見出し画像

持久力トレーニングと筋力トレーニングの適応 - 健康、フィットネス、ダイエットへの影響

持久力トレーニングと筋力トレーニング。これらは、健康やフィットネスの目標を達成するために重要なエクササイズですが、それぞれが異なる効果を体にもたらします。どちらを優先すべきか迷っている方も多いでしょうが、実際にはこれらのトレーニングをバランスよく取り入れることが、ダイエット効果や全身の健康維持に効果的です。

この記事では、Hawley et al.(2014)の「Adaptations to endurance and strength training」に基づき、持久力トレーニングと筋力トレーニングの生理学的な適応を解説し、健康やダイエットにどのように役立つかを詳しく探っていきます。


持久力トレーニングの適応

持久力トレーニング、いわゆる有酸素運動は、心肺機能の向上や持久力の強化に優れています。ランニングやサイクリング、スイミングなどが代表的な持久力トレーニングです。この種のトレーニングを続けることで、体内で以下のような適応が生じます。

1. 心肺機能の向上

持久力トレーニングは、心臓や肺の機能を向上させます。具体的には、心拍出量(心臓が1分間に送り出す血液の量)が増加し、運動中の酸素供給能力が向上します。

  • 心臓の適応: 持久力トレーニングにより、心筋が強化され、心臓が一回の拍動で送り出せる血液の量(1回拍出量)が増加します。これにより、同じ運動をしていても心拍数が低下し、持久力が向上するのです。

  • 肺の適応: 呼吸筋の強化や肺活量の増加により、より多くの酸素を取り込むことが可能になります。これにより、運動中に体内の酸素不足を防ぎ、パフォーマンスが向上します。

2. ミトコンドリアの増加とエネルギー効率の向上

持久力トレーニングは、筋肉細胞内のミトコンドリア(細胞のエネルギーを作る場所)の量と質を高めます。ミトコンドリアの増加により、筋肉は効率的にエネルギーを生成し、運動中の持久力が向上します。

  • ミトコンドリアの適応: ミトコンドリアの数が増えることで、より効率的に酸素を利用してエネルギーを生成できるようになります。これにより、疲労が遅れ、より長時間にわたる運動が可能になります。

  • 脂肪燃焼の促進: 持久力トレーニングは脂肪をエネルギー源として使う能力を高め、ダイエット効果が期待できます。長時間の低~中強度運動は、脂肪の酸化(脂肪燃焼)を促進し、体脂肪を効率的に減少させるのです。

3. インスリン感受性の改善

持久力トレーニングは、インスリン感受性を向上させ、糖代謝を改善します。これにより、血糖値を効果的にコントロールできるようになり、2型糖尿病の予防や管理に寄与します。運動後、筋肉は血中のグルコースを効率的に取り込み、インスリンの必要量が少なくて済むため、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。

4. ダイエットへの影響

持久力トレーニングは、エネルギー消費を増加させ、体脂肪を効果的に減少させます。特に中強度の運動を長時間続けることで、蓄積された体脂肪を燃焼し、全体的なカロリー消費量を増加させます。ダイエット目的で運動を行う場合、持久力トレーニングは必須の要素です。

筋力トレーニングの適応

一方、筋力トレーニングは、筋肉の成長や筋力の向上に焦点を当てた運動です。ウェイトリフティングや自重トレーニング(プッシュアップやスクワットなど)が代表的であり、体を強くし、基礎代謝を向上させる効果があります。

1. 筋肥大と筋力の向上

ここから先は

1,483字

スタンダードプラン

¥630 / 月
初月無料
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?