのかな、と上を見ると、母の背丈ちょうどぎりぎり引っかからないくらいの場所に、立派な蜘蛛の巣が張ってあった。
しかも、なんか、横に一本張られた糸がキンキラキンに光っている。

母は、へ?と思い、その金色の糸をマジマジと観察した。

どうやら、ちょうど母の頭の上の位置の横糸だけ、何度も重ねられて色が濃くなり、金色に光っていたのだ。

これでわかるでしょ、壊さないでくださいね、というクモの意思表示であった。

でも、やっぱりその場所がいいんだね。

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