冒険とモデル
こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。
もう少しで3月ですね。気温も徐々に上がってきて桜の蕾を心待ちにしつつ、そろそろ新しいことをやりたいなあと考えている方も多いのではないでしょうか。
さて、先日、仕事で韓国を訪れる機会がありました。ちょっとした冒険だったのでその時のお話を書こうと思います(記事は一年前のものです)。
1. 旅の目的
私が韓国に出かけたのは、アメリカにある小さな会社が開発した製品を売り込みに行くためです。私自身韓国に行くのは10年ぶりでしたが、一緒に行った会社の創業者(イラン人)は初めて。右も左もわからない異国の地に赴き、自分が手塩にかけて育ててきた技術をビジネスにするべくアピールに来たわけですから、その意気込みは相当のものです。一方、どこか不安に思うこともあるようで表情から色々な感情が見て取れます。
2. 旅先での体験
まずは夕刻に成田から仁川まで飛行機で移動しました。到着後タクシーに乗ってソウルまで移動。ホテルにチェックイン。一泊後、翌日から早速行動です。現地商社の方の車で移動して、顧客候補の会社まで移動。そこでのミーティングは思ったよりも順調に進みました。とても新しい技術なので理解してもらうのに苦労するかもと思っていたのですが、次に向けて追加サンプル提供と事業化までのタイムラインを共有できました。英語で全ての会話が進められたこと。そして、事前にサンプル評価をして頂いた上での訪問だったこと、がうまくいった要因だったのでしょう。先方も大変乗り気になってくださったのは何よりでした。
いい調子で商談が進んだこともあり、商社の方が「せっかくなので美味しい韓国料理を食べましょう」と、近くにあるレストランに連れて行ってくださいました。韓国料理といえばたくさんの副菜がついてくることで有名です。何を頼んでいいのかわからないですが、商社の方が「任せてください。ちゃんと美味しい食べ物が出てきますよ。」とのお言葉。しばらくして、テーブルいっぱいに並べられた小皿に加え、代表的な韓国料理ビビンパやプルコギが振る舞われてとても楽しい時間。どうやって食べたらいいかわからないものもあったので、商社の方が手慣れた感じで説明をしてくださいます。そうなんだ、と相槌を打ちながらの料理に舌鼓です。
美味しい晩ごはんを頂いた後、翌日の予定を考慮してソウルから仁川までタクシーにて我々だけで移動。ここからは案内なしで冒険ムードがちょっと高まります。無事、別のホテルにチェックインし、翌日は宿泊場所近くにある訪問先でミーティング。こちらもスムーズに進み、午後にソウルに再びタクシーで移動。最後となるミーティングも無事に終えました。
時計をみると午後4時。私とその創業者だけになり、さてどうするかとなりました。タクシーで仁川のホテルまで戻るのも能がないよね、となり、地下鉄で戻ることに。二人ともハングルは読めませんが、検索してみると大体1時間半くらいで戻れそうです。そこで、近くの駅を見つけ、切符を買い、電車に乗り込みました。途中2回乗り換えしながらも、ほぼ間違えることもなくホテルまでたどり着いたのは、日も暮れた午後6時前。思った通りの時間で帰ってくることができました。ポイントは、路線図の色分けと乗り換えるべき駅と降りる駅の名前をなんとなく頭にいれ、駅や車両に出ている表示を元に注意を払うこと。途中、「あ、この人は英語が話せるはずだ!」と思う人に確認をすることも忘れずに(笑)。
ホテル近くのレストランでご飯を食べながら、「楽しかったよねえ。よかった〜!」なんてお互いを労いながら、旅の思い出話をして盛り上がりました。翌日、私は朝早いフライトで帰路に。
短い時間ながら色々な体験をさせてもらいました。彼の地でお世話になった方々には感謝でいっぱいです。
3. 旅の振り返り
とてもいい旅でした。出かける前はほんの少しばかりドキドキだったのですが、意外にもすーっと行った上に、嬉しい発見みたいなものもありました。どんなところがうまくいくポイントだったのでしょうか。ちょっと振り返ってみると、自然と課題とそれを克服するためのユニバーサルな方法がうまく組み合わさったからのようです。
(1)技術ミーティング:アメリカの小さな会社の技術を韓国の会社に売り込みたい
課題:先方に新技術を理解してもらう
→共通理解:知ってもらうための科学評価指標、対話のための英語
→目的達成(Yay!)
(2)韓国グルメ:地元の美味しい食べ物を食べてみたい
課題:韓国の食べ物を食べたい
→共通理解:典型的な韓国料理のスタイル、地元の方が勧める代表的な食べ物
→目的達成(カムサハムニダ!)
(3)ドキドキ電車の旅:電車に乗ってA地点からB地点に行きたい
課題:土地勘のないところで地下鉄に乗って移動したい
→共通理解:路線色分け、駅名の示し方、インターネット上のマップ
→目的達成(できたー!)
それぞれの課題は、結構特殊な事情を含んでいて、尚且つ粗めの願望です。自分たちの知識だけで達成できるという確信はありません。しかし、作業を進める上で、わかりやすい共通点を指標にすることで、言葉や文化の違いを乗り越えて目的が達成されていったのだと感じます。
新しいことに取り組んでいこうとするときに大事となるものは色々あります。そんな中で、一般性が高く、誰もが「ほぼ誤解なく」理解できる「モノ」や「コト」を利用することは重要です。路線図然り、各土地の美味しいご飯然り、そして言語や科学技術関係の専門的な指標も然り。。。ツールになっていなくても、例えば「エレベーターやエスカレーターに乗る」、「人に会う」など世界共通と言っても良い行動も、ほぼ間違いなく伝わります。「新しいことに取り組みたい」とか「人と違ったことをやりたい」と思ったら、こうした「共通理解」をプロセスの中で意識的に取り入れるようにすれば、やみくもに作業を始めるよりもずっと効果的に目標に近づくことができるはずです。レヴィではシステミングをベースに「モデリング」を活用したクリエーティブプロセスを提唱しています。先にあげた「共通理解」をモデリングの肝の一つとして扱うことで、壮大なアイデアもいい具合の抽象度(粒度)で取り扱うことができ、路頭に迷うことなく目的地にたどりつけるようになるはずです。
”神は細部に宿る”、と言われる一方で、”悪魔は細部に宿る”、とも言われます。それぞれ解釈はあろうかと思いますが、何事も実行あってのこと。この春、モデリングをうまく活用して冒険に出てみては如何でしょうか。
ああ桜が待ち遠しい!
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