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そばの実のカーシャを美味しく食べる

忙しい人向けのレシピ

①カーシャを水と塩で炊いてバターを合わせる
②炒めて色づいた玉ねぎに、みじん切りにした舞茸、豚のひき肉を合わせて炒める
③両者を合わせてスパイスを加え、塩コショウで味付けして完成


いかにしてカーシャを知ったか

海外の映画やドラマを見るたびに、そこに出てくる食べ物に興味が湧く。ハリーポッターなどに出てくる料理が気になって、母を質問攻めにしたのも懐かしい思い出である。

その中でも最近はオートミール(よくドラマで子供が「うげー今日もオートミールかよ!ぼくドーナツがいい!」と言うアレだ)を初めて食べて、その味に心を動かされた。

想像を超え、あまりにも美味しくなかったのだ。


オーツ麦は別名燕麦(えんばく)というらしく、その漢字を分解すればツバメのムギで、勝手に解釈すればトリのエサというふうにも捉えられる。
味自体はなるほど納得といった味わいで、単体ではとてもではないが食べられなかった。鼻に抜けるのはそのまま鳥小屋の味わいである。
ヨーグルトの酸味と蜂蜜の甘味に香りを足してようやく美味しく食べられた。
毎朝食べ続けた今はまるで問題なく食べられるが、食べた当初はそんな印象であった。


そして次に気になったもの、それはカーシャだった。

最初にカーシャを知ったのは、15年ほど前にシベリア抑留を描いた番組を見た時だったと記憶している。
「具のとても少ないカーシャが供された」というような話だったろうか。(他にはクロイツェルという名前の女性の上官が出てきたのも覚えている)

それからロシア映画を見る時には意識してみているが、なんらかの茶色の食べ物を食べているのだった。それがまさに(本物の)カーシャであった。
粥というには水気がなさすぎる。味はしょっぱいのか、あるいは甘いのか。具は何か。原材料は。食べる頻度は……

抑えられぬ好奇心が暴走した結果、ネットで購入してしまったのがこれである。

カーシャはいわゆる“粥”だが、ロシアでは一般にそばの実を用いて作られているようだ。
日本でも極めてメジャーなそばではあるが、実のまま食べる習慣はあまり聞いたことがない。いよいよこれを調理する。口に合うか合わなか。

カーシャのレシピ

何度か試行錯誤して、ようやく人に食べさせても胸を張れるレベルのものが出来上がったので、ここに記す。



まずはそばの実を炊くところから。
そばの実100gをフライパンにいれ、しっかり多めの水をいれて、1-2センチメートルほど沈むようにする。
調べるとそばの実1カップに対して、水は1.5-2カップを入れるのが良いようだ。

沸騰したら弱火にして、ぐつぐつ煮込む。あまり掻き回す必要はなく、そのまま放置で良い。15-20分ほど煮込むと、水気が飛んでくる。そうしたら塩をふり味見をして、ベースのそばの実ができあがる。


玉ねぎ小1つをみじん切りにする。細かくすれば、そばの実と均一の大きさになり、それはそれで良さそうだ。
今回はわずかに大きめにした。(結果、食感が活きるようで美味しかった)

玉ねぎはそのまま油で炒める。バターで炒めても良いだろうし、サラダ油でもオリーブ油でも良さそう。しんなりとして透明感が出てわずかに色づくまでとした。甘味が出ればそれで良いだろう。


玉ねぎを炒めているフライパンで、そのまま豚ひき肉を投入する。
(香ばしさを出したければ、玉ねぎを一度よけた上で、あまり崩さずに塊のまま焦げ目をつけるとよい。いかにも「肉を食っている」感じのする炒めひき肉ができる)

今回は粒のサイズがそばの実に近づくくらいにはひき肉を潰した。



最後に舞茸を1パック用意し、石づきを外した上でみじん切りにする。これもやはり食感を合わせるためである。
切ったらフライパンに投入して、軽く炒め合わせる。



味付けは主に塩胡椒とバターで行う。
「バターが多くてもカーシャは不味くならない」
ということわざがあるらしい。
バターにおいてはそのような扱いであるようだが、今回は10gほどにとどめた。
(以前ことわざを鵜呑みにしてどんどん足したところ、ひどい胃もたれに襲われたのだった)

ちょうど良い味になったところで、ひと工夫としてスパイス類を入れる。
今回頼ってみたのは、ローレルとホールのクミンだ。

どちらもカレーにいれるために買っているが、普段使いにもあらゆる場面で活用できる。
当然今回のカーシャにも合うはずだろう。
(前回に似たレシピをした後に塩胡椒で食べた際には、味が単調すぎて飽きてしまった)



炊き上がった蕎麦の実を、フライパンに移して全体を混ぜ合わせる。今回は玉ねぎ側の具材が多すぎたので半量を使い、ちょうどよかった。
ここで最後の味見を行い、適宜塩気の調節を行う。
そうして完成である。

味の感想

豚ひき肉由来、および、後入れしたバターによる脂分が非常に多いのが特徴的だった。いかにも寒い土地でカロリーを効率よく摂るための工夫を感じる。

ローレルは入れても良いが多分香りが強すぎるので不要。逆にクミンは量が多めでも美味しく食べられたかもしれない。
カレーばかり作るのも芸がないと思い、「カレー粉を入れる」という最強の解決策を振りかざすのはやめておいた。
他にはケチャップやトマト缶、トマトピューレを入れて調理しても間違いなく美味しいだろう。ミートソースのような雰囲気になるのではないだろうか。

総括

実は通販で注文する際のミスで、1.5kgのそばの実を買ってしまっていた。一体どうしたら使い切れるのかと困っていたが、少し工夫すれば、そばの実のもつ独特な癖を相殺して、美味しく食べられるようだ。

実はこのレシピで食べる前に、牛乳と蜂蜜をかけてそばの実を食べたが、蕎麦の癖が完全に残っており、あまり美味しいとは思えなかった。

このレシピであれば、そばの実がいくらでも食べられそうだった。万が一、映画に出てくる「カーシャ」に引っかかってしまった人へ。これなら美味しく食べられるかもしれない。

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