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充実した日曜日

ピアノについて。

定期的なレッスンは辞めたわけですが、いろいろ未消化な思いがあり、それを残したままでは本当にピアノレッスンに対して(決して「ピアノに対して」ではない)よくない思いを持ったままになってしまう、ということで、単発でレッスンを受けることにしたのが先月の話でした。

私の中の未消化な思いがどのように解決するのかはなんともわかりませんが、とりあえず前のところでやりかけたのに何だかよくわからない形でフェードアウトしてしまった曲を、全部ではないにせよ、仕上げたいと思いました。

そのうちの1曲がシューベルトの「楽興の時 第3番」でした。昨日動画サイトで聴いていたのはこのためでした。

この曲。本当は今年の春にあった発表会で弾くつもりでした。
発表会の曲はメインでもう1曲、先に決めていたものがありました。バッハの「フランス組曲 第6番」の「アルマンド」。繰り返しなしで弾けば2分ちょっとで終わるので、「それでは短いから、もう1曲、何か加えましょう」となり、選んでもらった曲が「楽興の時」でした。
譜読みを始めたのがちょうど昨年の今時期だったなぁ。
休み中に練習を進めて、休み明けからバッハと平行してレッスンで弾いていました。
3月頃だったでしょうか。「『楽興の時』はなしにします」と言われました。間に合わないから、って。「バッハと両方やるとなると虻蜂取らずになる」と。
悲しかった。「フランス組曲」だって弾けていなかった訳ではなかったです。「楽興の時」だって弾けていなかった訳ではなかったです。
・・・でも、そんなの、私がそう思っているだけで、先生から見たら「弾けていない」だったのでしょう。

せっかく”この曲を発表会で弾くんだ”と意気込み、数か月練習に励んできたのに。発表会まであと2か月あるのだから、一生懸命練習すれば何とかなるのではないか、と思ったのでしたが、先生は頑として「楽興の時」は弾かせない、でした。
私は自分の能力のなさにがっかり。家で泣くほど落ち込みました。


結局、発表会は「フランス組曲」だけ弾きました。

先生としては「楽興の時」は冬に行われる勉強会で弾かせるつもりだったようですが、私はそんなに何ヵ月もこの曲を弾く気力はありませんでした。ともかく、もうこの曲をやるモチベーションは完全に失っていました。この曲自体嫌いになった。


そんな状態で数か月。
この間にピアノは辞めた。
「楽興の時」は楽譜を見るのさえ辛くなっていたので、開くこともありませんでした。

が。この曲自体には何の罪もないはず。
本当は好きな曲だったのだ・・・そう思ったとき。
「それならば、もう一度、弾いてみようか」と思ったのでした。



前置きが長くなりました。

単発レッスンの2回目に行ってきました。
まずは前回の「ブルグミュラー18の練習曲」の中の1曲を。
まだまだ改善点はあるものの、大体形にはなってきたようです。
たぶん、先生は”マル”や”合格”は出さないのかもしれません。
どこで「よし」とするのかは私が決めること。

それにしても、本当にわかりやすい。
私はペダルにいろいろ問題を抱えています。そんな状態のまま、最近はチェンバロを主にやっているため、ペダルはもう使うこともなくなっていますから、ますますペダルは怪しい・・・
先生はペダルの適切な踏み方をいろいろ教えてくださいました。
取りにくいタイミングもわかりやすい教え方のおかげでできるように。

「だいぶできるようになりましたね」とおっしゃっていただけて、ものすごくうれしかった。
なんで前はあんなにやってもやっても「できていない」って言われ続けたんだろう?????

そして「楽興の時」。
こちらは重音がたくさん出てきて、その弾き方が難しい。
これも具体的にどのような練習をすればよいのか教えていただきました。
前のところではこんな練習方法、教えてもらっていない。
教えていただいたような練習をその場で繰り返すこと数分。
あれ?!弾ける?
それまでの苦労がウソのように弾けました。びっくり。

こんな感じであっという間に1時間。
とても充実していました。




大満足の思いで家路につきました。
夕食後、すごい眠気が襲ってきて、私はふだんは就寝前の時間に横になったりすることはないのですが、この日はあまりの疲労感に横になりました。頭、いっぱい使ったみたい。
ちょっとだけ眠って起きて、復習。
家で弾いてもちゃんと再現できる!


いろいろ考えてしまいました。
結局、前のところでいくらやっても弾けるようにならなかったのって、必要な練習方法を教えられていなかったからじゃないのか?少なくとも、この日教わったようなことは何一つ教わってきませんでした。やったことといえば「強弱もっとつける」「音と音の間をもっと空ける」「突っ走らないで止まる」・・・ほとんどそればかり。
今さらそんなことに思い至るとは実に悔しい限り。でもそこは私の落ち度でした。そんなところ、さっさと辞めちゃえばよかった。
上手に教えられる先生はいらっしゃるものです。


さて。
これでまた少し、私の中の「穴」は埋まりました。
なかなか1回や2回でどうこうできるものでもなさそうです。
今後どうするかは本当に自分の気持ち次第。
ただ、「チェンバロ」という別の世界を知ってしまいましたから、もうそこから抜け出すことはできません。
そして私の弾き方のスタイルが、そもそもチェンバロの先生がおっしゃったように「ピアノよりもチェンバロに向いている」ものであるらしいことは自分でもなんとなくわかっています。
ピアノに関してはレッスンに関する「穴」が埋まったら(埋まるかわかんないけど)おしまいにするでしょう、たぶん。それがいつになるのかはなんとも、ですが。


いい先生に出会えてよかった。
「楽興の時」を本来弾くはずだった日にレッスンで弾けてよかった。


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