CXなのか?PXなのか?
みなさん、こんばんは。
またまたnote記事を更新してしまいました。
忙しいはずなのに不思議ですね(笑)。
さて、今日はタイトル通り、「CXなのか?PXなのか?」について今思うところを語りたいと思います。
まず、CXとは何か?という方もいるかもしれませんので、簡単に説明します。CXはカスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)の略であり、顧客体験という意味です。最近のビジネスシーンでは、自社の顧客満足度や企業ロイヤルティを向上させるためには、カスタマーエクスペリエンスに意識を向けることが重要だと言われています。アップルやスターバックスなどがよく事例として取り上げられることもあります。マーケティングに関わる人たちなら、この概念を無視するわけにはいかないでしょう。
では、PXとは何でしょうか?
以前もこのブログでお伝えした通り、PXはペイシェント・エクスペリエンス(Patient Experience)の略です。日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会によれば、患者中心の医療を実現するためにイギリスで生まれた考え方です。そして、本日のテーマである「CXなのか?PXなのか?」という問いにつながってきます。
私はパラレルワーカーとして某製薬企業の本社スタッフとして勤務していますが、時折、この問いに答えが出せなくなることがあります。
そうです、「製薬企業の顧客は果たして誰なのか?」という問いです。
かつて、ビジネスとしての顧客は間違いなく医師(Dr)である時代がありました。しかし最近では、医師だけではなく、HCP全般(医療従事者)やヘルスケアシステムも重要だと考える企業が増えてきたと思います。さらに言えば、医療に関わる全てのステークホルダーが重要になりつつあると言えるでしょう。
もう一人の重要な顧客は、患者さんです。私たちが提供する価値である薬剤(新薬)は、病気で苦しむ患者さんが服用するものですので、患者さんの体験価値を考慮することは非常に重要です。
副作用の管理を含めて、患者さんが抱える体験価値を考えることは当然のことです。
しかし、多くの製薬企業ではまだ「CXなのか?PXなのか?」という問いに明確な答えを出せていないのではないかと感じています。
「どちらも重要な顧客だから、優先順位付けする必要はない」という考え方で片付けるのは簡単です。しかし、この問いに真剣に取り組むことで、本当に価値のある企業になるためのヒントが見つかるかもしれません。私はそう思っています。
製薬企業で働いていると「患者貢献」という言葉をよく耳にします。
しかし、医療機関ではそんな言葉は使われていません。なぜなら、患者に貢献することは当たり前のことだからです。
では、製薬企業における「患者貢献」とは具体的に何を指しているのでしょうか?
おそらく、自社の薬をできるだけ多くの患者さんに届けることを意味しているのだと思います。製薬企業の社員は、当たり前のように「患者貢献」という言葉を使いますし、自分たちは患者さんに貢献するために存在していると信じています。
しかし、果たして本当に自社の薬を届けることだけが「患者貢献」なのでしょうか?
類似の薬や同様の作用機序を持つ既存の薬が存在する中で、多額の費用をかけて新薬を開発し、他社との競争に熾烈に取り組んでいる現状を考えると疑問が残ります。医療財政は厳しく、高齢者は薬を飲みきれずに余らせている状況なのに。
私たちは、「患者貢献」という言葉を安易に使って自己正当化することで思考停止するのをやめ、明確な定義を求めるための議論を始めるべきだと考えています。
もちろん、製薬のビジネスモデルがハイリスク・ハイリターンであることや、営利企業であること、国内市場の冷え込みや厳しい外部環境など、様々な状況を考慮しながら建設的な議論を進める必要があります。そうすることで、CXとPXのどちらを優先すべきなのかという問いに明確な答えを出せるようになると思います。
私たちは、自社の薬を提供することだけでなく、患者さんのニーズや体験を重視し、より良い医療環境を作るための貢献を考える必要があります。製薬企業の役割はただ薬を提供するだけではありません。医療の進歩や患者さんの生活の質の向上に貢献することが求められています。
また私たちは、患者さんを中心に置きながら、医療従事者やヘルスケアシステムと協力し、より良い顧客体験を追求することが重要です。そして、ビジネスの成果と社会的な貢献を両立させるために、慎重かつ継続的な議論が必要です。
CXなのか?PXなのか?という問いには、すぐに答えが出ないかもしれません。しかし、この問いに従業員1人ひとりが真摯に向き合うことが、より良い方向に進むための道標となるでしょう。
以上が、私の考えです。今後もこのテーマについて深く探求していきたいと思います。ご意見やご質問があれば、お気軽にお聞きください。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
それではおやすみなさい〜
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