デリーの国立博物館で見る仏像と仏教美術
はじめに
デリーで飛行機を乗り継ぐときに時間ができたので、国立博物館に行ってみました。
いちおう下調べをして向かいました。仏像がいくつか所蔵されていること、中央アジアの仏教美術が見られること、などが分かりました。
実際に訪れてみると、期待以上の充実ぶりでした。博物館のサイトには仏教については割とあっさりとしか書かれていないので、どれほどのものか分からなかったのですが、仏教関連の展示は質量ともに充実していました。
博物館の仏教関連の展示
仏像が展示された別館
仏像と仏舎利は別棟に展示されています。
私が見たかぎり、博物館の公式サイトには別棟についての案内は書かれていないようなんですが、実際はそうなっています。
この別館の仏教関連の展示は仏教業界ではよく知られているようで、インドに仏教巡礼に来た人たちがひっきりなしに訪れていました。まるで巡礼地です。
私が行った時には、スリランカの団体だけでなく、タイやベトナムの巡礼団の人たちが来ていました。みなさんそれぞれの国のお坊さんに率いられています。
そして、皆さん仏像にペタペタ触っていきます。係の人も何も言わないので、巡礼の人たちにとってはそういうものなのかもしれません。
インド国内各地から発掘された仏像が集められています。仏教発祥の国だけあって、時代も地域も様々な仏像が見られます。ガンダーラ仏からラダックのチベット仏まで揃っています。興味深かったです。展示はかなりのボリュームで、ここで書ききれそうにないので、機会をみて別記事にしたいと思っています。
ベゼクリク千仏洞の壁画
博物館の本館のいちばん上の階の奥まった場所にあります。
中国の新疆ウイグル自治区にベゼクリク千仏洞という仏教遺跡があります。敦煌の壁画が作られたのと同じ時代に作られ、敦煌と同じように洞窟内が仏教の壁画で飾られていたそうです。ですが、壁画は異教徒に破壊されたり外国人に持ち去られたりしてしまい、今はほとんど残されていません。
そのベゼクリク千仏洞の壁画の一部が、なぜかデリーのこの博物館にあります。高さ5メートルはある壁画が、十数枚もあります。
ベゼクリク千仏洞について関心を持って調べたりしたことはあったのですが、壁画がデリーにあるのは知りませんでした。いきなり現れたので驚きました。
敦煌の絵巻物
絹の布の上に描かれた仏教絵画が見られます。
ベゼクリク千仏洞の壁画もそうなのですが、イギリスの探検隊が持って帰ってきたものです。それらが残されています。
ヴァーチャル・アジャンター
アジャンター洞窟はインド中部にあります。古い時代の仏教の壁画が多く残されています。三蔵法師もアジャンターを訪れたそうです。
そんなアジャンターに行ったつもりになることができる展示があります。
ここでは、実際に現地の洞窟に行くと薄暗くて見にくかった部分を、くっきりと見ることができます。いくらでも近づいてみることもできます。
サルナートのお寺の壁画はアジャンターの壁画を参考に描かれたそうですが(別記事にまとめました)、それが納得できます。
そのほかの展示
もちろん、仏教以外の展示も充実しています。むしろ、そちらのほうが博物館にとってはメインの展示です。歴史で習ったハラッパーやモヘンジョダロの出土品があったり、マイソールの宮廷絵画が大量に飾られた部屋もあったりします。地元の小学生が遠足に来ていたり、なかなか賑やかです。
ただ、博物館の規模が大きすぎて、すべてをくまなく回るには時間も体力も必要です。私は、主に仏教関連の展示に絞って見て回ったのですが、それでも半日かかりました。
行き方
地下鉄の Central Secretariat から、ぶらぶら歩いて20分ぐらいです。
札幌の大通公園を数倍の大きさにしたような長く大きな通りがあります。シンガポールのようにゴミひとつなくきれいに保たれています。その中を歩いていくとたどり着きます。
Central Secretariat駅は、観光地でもあるインド門の最寄り駅でもあるので、オートリクシャーがたくさん客待ちをしてます。博物館へはそれに乗って行ってもいいかもしれません。