詩-化け物
化け物
それは常識だ
そんなのは当たり前だ
教室のあの子も
今日すれ違ったあの人も
この国のどこかに居る誰もが
みんな “そのこと“ に頷くだろう
わたしが真正面から受け入れた
純粋に信じた そのことを
長い月日を共に過ごした
愛着を持ち 心地よささえ感じていた
だが ある日 ふと気づく
”その” 正体は 醜い化け物だった
だれだ!
こんな化け物をわたしに押し付けたのは
だれだ!
こんな化け物を世に解き放ったのは
だれだ!
こんな化け物を生み出したのは
当時の記憶は霞んでしまったが
ひとつだけ確かなことがある
その化け物に 絶えず餌を与え
育て上げたのは 他でもない
――わたし自身だ
化け物との決着は
容易にはいかないだろう
適わないかもしれない
それでも
わたしはナイフを握りしめる
震える手を抑えて
確かな信念を抱いて