世の中の混乱に胸を痛めてばかりではいかぬ、とは思いつつもなかなか浮上できない状態。
そんな中、ちょうど図書館で借りていた、よしもとばななさんの『はーばーらいと』を読みました。
これはいわゆる”宗教二世”がテーマの話でした。親とともに新興宗教団体のコミュニティで暮らしていた女の子(ひばり)が、幼なじみ(つばさ)の助けを得て、脱出するまでの物語。
ばななさん節で描かれる登場人物というのは、儚げなのだけど、芯が強くてしなやかなのであります。
そんなお話を読んでいたら、何となく元気が出てきました。
ばななさんの小説はあらかた読んでいると思いますが、中でも印象的だったのは、東日本大震災の後に書かれた『スウィート・ヒアアフター』でした。
思い出したら猛烈に再読したくなり、入手。一気読み。
あらすじは以下。
小夜子が生死の境を彷徨ったことで、改めて発見する”生きている”こと。その表現が刺さります。
改めて読むと、ばななさんが小夜子の感覚や思いを通じて、誠意をもって生きている人たちを励まそうとしていたのだなあと、感じました。
うつろう世の中にあって、美しいものやきれいなものに目を向けて生きていくこと。
生きている人ができる最良のことは、これだろうと思いました。
”ものがたり”をなぜ人が必要とするのか。
それは”ものがたり”が最高のカタルシスをくれるものだから。
しみじみと感じました。
ばななさん、ありがとうございます。