見出し画像

後世の大工への信頼が生む高度な技

             (直角の丸太3本の継ぎ手:竹中大工道具館)
写真は、丸太3本を直角に組み合わせる際の継ぎ手です。くさびを入れて、そのくさびの出っ張った部分を切ってしまえば、もう何がどうなっているのかわかりません。
数寄屋造りの特徴は、丸太の素材などを、あるがままに活かして使うところにあります。必要な加工に合わせてノコギリ、カンナ、ノミを最適な状態に仕上げ、それらを縦横に使って精緻な部材を丸太の凹凸にそって隙間なく仕上げ、組み付ける、根気のいるていねいな仕事が必要です。
こうしたつなぎは、分解・修理するにあたって、再利用できるようにという発想で生まれたものです。当時、木材は高価とはいえ、いまと比べればずっと豊富にあった時代です。そんな時代でも再利用を心掛ける、大工の精神の豊かさを学びたいものです。
 
素材は寿命がありますから、建築物につかえば修理が必要です。
建設にあたっては、高度な技で作ると、後世の工人が理解できない可能性があるから、後世の人たちにもわかるような細工を心掛けなくてはいけない、と主張する専門家がいますが、宮大工西岡常一の弟子の小川三夫棟梁は、どんな難しい細工を作ろうと、後世の大工が研究すればその細工の意味と仕組みは明らかにすることができる。
だから、そんな気遣いは無用だと言います。
自分達と同じように、後世の大工を信じなさい・・・ということでしょうか。プロとしての誇りかもしれません。
遠慮はいりません。どんどん知恵を絞りましょう。
後世の大工さんたちが開けてみたら、ウームこれはすごい、かなわない、と唸るくらいの、高度な技を伝えたいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?