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恋人になりたかった

今、パートナーがいる分際で言えることではないのだが、この匿名で発信できるnoteだからこそ話せる私の昇華できていない、つまり忘れられていない恋愛について投稿しようと思う。

今のパートナーと出逢う前に好きになった一個上の人。
今もまだ気持ちに残る恋愛。

服や家具など彼が持っているセンス、匂い、声、言葉のチョイス、私への言動、セックスの始め方から終わった後まで。
この人の全てが私の心を揺らしていた。

この人とは飲んでいる時に知り合った。
お互い友人を連れており、偶然にもその友人同士が知り合いで声をかけられ4人で飲んだ。
何を話したかは覚えていない。
ただただその日、1番楽しかった。
家の最寄り駅が隣で徒歩圏内というのもあり、いつでも飲みいけるねと話したが社交辞令だと思っていた。
なので、すぐに彼から2人での飲みの誘いがあった時には少し驚いた。

初めてのサシ飲みで色々な話をして盛り上がり、終電まで楽しんだ。
そして次の日には「次の予定を立てよう」と言ってくれた。
彼は女慣れしている。遊び人かもしれない。
そう分かっていても会えば本当に楽しくて、私はどんどん好きになった。

それから連絡は毎日、週1の頻度で会っていた。
私の好きなものを見つけた時や彼が趣味を楽しんだ時には写真を送ってきたり、お酒好きな彼は色々なところに連れて行ってくれた。
私の外見も内面も褒めてくれ、彼女なのかと錯覚してしまうほど恋人っぽかった。

会って数回目の時に私が酔った勢いで「まだ一緒にいたい」と言った。そうして初めて彼の家に行き、体の関係を持った。
冷められるかと思いきや、その後も連絡頻度や会う頻度は変わらなかった。体の関係を持ってからは飲んだり遊んだりした後に彼の家に一緒に行くか彼が私の家まで送ってくれるようになった。
お互いの都合で会えない時には忙しい仕事の合間をぬって会ってくれた。

よく話す私の話をちゃんと聞いてくれた。
ふざける時は思い切りふざけて、真面目な話をすれば共感したり違う視点から見た意見を伝えてくれた。
決して優しい口調ではないが、嫌な言葉を吐くことはない彼の言動はいつも優しさに溢れている。

ただ私と同じような人がいるかもしれないということが引っかかっていた。
今の関係性では嫉妬心を表現することも彼の交流関係やスケジュールの詳細を求めることもできない。

勇気を出して「ちゃんと彼女になりたい」と伝えると
「そんなに彼氏ほしいの?」と笑って言われた。
「彼氏が欲しいんじゃなくてあなたが好きだからあなたと付き合いたい。脈がないなら諦めてただの飲み友達になるから」と真剣に伝えた。
「俺も好きだよ」と言われた。

初めて彼と2人で飲みに行った時に彼は私に「好きな人はめっちゃ追う。好きな人の彼氏になりたいと思うだろうけど今は彼女ほしいとは思ってないな」と言っていたのを思い出した。

今まで彼が「付き合おう」と言わなかったのは彼に付き合う気がないからだ。
分かってるのに、付き合うわけでもなく「好きだ」とだけ言う彼への気持ちは昇華されないまま残った。

脈なしな恋をずっとするつもりはない。
それから私は連絡を取らなくなった。
彼から何度か飲みに誘われたが断った。
彼の余裕があり、追いすぎず冷めすぎてないところも私のツボだ。
少しずつ彼からの誘いはなくなっていった。

後日、彼と出会った時にいた元々知り合いの友人たちが飲みにいったらしい。
私の友人から「彼の友人は"おいもちゃん以外にそういう女の子はいない"と言っていた」と聞いた。

連絡を取らなくなって半年ほど経った頃、私の中でなかなかしぶとく存在感を残す彼に連絡しようか迷っていた時に彼から久しぶりに飲みの誘いがきた。
私も誘おうとしていたことに「以心伝心だね」と言う彼。

彼を見つけて顔がニヤけた。嬉しかった。
相変わらず楽しい時間を過ごした。
「最近誰かとデートした?」と聞かれたので
「いっぱいした」と嫌味ったらしく言った。
今度は私が「良い人できた?」と聞くと「おいもちゃん以降、いないよ」と。

「よく言うよ振ったくせに」といじると
「振ってないよ、俺も一緒にいたかったし」と。

「恋人にならなかったじゃん」と言うと
「おいもちゃんが特別だったことに変わりはないから」と言われた。

「あの関係じゃ彼女の特権が使えない」と言ったら「そんなのないよ」と笑われた。

恋人というはっきりした関係性を求めていた私と
恋人という枠に収める必要はないと思う彼

私も関係に囚われずに私といる時の彼を大事にしていれば特別な関係は続いていたのかもしれない。
だけど私はやっぱり彼に本気で好きになってもらいたかった。彼の恋人になりたかった。
会うと余計にその気持ちが膨らんで揺れた。

本当は彼は他にも特別がいたのかもしれない。
考え方や価値観が違ったのかもしれない。
何にせよ仕方ない。彼とは縁がなかったのだ。

そう思っているからもう彼との関係性の発展に期待はしていない。
そして、もちろん今は今のパートナーだけが好きだし、この先隣にいるのは今のパートナーだ。

けど当時、感じていた「恋人になりたかった」という悔しさとも悲しみとも言えない気持ちが未だに若干残っている気がする。

今も一駅分の距離にいる彼。
彼とは会っていない。
今も時々、近くでバッタリ会うんじゃないだろうかと少しヒヤヒヤ、ドキドキしているが
出来れば会いませんように。

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