見出し画像

みなさんにお聞きしてることなのですが、

朝、玄関の扉を開けると生ゴミのニオイが鼻をつく。

一週間前ぐらい前から臭いと思っていたが、日増しにニオイが濃厚になっている。

同じ階に4室あるのだが、そのうちの一室がゴミ屋敷になっているのだろうか。

あるいは誰か孤独死しているのだろうか。

月曜日は燃えるゴミの日なので、帰ってきたらニオイは無くなっている、無くなっていてほしい、そう願いながら階段を上る。

「おぇ」
今までで一番ひどいニオイになっている。
急いでドアを開けて部屋へ逃げる。
「わ」
ニオイが部屋の中に侵入してくる。

こりゃダメだ。
迷わず管理会社に電話する。
「今日は終わりなので明日見に行きます」
それは仕方ない。
ニオイが鼻にこびりついて取れない。

「ピンポーン」

風呂あがりにチャイムが鳴る。
来れないと言ってたのに管理会社の人が来る。

「ニンニクのニオイがしますね」
「えっ、生ゴミのニオイだと思いますけど」
ニンニクなら好きだから気にならない。

「8階に行ってみますか?」
「はい」

「ニオイませんね」
「そうですね」

「9階に戻りましょう」
「はい」

「やっぱりニオイますね」
「はい」

「ほかの部屋の人には直接言わないでください。トラブルになりますから」
「はい、わかってます。よろしくお願いします」

「すみませんでした。失礼します」
「いえいえ、わざわざ来ていただいでありがとうございます」

ところで、管理会社の人は他の部屋の人にどう確認するのか気になる。

「マンションにお住まいの方、みなさんにお聞きしていることなのですが、」
から聞くのだろか。

「形式的なことで、みなさんにお聞きしてるのですが、先週の日曜の午後11時頃、どちらにいらっしゃいましたか?」

「私を疑ってるんですか💢」

と言われないための大事な枕詞。
「みなさんにお聞きしてることなので」

刑事ドラマの聞き込みシーンを思い出しながら考える。

最初に見た刑事ドラマは「太陽にほえろ!」かな😉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?