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文学フリマ大阪に行ってきた

2024年は9月8日、文学フリマ大阪が開催された。
今年の1月には京都で開催されており、そこにも行った。京都会場が私の文学フリマデビュー。そこから半年以上を経て、また表現者たちの集う、あの熱気の中へ帰ってこれた。

さて、今回は明確な目的があってあの場所へと足を運んだ。志賀玲太さんの小歌集を買うことだ。
私がいかに志賀さんを好きなのか、これを読む人がいるかは分からないが、知ってもらいたい。
志賀さんは主にQuizKnockの編集・ライターをしておられ、動画にも時たま出演なさっている。
また、Twitterやweb記事、noteでも日々発信を行ってらっしゃる方で、鋭くも優しい言葉や心の内を赤裸々に書き綴っている姿が、私の目にはとても美しく映ったのだ。
美を追求する姿、紡ぐ言葉、発信の姿勢……どれをとっても素敵で、私の憧れである。

そんな志賀さんが文学フリマ大阪で小歌集を出すと言う情報を得て、今回は会場へ向かった。
電車やら地下鉄やらに揺られ、ようやく着いたその場所は、京都の時よりもさらに人が多く、熱が篭っていた(それはもう暑すぎるほどに)。
目当てのブースはち-50。いの一番にその場所へと向かう。混雑しているので当然進みは遅い。その時間の分だけ、一歩踏み締める毎に、鼓動が強くなる。きっと一生のうちの3本の指に入るくらい緊張した。これから起こる大抵のことは大丈夫な気がしてきた。この緊張に比べればよっぽど。
視界が開けたらそこには、美しいお方が。
最初に感じたのは「まって、実在してる、生きてる、美しい……」だった。語彙力なんてものはすでに消え去っていた。近づくと笑顔で「こんにちは〜」と挨拶してくださる志賀さん。泣きそうになるのを堪えながら「新刊一冊、お願いします」と言った。
『海を見るためのはしご』 一部1,300円。
小銭がなくて焦ったら大きいのでも大丈夫ですよと優しい言葉が。
そうしてお会計が終わり、手渡しで新刊をいただいた。夢かもしれない。夢じゃないけど。
すでに手が震えていたのがバレていないといいな、なんておかしなことを考えながら受け取った。
最後にどうしても伝えたくて、いつもみていること、本当に好きなこと、そして大好きだと言うことを伝えた。やっぱり声は震えたし、辿々しくて聞けたものじゃなかった。反省。
それでも志賀さんは微笑みながら「いえいえこちらこそ、そう言っていただけるのが一番です。ありがとうございます、今日来れてよかったです」と言ってくださったのだ。お声すら美しい。聴いていて心地の良い優しい声。
……幻かもしれない。幻じゃないけど。

たったそれだけの会話。志賀さんの本は完売したらしい。ということは、数十人の方とお会いして、お話ししただろう。そんな中の一人である私のことなんて、気にも留めないだろう。ましてや覚えているわけなんてない。
けれど、私にとってはあまりにも眩しくて、優しくて、本当に夢のような時間だった。
帰りの電車を待つ間も、同行してくれた両親に「夢かもしれない、待って違う現実だもん」なんて馬鹿なことを言っていたくらいには現実感がない。けれど手に収まっている『海を見るためのはしご』が、夢でないのだと物語ってくれていた。

まとまらない文章になってしまったけれど、本当に、泣いてしまうくらい幸せな時間だった。他のブースも周り、気が付けば結構な出費になっていたほどには買った。大満足。

今日まで生きてきてよかった。今日からは、この本があるから生きていける。
温かくて優しい思い出のできた1日だ。

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