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せいぜん説

日々暇なのに、久しぶりの更新になります。
まだまだ暑いですね。。。

ここまで暑いのに、扇風機の付いた服が、まだH&Mで売られていない事にまだまだ世の中はオシャレ中心に回っていると痛感させられます。

そんなことを考えてると、ふとした時にこの世にはまだまだ解明されていない謎がたくさんあるなと感じることがあります。


生命のこと、科学のこと、宇宙のこと、、、


そんな謎で溢れる世界の中でわたしは、1つ気になることが出てきました。


それは『人』についてです。

この世には、「性善説」と「性悪説」というものがあるみたいです。

皆さんはこの2つをご存知でしょうか?


具体的には、人間はもともと他人を思いやる心、すなわち『善』から出発したものだとするのが「性善説」

それとは反対に、もともと人間というのは争い、そして憎しみなどの『悪』から出発したものだと考えられるのが「性悪説」



まだ人類史において、答えの出ていない『問い』の1つみたいです。


皆さんはどちらが人間の本性だと思いますか?

少しイメージするために、実例を見てみましょう。


現代社会を見てみると、戦争や衝突などが絶えず起きています。
そしてこれは今に始まった事ではありません。
遥か昔より起きてきた歴史的な事実です。



‥‥


やはり、歴史からみてもニンゲンという生き物は『性悪説』の生き物なのでしょうか?



いや、そうではない!!
そうではないと信じたいのです。


政治や権力、そんな難しい話は私には分かりません。
ただ人は思いやりを。他者を尊重する事の出来る生き物です。


人が少しずつでいいから、思いやる心を全員が持つことが出来れば、何かが変わるはずです。


だからこそ、私は人間は『性善説』の生き物であると答えを出したいのです。






話は変わりますがそういえば先日、私は引越しをしました。


今までの引越しは色々と会社が手配してくれましたが、今回は転勤とかではなく、私が勝手に引っ越すだけです。

なので、引越し会社の手配から費用からもすべて自分です。


以前も書きましたが、私はとにかくお金がありません。
理由は、自炊もせず、日々の食事を酒も飲まないのにチェーン居酒屋でローテーションぶん回している為です。

もし将来、私のライフヒストリーを書くことがあるとすれば、書き出しは『恥の多い生涯を送ってきました』になると思います。



文才のない、太宰治の再来です。




なので、業者の選定基準はとにかく安さです。

九州までなにわ男子のLiveに行き、ネカフェに泊まる妹に、ネカフェなんか泊まらずにせっかくだからホテルに泊まれば良いじゃないか!と家族の年功序列にあぐらをかいて、説教を垂れたことを今となっては恥じます。

ほんと恥の多い生涯です。


つまり、安さというのは、ヒトを動かします。


安いということは、まず時間指定は出来ません。

当日の業者さんの稼働状況次第です。

ただ前日の夜になって、ショートメッセージで担当の方から、「明日の朝8時に伺います」との連絡がありました。



おっと。


オモッタヨリハヤイ、、、


当日にすべての荷造りしてやろうとしている人間に対して、引っ越し業者は試練を与えます。


ただここで思いやりの心を忘れない。

みんなそれぞれ都合があるんです。当たり前です。こんな事で怒りませんよ。
人というのは、性善説なのです。



そして、何より引っ越し業者は絶対に越えられる試練しか与えません。


私は部屋のスピーカーを、HYの「AM11:00」から、Creepy Nutsの「夜ふかしのうた」に切り替え、荷造りを進めます。


男子は28の代になっても、妄想をします。

荷造りの途中、会社に不審者が入ってきて、自分があたかもシティーハンター鈴木亮平の様に女の子の前で華麗にやっつけるみたいなことも妄想します。


そんな、空想冴羽リョウのバックには、全世界にを股にかけるCreepy Nutsが駆け巡ります。


なんせ俺たちの夜は忙しい
keep on dancin さぁ鬼の居ぬ間に〜


ごくごく一般的なサラリーマンには、何も起きることなく、夜が明けます。

そして8:00


ぴったしにインターホンが鳴りました。


「はーい」



ドアを開けるとそこには、かなりイカしたお兄さんが2人立っていました。


生きたことのない昭和の記憶が蘇ります。



ナウイ。



かなりナウイ。



迎え入れると、彼らは早々に靴を脱ぎました。
薄らとズボンの裾から見える足首には「愛」とタトゥーが入っていました。



非常にナウイ。




『マルクス中先確認しちゃおう』


イカしたお兄さんはもう1人の相棒をマルクスと呼びました。



そこで、それまでの妄想と睡眠不足が相まって、本当に自分と実写版シティーハンター鈴木亮平との境界線が分からなくなりました。

あれ、俺って役柄に応じてかなり体重管理してたっけ?



