ワーカホリズムとは?【バーンアウトやワークエンゲイジメントとの違いも解説】
みなさんこんにちは。現役大学院生(産業組織心理学専攻)兼人事・組織コンサルタントのミナミです。
今回は、働く上で気をつけたい「ワーカホリズム」について解説していきたいと思います!
ワーカホリズムだけでなく、似た概念であるバーンアウトやワーク・エンゲイジメントについても触れています。
それでは早速いきましょう!
ワーカホリズムとは?
ワーカホリズムは、「過度に働くことへの衝動性ないしコントロール不可能な欲求」を表す概念としてオーツによって提唱されました。
シャウフェリは、ワーカホリズムを「強迫的かつ過度に一生懸命働く傾向」と定義した上で、「働きすぎ」と「強迫的な働き方」という2つの下位概念に整理しました。
ワーカホリズムの特徴として、以下のようなものがあります。
時間の多くを仕事に費やす
仕事中でなくても頻繁に仕事のことを考える
組織からの期待や経済的な必要性以上に働く
ワーカホリズムの傾向をもつ労働者は、仕事に多くの時間を費やすことから、心身の疲弊につながりやすく、心理的ストレス反応の高さや身体愁訴の多さと関連することがわかっています。
また、完全主義、非現実的で高すぎる目標設定、他者への権限委譲の少なさ、思考や行動の柔軟性の乏しさなどにより、仕事のパフォーマンスや職務満足度などの職業生活の質が低いことも明らかになっています。
さらに、ワーカホリズムは生活満足度の低さと関連することも明らかになっています。
ワーカホリズムの測定方法
ワーカホリズムの測定は、The Dutch Workaholism Scale(DUWAS)がよく用いられています。
この尺度は、「働きすぎ」、「強迫的な働き方」の2下位尺度、合計10項目で構成されています。
「働きすぎ」の項目例としては、「常に忙しく、一度に多くの仕事に手を出している」
「強迫的な働き方」の項目例としては、「仕事を休んでいる時間は、罪悪感を覚える」があります。
DUWASは日本語版もあり、信頼性と妥当性もしっかりと確認されています。
ワーカホリズムとバーンアウトの違いは?
ワーカホリズムと似た概念にバーンアウトがあります。
バーンアウトは、燃え尽き症候群とも言われ、「それまで仕事熱心だった人が、急に労働意欲をなくし、無気力な状態になる」ことです。
バーンアウトは、真面目で熱心な人や完璧主義な人ほどなりやすいと言われています。
また、バーンアウトになりやすい職業として、
学校教員
看護師
ソーシャルワーカー
といった対人援助職が挙げられます。
簡単にいうと、ワーカホリズムは、「働きすぎ」や「働かないと罪悪感を」覚える状態ですが、バーンアウトは、「労働意欲をなくし、無気力になる」状態です。
ワーカホリズムとワーク・エンゲイジメントの違いは?
もう1つ似た概念なのが、ワーク・エンゲイジメントです。
ワーク・エンゲイジメントは、「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、特定の対象・出来事・個人・行動などに向けられた一時的な状態ではなく、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知」です。
ワーク・エンゲイジメントについては以下の記事で詳しく書いています。
ワーカホリズムとワーク・エンゲイジメントは、「仕事に多くのエネルギーを費やす」「一生懸命に働く」という行動面では共通しています。
しかし、その行動の背景にある理由が異なります。
具体的には、
ワーカホリズムが、働くことへの衝動性制御の困難、過度の完全主義、低い自尊心の補償、非就業時の罪悪感・不安の低減などによって特徴づけられます。
それに対して、ワーク・エンゲイジメントは、
仕事自体の面白さ、すなわち内発的な動機づけによって特徴づけられます。
ワーカホリズム、ワーク・エンゲイジメント、バーンアウトを図解すると以下のようになります。
まとめ
ワーカホリズムは、「強迫的かつ過度に一生懸命働く傾向」です。
ワーカホリズムの傾向にある人は、自分で気づいていないことが多く、ある日いきなりバーンアウトになってしまうことも少なくありません。
仕事をすることは大切ですが、何事も「ほどほど」が大切です。
「完璧」は存在しないので。
では今回はこの辺で!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!