職人の私が感じた「ネットビジネスで稼ぐ」の違和感
ネット上では「誰でも簡単に稼げる!」というフレーズ、よく目にします。
私も一度はその言葉に期待を抱いた一人です。
会社を辞めて職人になろうと本格的に考え始めた頃、「脱サラ」「会社を辞める」「フリーランス」等と検索しまくりました。
すると、必ずと言っていいほどこの「誰でも簡単に稼げる〇〇〇」の様なページが出てくる。
そして、これらの共通点は所謂ネットビジネスであること。
なるほど、ネットならPC環境さえ有れば良いのだから入り口としてはハードルは低かろう、と納得したし、こちらとしては脱サラ後の収入源に不安があるので「誰でも簡単」という文句は刺さります。
やはり人間「楽して稼ぎたい」というのは本音なわけで、そこはカッコつけても仕方ないので白状しますが、私は「こりゃいい!!」とすぐに飛びついたし、いくつかセミナー的な物に参加したりしてみたんです。
しかし実際に話し聴くうち、そして家に帰って更に深く調べるうち、なんかこう胸とお腹の辺りがモヤモヤと・・・・どうも腑に落ちない。
このモヤモヤの正体はなんなのか?
ネットビジネスの専門家でもなく、特段深い知見があるわけではありませんが、なんとかこの点について言語化してみようと思います。
「誰でも稼げる」というフレーズの矛盾
まず最初に引っかかったのが「誰でも稼る!」というフレーズです。
確かに、ネットビジネスは物理的な店舗を持つ必要もないし、初期投資も少なくて済むため、始めるハードルは低いと言える。
私も最初はそこに魅力を感じました。
しかし、いくら始めやすいとはいえ「稼げる」となると話は別です。
ネット上で何度も見かける「誰でも簡単に稼げる」という言葉は不安な私にブッ刺さりましたが、冷静にみれば自己矛盾している気がしてくる。
なぜなら、そもそも本当にそんなに簡単に「誰でも稼げる」方法が存在するなら、既にみんながそれを実行して成功しているのでは?
しかし、現実はそうではない。
レストラン経営を例にとってみましょう。
料理が得意な人であれば、確かにレストランを開業することはできるでしょう。
が、そもそも「誰でも」が料理が上手いわけではありません。
そして、料理が得意だからと開業したからと言って「誰でも」成功するわけでもない。
食材の仕入れ、味のクオリティ、接客、立地、さらにはマーケティングまで、多くの要素が絡み合っています。
成功するには、それなりの技術や経験、そして工夫が必要です。
ネットビジネスもこれと似ていて、「誰でもできる」わけではないのでは?と思うのです。
もっとも、この「誰でも簡単に」という部分の矛盾に気づくことはそう難しくないでしょう。
ですのでここはこれ以上は掘り下げず、私のモヤモヤの核心にあった問題点に進みます。
情報商材ビジネスの「マッチポンプ」
あれこれと調べていくと「誰でも簡単」という情報の多くが「情報商材ビジネス」である、という点に行き着きました。
よく目にするこのビジネスモデルは、ノウハウや知識をデジタル商品として販売するというものです。
始めるハードルが低いし、知識を売るという発想自体には確かに魅力を感じます。
自分の得意な分野を活かして稼ぐのは素晴らしいことで、私の「職人をやりたい」という考え方ともマッチしています。
しかし、ここに強烈な違和感があったのです。
多くの情報商材は「稼ぐ方法を教える」と謳っていますが、その「稼ぐ方法」というのが、実は「他の人に情報商材を売ること」なんです。
つまり、「情報商材を売るための情報商材」を売ることで成り立っているビジネスモデルなのです。
これは、まさにマッチポンプ。
火をつけて自分で消し、その消火方法をまた他人に教える。
いつまで経っても新たな火が必要になる、終わりのないサイクルにしか感じられなかったんです。
例えば、友人が「この方法で稼げるよ!」と教えてくれたとして、その方法が「他の人にこの方法を教えて稼ぐ」というものだったら・・・・
それって相当怪しくないですか?
そもそも自分が稼ぐには、実際に稼ぎが出る前に稼ぎ方を売らなくてはならない。
つまり、稼いでもいないのに稼いでるフリをして売る事になってしまい、なんだか詐欺っぽい。
しかも実際に、何も新しい価値を生み出しているわけではなく、ただ同じ情報が回り続けているような感覚。
これってあれだ。
「アム〇〇イ」だ。
学生時代のそれほど親しくなかったクラスメイトから、ある日突然電話が掛かってくるやつ笑
いや、もちろんすべての情報商材がこうした構造を持っているわけではありません。
中には本当に有益な知識を提供しているものもあるでしょう。
しかし私が感じたのは、かなりの商材がこの「詐欺的」で「マッチポンプ的」なビジネスモデルに依存しているということでした。
これが本当に持続可能なビジネスなのか、疑問が残ります。
本質的な価値を提供するとは?
では、どうすればネットビジネスで本当に価値のあるものを提供できるのでしょうか?
これには「実体験に基づく」「本質的な価値」を提供するということが鍵になると思います。
つまり、自分が今持っていて他の人にとって役立つ情報やサービスを提供すること。
例えば、私の趣味のひとつに釣りがあるんですが、これを例に取るとこうなります。
釣りの知識や技術を活かして、釣りに関するブログや動画を作成する。
これが実際に稼げるほどに情報的な価値があるかどうかはわかりませんが、釣り好きな人たちにとっては有益なことは間違いないと思います。
ただし、これはすぐに結果が出るようなものではありません。
むしろ、マネタイズするにはそれなりの時間をかけて信頼を積み上げていく作業が必要でしょう。
結局のところネットビジネスもリアルなビジネスと根幹は同じなんだろうな、というところに帰結した訳です。
「ネットビジネス」に抱く錯覚
ネットビジネスを調べていると、「罠」という言葉がふと浮かんできました。
簡単に稼げると思い込んでしまうこと、それ自体が一つの罠なのかもしれません。
例えば、宝くじを買う時、誰もが「もしかしたら当たるかも」と思いがちですが、実際にはその確率はほぼゼロです。
ネットビジネスでも同様の錯覚に陥ることがあるように感じます。
「誰でも稼げる」という言葉は、まるで宝くじの当選確率を誇張しているかのように映ります。
しかし、宝くじとネットビジネスが異なる点は、ネットビジネスは運ではなく、スキルや努力で結果が左右されるということです。
運任せではなく、自分自身の力で成果を上げるためには、やはり「本質的な価値」を提供することが重要だと思います。
焦らずに地道に取り組むことで、最終的には結果がついてくるのではないでしょうか。
まとめ
今回、ネットビジネスについて感じた違和感を整理してみましたが、最初に感じた違和感は今でも変わりません。
「誰でも稼げる」とは言いますが、実際にはそう単純な話ではない。
そして、情報商材ビジネスの「詐欺的」で「マッチポンプ」的な構造には、倫理観と持続可能性の点で疑問が残ります。
私自身、脱サラを決意した当初は「楽して稼げる方法」を探していたんですから偉そうなことは言えません。
しかし、調べていくうちに「稼げるビジネス」と「続けられるビジネス」には違いがあると感じました。
結局のところ、ネットビジネスで成功することと、その他のビジネスで成功することの根本にある原理はあまり変わらないのでは?と感じています。