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闇は笑いでぶち壊せ!
コンセントくん番外編
『桃太郎🍑を読んでみた』
ここは妖精の森、
神様が描いた落書きたちが暮らす世界。
神様はね、ホント気まぐれなの。思い付きで落書きをする。そしてそれは命が吹き込まれて妖精になるんだ。でね、妖精の種類も神様の一言で決まっちゃうの。
「君はコンセントに似ているね」
と神様が言ったから、ぼくはコンセントの妖精になった。全身真っ白の棒人間にお肉をちょっとたした体と、真っ直ぐな縦の目と三角口。
( |∇|)ぼく、コンセントくん!
だからぼくの目にプラグを挿すと電気が流れるんだよ。妖精の森でぼくは唯一の電源だから、みんなぼくを大事にしてくれるんだ。
「コンセントくん、ちょっといい?」
今日は、ストーブとカラオケとオーブンとテレビのプラグを挿したよ。みんなすごく楽しそうだった。ぼくにはその姿が見えないけどね。みんなの笑い声を、膝をかかえて何時間も聞いていた。これってある意味拷問だよね。
( |∇|)でも泣かないよ、漏電しちゃうから。
だからぼくは真っ白な体なのに、体の中は真っ黒な闇なんだ。ま、いいけどね。
( |∇|) ふふふ
ぼく、今日ね『桃太郎』の絵本を読んだんだ。桃太郎はね、犬、猿、きじのお供を連れて鬼ヶ島に鬼退治に行くんだよ。すごいよね。かっこいいよね。憧れちゃう。
ここは妖精の森だから、探せば犬も猿もきじもいるかもしんない✨ぼく、桃太郎ごっこがしたい!
( |∇|) よし、やるぞー!
『きび団子の妖精、犬の妖精、猿の妖精、きじの妖精、鬼の妖精募集!』
と、広場の伝言板に書いてみた。
するとみんな暇人なのですぐに集まったよ。鬼の妖精はいなかったけどね。でも、鬼なら神様にお面をかぶってもらうからいいや、まずはきび団子を手に入れよう。
( |∇|)らんらんら~ん♪
顔のあるきび団子に手足が生えている。これがきび団子の妖精さん。
「きび団子の妖精さん、ぼくにきび団子を沢山くださいな」
「このご時世に誰がタダでやるか💢」
と言うので、ぼくの電力をあげようと、きび団子さんの手をぼくの目に……全力で拒否されました。なぜでしょう? そしてこのご時世にきび団子をタダでくれました。とてもいい人です。
次に犬、猿、きじの妖精さんに仲間になって欲しいとお願いをしました。
「きび団子くれたらいいよ」
と言うので、みんなで一緒に食べました。みんなで食べると美味しいです。でも、ちょっと甘過ぎたので、
「しょっぱいものも欲しくなっちゃった」
と、ぼくが塩を出すと、犬と猿が同時にきじを見ました。不思議だね、ぼくも目がいっちゃった。
さて、腹ごしらえもしたので犬と猿のお供を連れてイザ神様の元へ! 神様も暇人なので、いつもの野原でお昼寝をしています。
「神様ー!」
「おや、コンセントくんどうしたんだい?」
「今ね、桃太郎ごっこをしているの。でもね、鬼の妖精がいなかったから神様に鬼役やってもらいたくて」
「は、は、は、鬼の妖精か!じゃあ今から鬼の妖精を作ってあげよう……」
そういって、神様は羽ペンと紙を出しました。大変です、神様がまた無駄に命を作ろうとしています。ぼくは思わず、
「鬼だ、かかれー!」
と叫びました。犬の妖精が羽ペンを噛み砕き、猿が紙を破り捨てました。これ以上妖精の森の住民を増やしてはいけないのです。暇なことは辛いのです。
最後に神様の手をぼくの目まで持っていきます。
!!
「ごめんなさい! 描かないから! ゆるして!」
神様は必死に叫びます。
だから手を入れるのをやめました。そして犬と猿と神様と一緒に仲良くきび団子を食べました。これで仲直りです。
ぱくぱくもぐもぐ美味しいです。
でも、
「やっぱりしょっぱいものが欲しくなるね」
そう言って塩を出しちゃいました。
すると今度は犬の妖精さんがみんなの注目を浴びています。そして、ぼくも犬さんから目が離せません。犬さんは人気者です。
めでたし めでたし🌱