にゃにゃにゃにゃーん
全猫類日本支部よ、心して聞け！
西暦2022年2月22日
テレビをつければ『猫の日だにゃ～ん♡』の連続で、町を歩けば『猫の日セールだにゃ～ん♡』をやっている。日本という国は『猫の日』なるものに浮かれきっていた。
私の名前はシロ、その名の通り全身真っ白な猫である。八百屋のトラの息子として生まれ、現在は12歳、36歳独身男性会社員のご主人と一軒家で暮らす家猫。
そして、私にはもうひとつ別の顔がある。それは全猫類日本支部の『長』であることだ。
『長』と言ってもこのご時世、私よりも長生きの猫はたくさんいる。しかし、長生きだけがいいかと言うと、そうではない。
全猫類日本支部は、この先の猫の生き方について考え、より良い方向へと運ぶ役割があるのだ。まだまだ若輩者の私だが、全国の猫達にテレパシーを送るという大役を任されている。凄いであろう。額を撫でてくれても良いのだぞ。(ФωФ)ふぉっふぉっふぉっ
さて、今日はせっかくの『猫の日』なので、『猫の日』について皆にテレパシーを送ることにした。
『本日は晴天なり～、皆のもの今日の様子はいかがかにゃ～？』
『あぁ、今日は最高だにゃ～。朝からチュ～ルもらったにゃあ♪』
『優しくしてもらえたにゃ～♡』
『テレビでも猫の日特集してたにゃ～』
ふむ、やはり人間にとって『猫の日』は重大な日なのだな。ならば、西暦2222年2月22日22時22分22秒の人間達は、きっと嬉しさのあまり我らを崇め奉るに違いない。それこそが我ら猫類が人間界に君臨する最大のチャンスなのではないか⁉️
『皆のもの、来る西暦2222年2月22日22時22分22秒、事を起こそうではにゃいか……』
『しかし長よ、我らはそんなに長くは生きられにゃいし、人間のように紙に書いて残すことも出来ませんにゃ～』
『安心せい、みにゃのもの。私達はこうやって言葉で子や孫に伝えていけば問題はにゃかろう。たったの２００年、にゃぁに、あっという間にゃ！』
＊＊＊
西暦2222年2月22日22時22分12秒
運命の時間まであと10秒。
カウントダウンが始まった。
人間達のカウントダウンと同時に猫達もテレパシーを通じてその時を待った。
『3.2.1…』
『にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃ～にゃにゃ～、にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃ・にゃ・にゃ～♪…』
日本全国の猫達が歌い出した。
それもベートーヴェン交響曲第9番。
飼い猫も保護猫も野良猫もみんな同時に、第9の大合唱！
人間達の驚きと喜びは絶大で、瞬く間に全世界が知ることとなった。
大合唱が終わると、猫達は何事も無かったかのように日常に戻っていた。飼い主は涙を流し猫の大好きなチュルチュッチュを与え、何度も何度も撫で回していたという。
200年前の猫の思い、猫が猫による猫達の作戦で猫が世界に君臨した瞬間だった。
＊＊＊
西暦2025年2月
そこに猫はいますか？
『第9』歌ってみてください。
すでにテレパシーで練習が始まっています。
きっと尻尾を動かして反応するはずです。
d(⌒ー⌒)!