分からない。何一つ分からない。

ただ、この時に分かること。


それはこのお兄さんたちは『愛』を持っています。

愛は朦朧とした男を救います。

挨拶を交わす間もなく、作業に取り掛かる姿を見て、驚愕します。



何より手際が良い!!
家庭訪問前のオカンくらい手際が良いです。


やはりこの世は『性善説』です。


思いやりは人間が勝手に決めたお金なんて、取るに足らない物差しを圧倒的に凌駕する。

そこには、対価という物差しではなく、この1人の男を引越させてやろうという気概を感じました。

ものの1時間で全ての搬出が終えました。


『じゃあお兄さん、もう一軒回った後にこのまま荷物運んじゃうので、搬入のときもよろしくお願いしますね』


必要最低限の会話にも関わらず、無駄のない端的な内容。
なんて素晴らしい世の中なんだ。


やはり、世界は優しさで回っている。



あとは、私に残された家でやることはただ1つ。


そう。鍵を不動産会社に返すことです。


ただこんなものは、引越し物語のエンドロールに過ぎません。

返せばいいだけなのです。


私はクルマに乗り込み、2本のカギ(一つはクジラのキーホルダー付き)をポッケにしまいます。


ここだけを何も創造性のないゲームフリークの社員が切り取れば、
『ポケットモンスター クジラ鍵/シンプル鍵』となる世界線すらあるかもしれません。


まぁただこんな仕様もない事を言ってもこの世は『性善説』

楽しさを自ら創り出せるのも、人間の良さなのです。



クルマで5分の不動産屋に着き、看板を見ると懐かしさが蘇ります。



この群馬に来て、早3年。
右も左も分からなかったこの3年前に、想いを馳せます。

ちょっとオッサンになったかな、、、
でも少しそんな年老いた自分の姿が勲章のようで誇らしかったり。


ふう。


不動産屋の門を括るまえに、想い出の詰まったクジラのキーホルダーを外します。


さぁ、新しい門出へ。



『鍵の返却をしに来ました!』


私の想い出の詰まった鍵達2本を、フィールドに繰り出します。


『ごめんなさいね、あの、お兄さんね、このマンションなら鍵3本あるはずなのよ。もう1本あるよね?』


カギ、、、3本?

『え、これで全部だと思うんですけど』

『いや、このマンションはきっちり3本なのよ。誤魔化せないよ、お兄さん』


私は、何一つとして、状況が読み込めない。


『これ、しかもね、ティンプルキーって言って高いやつになるのよ。これ弁償して貰わないとダメだからね』


ベンショウ??


『これ、弁償金として55,000円請求させてもらうから』


え、金額、え、いまなんて?


『これほら、入居時にカギの本数もチェックしてもらってるでしょ。やっぱり弁償してもらわないとダメよこれ』


目の前が真っ白になる。

なんで。

なんでこんな事をこのカタは言うの?

一生懸命引っ越ししようとしただけなのに。
必死に生きているだけなのに。



なんでこんな事になるの?


なんで俺だけ。

たしかに、いま思い返せば結構序盤にカギの救急車を呼んだような記憶はあるよ?


でも55,000円って。

55,000円なんて、他人から奪い取っていい額ではないよ。


ティンプルキーなんて、初めて聞く単語ぶつけられた事も今となっては腹立たしい。


もういい。


この世に、すべての人が理解し合える世界はないんだ。


この思いを抱えて生きていく。


このあと、引越し先に向かう最中に、腹痛に襲われ、トイレを借りるためだけに入ったパチンコ屋で焦って駐車券を無くして、5,000円請求されたのは、まだ先のお話である。


この日、口座から計60,000円が消えた。


断じて、この世は、性悪説。

おわり。

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