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【教育的観点】マインクラフトの面白さって何?子どもが夢中になる理由を幼児教育の観点から解説

小さい子どもから大人まで人気のあるゲーム、マインクラフト。
プログラミング教育が小学校から必修化されたこともあり、ゲームでも学べるプログラミング教育ということでマインクラフトが注目され続けているのは皆さんご存知でしょうか。

ゲームが教育になるって本当?
マインクラフトの何がそんなに教育にいいの?
こんな風に思っている方も多いのではないでしょうか。

なぜマインクラフトがそれほど評価されているのでしょうか。
その理由は、マインクラフトがその特異なゲーム性により、子どもたちが主体的に物事に取り組み、かつゲームの中で自ら問題を解決する能力や創造性、論理的思考力、他者と協業する力が身につくとされているからです。

この記事では、マインクラフトと他のゲームの相違点や、何が子どもたちにとって魅力的なのかといった点の他、マインクラフトで身につくであろう能力について紹介します。

この記事を読んで分かること

  • 親には分からない!?マインクラフトの面白さについて

  • 子どもたちがマインクラフトに夢中になるポイント「主体性」について

  • マインクラフトを通じて伸びる可能性がある能力について

なお、本記事は下記の書籍を参考に作成しました。
とても読みやすく、なるほどと思う点がたくさんありました。マインクラフトや幼児教育に興味がある方におすすめです。

『マインクラフトで身につく5つの力』 神谷加代(著) 竹林暁(著)

マインクラフトとは

マインクラフトは一言で表すと、「CGのブロックでできた世界を自由に冒険したり、ものづくりしたりできるゲーム」です。
マインクラフトは、立方体のブロックで構成された世界(ワールド)が広がっており、草や木、川、植物、動物、砂漠やジャングルまで無限に広がっています。

マインクラフトでは主に2種類のゲームモードがあります。

・サバイバルモード
自分の命を守りながら、徐々にできることを増やしていき、ワールド内の世界を豊かにして行く遊び。
プレイヤーは何も持たない状態からスタートし、文字通りサバイバルで生きていきます。素材を探して家を作ったり、体力、空腹に備えて食料を調達したり、夜はモンスターが現れるので対策(退治)したりと(そのためには武器など調達が必要)、何でも自分でしなければ生き残れません。

・クリエイティブモード
豊富な種類のブロックを作ったブロック遊び。無制限にブロックを使える建築を楽しめる。

もちろん一人でも楽しめますが、広大なフィールドと、何でもできる自由な空間で友達や、ネットで繋がった人たちと共有・協力して、自分だけの物語をマルチプレイで創っていくことができるところが大きな魅力です。

マインクラフトの面白さ=これまでのゲームにない特異性

面白さは自由に主体的に行動できるところ

マインクラフトの面白いところを聞くと必ず返ってくる答えが「自由だから」というものです。

マインクラフトは自由に子どもの気の向くまま何でもできてしまうのがウケています。
サバイバルモードでは一応、ラスボスを倒すという設定はあるのですが、強制される訳でもなく、何なら倒さなくても構いません。
家を作るのも良し、何かを建築するのも良し、洞窟を探検するのもよし、与えられた目標ではなく、自分で目標を設定して、それに向かって取り組める自由さがマインクラフトにはあります。

「自由に何でもできる」とありますが、実は子どもたちは現実世界を窮屈に生きているのかもしれません。
親からは「◯◯しなさい」「〜〜はしていけない」とか、学校・保育園等でも「こういう遊びはダメ」と言われたり、ブロックのおもちゃも使える場所や数に限りがあります。

マインクラフトの世界では、現実世界と同じようなリアルな空間で、誰に何も言われずに自分の好きなこと、現実世界ではできないようなことに没頭できるという点で、子どもたちが求めているニーズを満たしているのです。

ただし一方で、マインクラフトには説明書がありません。自分が「こういうことをしたい」と思っても、自分でやり方を模索する、または他者に教えてもらう等しないと上手く自分の思うようなことはできません。

例えば、家を作るには材料は木が必要なのか、レンガがいるのかや、そもそもどの辺りに作れば良いか、家の基礎の部分って何?など自ら調べ、考えることをしなければなりません。

