明治世代の終わり
4月4日、国内最高齢の男性が亡くなったと発表があった。千葉県在住で112歳の男性。明治44年11月6日生まれだった。
共同通信の記事より引用すると
3日にベネズエラの世界最高齢、114歳男性が亡くなったと発表された。これに伴い薗部氏が次の世界最高齢者となる可能性もあり、県や市に確認した所、薗部氏も先立って亡くなっていたと判明したとのこと。これがなければもうしばらく秘匿された可能性もある。
各都道府県の最高齢者を見る限り、ほかに明治生まれの男性がいない。最後の明治生まれ男性だった。次の国内最高齢者は1913(大正2)年となった。
現代日本の基礎を作った明治時代も遠くなりにけりである。
都道府県で初めて明治生まれの男性がゼロとなったのは、公式の発表では2018年6月の徳島県であった。
読売新聞の大阪朝刊2018年5月25日付「県内男性最高齢 坂東さん死去」によると
のちの発表により徳島市の男性は1912(大正元)年生まれと判明している。徳島県は人口が比較的少ないためか、長寿者数も例年、県別に見ると少なめで、男性に限ると2003年に112歳・111歳、2005年に108歳に到達とはいえ、1990年には100歳、2005年・2009年には103歳で県内最高齢となっている。現在の男性最高齢者は1916(大正5)年の107歳のようだが、昨年の100歳以上人口はワーストの鳥取・高知・島根に次いで47都道府県中44位だ。
正式発表はなかったが各都道府県別の最高齢者を見ると、2017年9月には岩手・富山・金沢・福井・鳥取・山口が105歳で最高齢だった。このうち福井と鳥取の男性は、それぞれ2018年1月、3月頃に亡くなったとみられる。つまり福井県か鳥取県が初めて都道府県で明治生まれ男性がゼロとなった県のようだ。いずれも100歳以上人口が1000人を切り、男性に限っては100歳以上が100人以下の長寿不毛県で早くにゼロとなることは予想できた。
一方、明治生まれの女性は現在全国で50人以上存命である。ゼロとなった都道府県は岩手・福島・新潟・栃木・群馬・富山・石川・福井・滋賀・鳥取・岡山・広島・山口・徳島・高知・熊本・長崎・宮崎とまだ半数にはなっていない。
初めて県単位で男女ともゼロとなったのは公式には栃木県のようだ。
下野新聞朝刊の2021年5月26日付「足利の近藤さん県内最高齢に/108歳」によると
大正元年と明記されている。栃木県は昨年の100歳以上総数は1909人だが、10万人当たりの100歳以上高齢者数を見ると41位。これは人口が多い割には長寿者が少ないという事を示す。ちなみに昨年の10万人当たり~のトップは島根県で、最下位は埼玉県である。かつて長寿県で知られた沖縄も年々順位を落とし28位である。やはり人口がすくないほど年齢が落ちるのも早い。
2021年中には富山も大正生まれが最高齢者になった。
国内最高齢者が115歳以上で推移している現在、あと3年は明治生まれも安泰と思うが、すぐそこにまで明治が終るときも来ている。明治という時代に区切りがつくとき、日本はどうなるのか。
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