【続いてる写経 1276日め】『ぜんぶ、すてれば』を読んでみた
なんとも魅力的なタイトルの『ぜんぶ、すてれば』を読了。
ミニマリストの本ではありません。
伊勢丹、鈴屋、台湾企業、寺田倉庫で実績を上げてきた伝説の経営者、
中野善壽さんのご著作。
ご本人のお話の聞き取りを文書化し、さらに中野さんとお付き合いの深い人たちの寄稿文も挿入。その人となりと生き方がよくわかる内容でした。
いわゆるミニマリストとは違うけれど、タイトルには偽りなし。
中野さんは「今日を生きること」をモットーとして、モノを所有することに興味がないそうなのです。
家も賃貸、車もなし、高級腕時計もなし。
持っていなければ縛られず身軽。
さらにそのわずかな所有物すら、執着せず手放してしまうのです。
本も読んだら、手放す。もう一度読みたくなったら買い直す。
旅には携帯、お財布、下着など最低限の荷物だけ、服は現地で購入する。
そして思い出や、仕事の業績も執着しない。
潔すぎる!!
徹底して行動に己の「美学」があるのです。
何を捨てて、何を残すのか、自分の「好き・嫌い」をハッキリと意識してきたことが土台になっているそう。
その土台は、幼少期にお祖母から手ほどきを受けた”生花”のお稽古と言います。
なるほど、この「生花」こそが、中野さんの人生のナビゲーションをしてくれたと思われます。
というのも、最初の就職活動の話で”お花”が重要な役割を果たしているからです。
中野さんは学生時代学生寮に暮らし、
「殺風景な日常に、せめて彩りを」と、毎日閉店間際に、お花屋さんに立寄って、一輪買っていたのだそうです。
卒業も間近になり、やりたいことがなく就職活動にも身が入らず、宙ぶらりんになっていたら、いつものお花屋さんのツテで、伊勢丹を紹介してもらったとのこと。
お花を買う習慣があったからこそ、導かれたご縁。
男子学生(しかも野球選手)がお花を買っているだけで、印象に残りますしね。
日常的に「美意識」を求めることに、重要性を感じたエピソードでございました。
その他、香港出店時の話や、台湾に移住した時など、全くツテもない状態で現地の人へ積極的に働きかけて、ご縁を繋いでいく話も興味深いです。
「自分はこんな人間で、こんなことをやってみたいのだけど・・」と、いい感じだと思った人にカフェなどで体当たり。
するといつの間にか”菩薩”のような人が現れて、いい感じに仕事のご縁を導いてくれるというのです。
自分を曝け出すことが、他人の信用を得る最短の方法なのかもしれない
ですね。
直感力に優れていて、いちいち行動がカッコいい、って思えるのは、
やっぱり幼少期から鍛えた「美意識」が根っこにあるからでしょう。
センスって1日では身につかない。
美しいモノ、自分が好きなモノ、追求するのは大切だと痛感させられた一冊でした。
岡本太郎さんとか好きな人にも、おすすめ。