詩「体育座り」
狭い浴槽の中で
両足が壁にぶつかる
あなたの
丸く曲がった
冷たい背中の感触に似ていた
少しでも
触ったら
私の全部が溶けて取り込まれてしまいそう
咄嗟に
足を引っ込めた
次第に
爪先から蔓が伸びて
私の身体全体に巻き付く
全身の感覚がなくなって
泡になり
お湯に溶けてしまいそうで
私は私を
いとも簡単に捨てた
自我を失くした私は
ちょこんと体育座り
今日も
あなた達の言いつけは
きちんと守っております
偉いぞ
私
きっと今
私の身体が宇宙に放り出されても
体育座りをしながら
くるくると回転しておりますわ
無重力で
縦横無尽に
ここに自由なんてものはないから
せめて
発想力を解き放て