そのため、自分の立てた目標に向かって、主体的に調べて、実践してみる。更にそれが上手く行かなければ原因を考え、また調べ、再挑戦する。この主体的な行動の連続が楽しいと感じるのです。子どもにとっては実際に作業(ゲーム)する時間ももちろん楽しいのですが、目的に向かってネット等を駆使して調べている時間も同様に楽しい時間なのです。

これまでのゲームとの違い

どうやらマインクラフトは、私たち親世代の慣れ親しんでいるゲームとは違うようだということが分かってもらえたでしょうか。分かりやすく、私たちの考える一般的なRPG(ロールプレイングゲーム)との違いを以下にまとめてみました。

マインクラフトとRPGの比較

【目的・ゲームクリア】

  • マインクラフト: 自分で目的を決めることができ、ラスボスが存在しますが、ゲームクリアの概念は柔軟です。

  • RPG: ラスボスを倒すことが主な目的です。

【シナリオ】

  • マインクラフト: 決まったシナリオはありません。

  • RPG: 決まったシナリオに沿って進むことが一般的です。

【遊び方】

  • マインクラフト: 自由度が高く、プレイヤーが自分のやり方で楽しむことができます。

  • RPG: レベルを上げて強くなることが中心です。

【ゲーム内の説明】

  • マインクラフト: ゲーム内での説明は少なく、プレイヤーが自分で調べる必要がありますが、ヒントは存在します。

  • RPG: ゲーム内の説明が充実していることが多いです。


私たちが子どもの頃からの時代の変化

私たち親世代の感覚としては、RPGのような子ども時代を過ごしてきたと感じるのではないでしょうか。
学歴がまず最初に問われる時代で、次々に与えられる課題をこなし、テストでは1点でもいい点数を求め、次のステージ、また次のステージと人生を歩んできました。
ちょっと昔はそれでも問題なかったかもしれませんが、近年では年功序列や終身雇用が廃止に向かう流れなどあり、「安定」というものが崩れてきています(更に今後この流れは進むと考えます)。
結局RPGのように、決められたシナリオの中で「個性」よりも「点数」を重視する教育は、私たちに真に社会で生き抜く力を養うことは難しかったと言えるのではないでしょうか。今は大丈夫でも、今後その傾向は強まると思います。


マインクラフトのように、自分で何がやりたいのか、自分で考え、調べて、行動する姿勢はこれからの時代で必ず必要になります。
与えられた仕事ではなく、自分で面白い、価値のあると思ったものを創り出す思考と技術は、AI等の登場により様々な単純作業が自動化していくこれからの時代において、何よりも代え難いスキルとなるはずです。
子どもたちには自分で自分の人生を面白くできるということを、少しなりともマインクラフトを通じて感じてもらえたら、貴重な経験となるのではないでしょうか。

マインクラフトで子どもが夢中になれる面白さのポイント

自分で一から考えなければいけない

子どもには、決まった目的がない「自由さ」がウケていると紹介しましたが、実はそれが難しいと感じる子どもたちもいるでしょう。
「自由に遊んでいい」と言われると、逆に何をしていいのか戸惑う子どもたちもいます。確かに、真っ白のキャンバスに、「何を描いてもいいから絵を描いて」と言われると一瞬固まってしまいますよね。ですが、マインクラフトには一応ラスボスがおり、遊ぶ者からすれば「目指すものある」というわけです。
強制はされませんが、その目的の道中の中で徐々に自分のやりたいことが見つかる子もいます。最初から明確な目的はなくても、友達の様子やネットでの動画を見て「面白そう。自分も何か作ってみたい」と自分のやりたいことを見つけていきます。


子どもたちは遊びを探し出す天才です。
道に落ちている石や木の棒、側溝などを見て「何か面白いことはできないか」と考えて、実際に石を投げ入れてみたり、木の棒で何かを突いたりして遊んでいます。マインクラフトも同じで、目の前にあるブロックで何か面白いことをできないか考え、目的を見つけることができます。
そして、自分で見つけたやりたいことに対しての主体性は一味も二味も違うはずです。
誰に言われたのでもなく、自分で設定した目標なので、ゲームに対する主体性が違います。
子どもたちは自分の目標を達成するために、友達や本、ネットを通じて必要な情報を収集しようとします。子どもたちは遊びの延長でやっていますが、この「ネット等にある情報を自分で見つけて活用する力」は技術と根気のいる作業です。何というワードで検索すれば必要な情報にたどり着けるか、また膨大な量の情報の中で本当に必要な部分がどこか等、考えることは多岐に渡ります。


