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詩「吸盤」


大掃除の日に
一年間の重力の重みに耐えきれず
遂に
落下した吸盤
特に前兆などはなかった
いつの日も
ある日突然…なのである
(我々が事の重大さを認識するのは、いつも結果が出てからなのであった。)

年末に時間は、あってない様なものだ
私は
無理矢理、吸盤を上から押さえつける
グリグリと何回も…
吸盤は、痛い痛いとは
悲鳴をちっともあげないのだけれど…
見ているこちらの方が辛かったのだ
(何度も何度もはりつけを失敗している様な非情さが、そこにはあった。)

遂に
吸盤は
上手く
貼り付けられずに
下に
ゴロゴロと
転がり落ちて行った
もう粘着力がないのだ
維持するという力がないのだ
もう
全て出し切っていた後だったのだ
それでも
私はスマホで吸盤が
また付く裏ワザを探し出し
性懲りも無く
再び
試しているのであった
(この世の全ての無常なる魂を救い給え。)

私は、ポイっと簡単に捨てる気などは
さらさらない

きっと
吸盤に
″あの日″の自分を
見出したからだ

この吸盤は
まだ行ける
まだまだ
やっていくのだ
この場所で
私と共に…

本当の終焉おわりを迎える
その日まで


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