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海の見える公園で 炭酸刺繍 盛夏編


 夏。二年ぶりに再会した私たちはバイクにふたり乗りして海の見える岬の公園に行った。
 日陰のベンチに座って藍色の太平洋を眺める。遠くに青い島陰がぼんやりとにじんでいた。


 しゅわしゅわの炭酸ジュースを飲みながら彼女は言った。
「 ねえ、もしかして怒ってる?」
「ん~ん。怒ってない」
「ほんとに?」
「 ほんと」
 二年もほっておかれて怒ってなくはなかったけど、今はこうしてまた会えたことがただ嬉しかった。
 愛野あざみさん……また会いに来てくれたんだね。
 二年前私はその男の子みたいな女の子に恋をしたのだ。

 
 私の飲んだ炭酸水は苦い味がした。
 ネットで甘いジュースを飲むと血糖値が上がってかえって喉が乾くとあったから、無糖の炭酸水を買ってみたけど全然おいしくなかった。やっぱり私はお子さまだ。
「へ~無糖なんてよく飲めるね。ってかそれってお酒で割ったりして飲むんじゃないの?」
「そうなんだ。知らなかった。私、体にいいと思って買っちゃった」
「ふふふ、みさきちゃんらしいね」
 海風に髪をなびかせながらあざみさんは笑った。
 でもまあいいか。今、私の心は甘々だから味のない炭酸水がちょうどいいのだ。甘い心と合わさって……弾けそうな私。
 ……この夏はどんな夏になるだろう。きみといっしょの夏。
 眩しい予感が胸に弾けた。



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