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広尾晃著「データ・ボール」~アナリストは野球をどう変えたのか~(2024/08/28 )
野球界で「アナリスト」という用語を耳にするようになったのは、いつ頃だったろうか。
今では、「コーチ」「スコアラー」と同等の要職であることは十分理解しているつもりだ。だが今一つ、彼らがチームにどのように貢献しているのか、仕事の内容は漠然としている。
そんな私のようなプロ野球ファンに、本書は丹念な取材を通じてアナリストの仕事の内容や魅力、そして現場での葛藤などをつまびらかにしてくれる。
本書は二
ストレートを捨てた156キロ投手木澤尚文(東京ヤクルトスワローズ)〜林卓史著「球速の正体」〜(2024.09.18)
今回紹介したいのは書籍「球速の正体」ではない。同書で紹介されているプロ野球選手、木澤尚文(東京ヤクルトスワローズ)のプロとして生き残りをかけた必死な姿を記していきたい。
同書は、今年4月、読売巨人U15ジュニアユースの投手コーチに就任した林卓史氏によって昨年上梓されたもので、いわゆる投手の"進化論”的な内容になっている。
データトラッキング機器「ラプソード」の徹底活用法から、プロ・アマにおける
立浪監督退任で表出するドラフトへの"隔靴掻痒"。竜は蹉跌を乗り越えられるか?/中田宗男著「星野と落合のドラフト戦略」〜元中日スカウト部長の回顧録〜(2024.09.25)
中日の立浪和義監督が今シーズン限りで退任する。球団が長く低迷を続ける中、満を持しての登場であったが、"レジェンド"は3年でユニフォームを脱ぐこととなった。
退任報道を聞いたとき、真っ先に思ったことは「3年では間に合わなかったか・・」ということだ。
私は竜党ではないが、PL学園時代に甲子園春夏連覇した"立浪主将"の姿が心に強く刻印されていたこともあり、就任当初から「頑張ってほしい」という思いがあ
「追想高校野球」〜阿久悠『甲子園の詩』を辿りながら〜
今日から、我が人生における高校野球の記憶を当ブログを通じて辿っていくことにする。後々、野球に関する書籍を出したい思いが強くあり決意した。
高校野球を初めて見てから、早いもので「半世紀」近い年月が過ぎた。
「逆転のPL」が優勝を飾った1978年(第60回大会)がきっかけで、それより前の江川卓(作新学院)原辰徳(東海大相模)、定岡正二(鹿児島実業)等が出場した1973年から1976年周辺のことも雑
【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#9
7月2日、阪神は広島との首位攻防戦に敵地で臨み3対0で勝利。試合は両チーム先発、才木浩人と森下暢仁の息づまる投手戦で0対0のまま延長へ突入。10回、広島、野間峻祥の悪送球で阪神が先制し、その後、近本、中野の連続適時打で加点。最後はゲラが1死満塁のピンチを背負ったが、松山竜平を二塁ゴロ併殺に打ち取りゲーム終了。3連敗を免れ3位に浮上。首位、広島とのゲーム差を3に縮めた。
この試合の小幡は4打席で1
【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#8
6月30日、阪神はヤクルトに5対6で逆転負けを喫し4位に転落、勝率は5割となった。敗因は明らかに継投にあった。4点リードの8回、桐敷が安定せず、あとを受けた漆原大晟が二死満塁から長岡秀樹に走者一掃の2塁打を浴び同点とされた。その後つないだ岩崎優も山田哲人に決勝打を打たれた。結果として「リリーフ陣総崩れ」。手痛い敗戦となった。
打線は佐藤輝明が二塁打3本記録するなど計13安打。これまでの貧打の状態
【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#7
6月29日、阪神はヤクルトとの神宮での試合を1対6で落とし3位転落。6月の負け越しが決まった。試合は、先発、伊藤将司が初回に3点を失うなど終始、追う展開。打線はヤクルト先発、奥川恭太の前に走者は出すものの適時打がなかなか出ず、結果、散発6安打に終わった。
小幡はこの試合、守りで手痛い失策を犯した。0対3で迎えた3回1死、1塁、オスナの2塁ゴロの場面で併殺完成へのピボットプレーの最中に落球。小幡が
【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#6
6月27日、阪神は13試合ぶりとなる二けた安打で中日を8対1で下した。不調の近本光司がスタメンから外れたが、試合終盤、打線が爆発。先発、村上頌樹の好投もあり、危なげなく勝ち切った。岡田監督はこの日の勝利でNPB史上20人目となる監督通算「700勝」目を挙げた。
小幡はこの試合、4打数無安打。スタメン出場した野手の中で唯一安打が無く、悔しい1日となった。打率は.180まで下がり「2割」が遠のいてい
【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#5
6月26日、舞台を倉敷から甲子園へ移した阪神対中日。二戦目はお互い譲らず延長12回1対1の引き分けに終わった。両チームともに自慢のリリーフ陣を小刻みにつなぎ相手打線を封じた。阪神は近本と中野、二人で計12打数1安打。佐藤輝明に当たりが戻ってきたが、頼みの1、2番が不調では得点力が上がらないのも無理はなかった。
小幡はこの試合、5打数1安打。全打席ストレートを狙っていたことが画面から伝わったが、残
【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#4
6月25日、阪神は中日との三連戦初戦、倉敷での試合を0対1で落とした。火曜日の先発を今季初めて才木に託し臨んだが、中日先発、小笠原慎之介から松山晋也、マルティネスへの鉄壁リレーの前に屈し、今季、10度目の完封負けとなった。
打線は佐藤輝明が2安打を放ったが、チーム全体で6安打。最終回に二死から粘りを見せたものの適時打が出なかった。
八番・遊撃でスタメン出場した小幡は3打数無安打、1三振。4打席
【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#3
6月22日、阪神はDeNAとの2戦目を2対5で落とし4連勝は成らなかった。序盤から拙守が連発し、先発伊藤将司がオースティンに3ラン本塁打を浴びるなど、前日のサヨナラ勝ちの勢いは続かなかった。
打線は大山悠輔が本塁打を含む2打点をあげたが、全体的にDeNA先発、東克樹のコーナーワークの前に策が見られず、わずかに5安打。東対策として森下、前川、佐藤輝明らをスタメンから外したが効果はなかった。
そう
【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#2
6月21日、リーグ戦が再開され阪神は甲子園にDeNAを迎えての三連戦。初戦は先発西勇輝の好投もあり1対0で勝利。9回、小幡のサヨナラ安打で接戦を制した。これで3連勝。首位広島とのゲーム差を1.5とした。
小幡の打撃に関しては、この物語では再三、「インコース」「速球」対応が鍵と記してきたが、この試合のサヨナラ安打はDeNAウイックの150キロインコースカットボール、速球系の球種を見事に引っ張った。
【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#1
6月18日、交流戦最後の試合、阪神は日ハムに2対1で勝利。延長11回、敵失が重なり幸運な勝ち星を得た。交流戦を7勝11敗で終え、リーグ順位は首位広島と2.5ゲーム差の2位。交流戦も貧打に喘いだが、貯金を2つ保ちオールスターまでの約1ヶ月、混戦状態のペナントレースに挑む。
この物語の当初の主人公、木浪聖也が骨折で登録抹消となったため、これからは当分、小幡竜平の打撃を追いかけることになる。
その小