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ニュージーランドで出会った韓国人と結婚したけど、結婚20周年目前に離婚した話16

髪型や服装も自分の自由は無くなっていった。
当時まだ22歳。流行っていたスーパーストレート(縮毛矯正)を韓国移住前に思いきってやってみた。サラサラになってとても嬉しかったのを覚えている。移住後1カ月でダニ母に何度も注意され、泣く泣くパーマをかけた。
ダニ母曰く、『ストレートヘアは婚前のアガシ(お嬢さん)のヘアスタイルで、結婚もして子供もいるまめはアジュンマ(おばさん)だからパーマをかけなくてはいけない!』のだそうだ。
今でさえ韓国は美容やファッションの先端だと人気があるけれど、二十数年前はスタイルも美容室のスキルも日本の方が上。せめて、ゆるふわな優しい感じのパーマにしようと、わざわざソウル方面にある大学生に人気の美容室にまで行った。大好きだった雑誌のモデルさんの写真を見せ、大きめのウェーブで緩くお願いした。
出来上がったのはチリチリカクカクの細かいパーマだった。鏡に映る泣きそうな私を見て美容師は『大丈夫!心配しないで。』と笑い、ブラシで伸ばしながら私の髪を乾かし始めた。
乾かしながら、『毎日こうやって思いっきりパーマを伸ばすように引っ張って乾かすのよ。そしたらいい感じになるから。ただ単に乾かすとあなたの求めるイメージにはならないからね。しっかりね。』と、アドバイスをくれた。
髪の毛を全て剃り上げてしまいたいくらい悲しかった。
でも、その後に会ったダニ母は満足そうだった。
髪型に関しては、アメリカに移住してからもずっとしつこく言われ、『ロングヘアは邪魔だ、みっともない』と言われていたので、ロングヘアが好きな私は普段は伸ばし、ダニ母がアメリカに来る前にはバッサリと切ると言うのを繰り返した。

服装も、私は本来ジーンズにTシャツと言ったラフな格好が好きだった。
けど、ダニ母は違った。
『医者(動物のだけど)の奥さんがジーンズなんてみっともない!スカート以外はあり得ない!』勿論、丈は座っても膝がしっかり隠れる長さ。足の太い私には中途半端なこの丈が似合わなかった。(涙)
『Tシャツも貧乏くさい!セーターか女性らしいカットソー、ブラウスにしなさい!』
『靴もスニーカーなんて絶対にダメ!フラットシューズも良くない。3㎝のヒールを履きなさい!』
お金に余裕が無かったので、ダニ母の気に入る服を買えば、私の好きな服は買えなかった。でも仕方がない。私だけではなく、ダニーもジーンズ禁止だった。 『医者がジーンズなんてみっともない。周りに医者と思われない。』だからだそうだ。バッカみたい。
一度、動物園に行っていたらダニ母から呼び出しがかかり、そのまま義実家に行った事があった。動物園は広くて沢山歩くし、義実家に行く予定では無かったので、ジーンズとスニーカーで行っていた。
そして怒られた。
『何てみっともない格好をしてるんだ!恥ずかしい!アパート(ダニ両親の住む億ション)の住人には見られなかったでしょうね?』
開口一番がこれだった。それ以来、ダニ母の好む服と靴と鞄を一式、車に常備するようにした。

ダニ母は、兎に角コントロールフリークだった。すべての人を自分の思い通りにさせたがった。それに逆らえば容赦なく罵られ、その後は目の前にいても見えていないかのようにとことん無視をした。
まさか、十数年後にはダニーがダニ母と同じようになるとは想像もしていなかった。
目の前にいる私を、まるで存在しないかのように無視。
それは怒鳴られるよりも辛く、私のトラウマとなっている。

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