また、調べた後は、どうやって作業すれば効率よく目的を達成できるかも考える必要があります。限られた時間の中で、作業の順番や優先順位を判断することがまた面白いのです。これも自分で主体的に目標を設定したからこそ粘り強く取り組めます。与えられた課題に対してとは本人の熱量が違うのでしょう。

マインクラフトの面白さは教育につながる!?伸びる可能性のある力とは

創造性が身につく


マインクラフトは、無数のブロックを無限の空間で使えるため、子どもたちの自由な発想で遊ぶことが可能です。
例えば、家の中で遊ぶにしても、ブロックの数が足りなかったり、もっと大きなものを作りたいのにスペースがないといったことは起こりません。お城を作ったり、巨大な滑り台を作ったり、何かに制限されずに遊ぶことができます。これは、頭の中にあるアイデアを簡単に表現できる場が用意されているということであり、それが創造性の育成に繋がります。
また、マインクラフトのいいところは「作って終わり」ではないところです。自分の作ったものを友達にみてもらうことで、フィードバックを得ることができます。「更にもっとよくしたい」」という気持ちが芽生え、創造性を高めることにも繋がります。

論理的思考力が身につく


論理的思考力とはよく使われる言葉ですが、一言で言えば「筋道を立ててわかりやすく説明できる力」のことです。何か説明を求められた時に、ただ知っている知識を並べるのではなく、結論から逆算して「なぜ」「どのように」を根拠に考え、段取りを正しく組み合わせる能力が論理的思考力です。
マインクラフトでは、何事にも段取りが重要です。例えば、家を作るためには材料を調達しなければなりませんが、そのために道具を作り、食料を準備し、モンスターからの襲撃にも備える必要があるため武器も必要です。しかもマインクラフトの世界には昼と夜の概念があるため、昼間明るいうちにできる作業と、夜のうちでもできる作業とを切り分ける考え方も必要になります。
このように一つのことを達成しようとしても、様々なすべきことを考えなくてはなりませんし、仮に計画どおり上手くいかなかったときに、なぜ上手くいかなかったのか失敗から原因を探り、次はどうすればいいのか目標を立てて筋道を立てて段取りを考えるのがマインクラフトでは常識なのです。

協業する力が身につく


友達など複数人で同じワールドに入って、建造物を作ったり、探検したりしながら、話し合い、情報共有、役割分担、助け合いなど対話や協力が自然に生まれます。マインクラフトの子どもたちのアイデアをすぐに実現できるところが、より活発なコミュニケーションを生むのだと考えられています。
他人と共同で作業する際に必要となるのは「話す力」と「聞く力」です。マインクラフトの中に限らず、社会に出ると欠かせない力ですが、マインクラフトではみんなの考えていることが可視化しやすいため、よりコミュニケーションがスムーズになります。

まとめ:マインクラフトの面白さは「自分で決める」主体性

マインクラフトに夢中になる子どもを見て、何が面白いのか分からないという親御さんも多いのではないでしょうか。
私もその一人でした。この「何が面白いか分からない」というのが、子どもと親の世代で価値観が違うことをシンプルに表しているのだと思います。
親世代としては、あらかじめ設定された目標がないとつまらない、不安になるといった考えが根底にあり、目標が定められていないマインクラフトに魅力を見出せないのです。

しかし、子どもたちはその逆で、何をしてもいいマインクラフトの世界が、自分たちの可能性、遊びを無限に広げてくれることを知り、次々とやってみたいこと「目標」を自らの考えで設定します。

この主体的に設定した目標がモチベーションの源になります。自分で決めたことを、どうすれば達成可能か考え、試行して、失敗して、改善して、最終的に目標を達成した時の喜びは、容易に子どもたちの満足した顔を想像できます。

また、マインクラフトは簡単に失敗できることが魅力です。失敗しても簡単にやり直すことができます。このメンタリティは大人になってから必ず必要になるでしょう。現代社会では何事も失敗の連続です。ですが、失敗なくして成功はありません。失敗を失敗と捉えて落ち込まず、より良くなるための成功のステップと思考できること。しかもそれを、自然に楽しく学ぶことができるのがマインクラフトなのです。


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