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【続いてる写経 849日め】〜必読!『金カム』最終巻の加筆エピソード

今回発売されたばかりだった『ゴールデンカムイ』の31巻(最終巻)を、記念に札幌で購入しました。
(ホテルの隣がたまたま紀伊國屋書店だったのもラッキー!)

本誌アプリですでに最終話までは何度も読んでいましたが、”大幅加筆”された最終巻、特に最後に付け加えられたエピソード、衝撃でした。

なるべくネタバレにならぬように書きますが、全くの書き下ろし部分は太平洋戦争後の話。ここには多くの人に認識してほしい戦史、占守島の戦いが挟まれていたのです。

太平洋戦争終結間近、かつてのソ連軍が不可侵条約を破り、カムチャツカ半島の先にある占守島(しゅむしゅとう)に侵攻しました。
このままでは北海道が不当占拠されると判断した、旧陸軍の樋口季一郎中将は、ソ連軍に徹底抗戦。結果として停戦協定が結ばれ、北海道本土への上陸が食い止められたとのことです。

しかも樋口季一郎中将は、「もう一人の杉原千畝」と呼ばれ、ユダヤ人難民に対し当時の満州国のビザを発行。満州里から特別列車を確保し、上海へ続くユダヤ人脱出ルートを作った人物なのだそうです。このルートは「ヒグチルート」と呼ばれ、杉原氏の「命のビザ」より2年も先に実施してたのです。

樋口将軍はかつてユダヤ人にお世話になった恩があったらしく、人道保護の立場から、実行されたとのこと。
同盟国ドイツから非難がきても、関東軍参謀長だった東條英機に対し、
「参謀長、ヒットラーのお先棒を担いで弱い者いじめすることを正しいと思われますか」
と言い放ち、東條を黙らせたそうです。しびれますな。

(以上、ユダヤ人難民と北海道を守った樋口季一郎とは。旧陸軍中将の生涯などより引用)

旧日本軍の陸軍軍人というと、とかくイメージ悪いのですが、このような人格的にも立派な方がいて、軍人としての的確な判断力でもって、日本を守ってくれた人が居たのを初めて知りました。

旧ソ連軍は占守島だけでなく、樺太にも侵攻し、その後北方四島を不当占拠し現在に至るわけです。
ただ、スターリンが北海道本土を占拠しようと目論んでいたのを、占守島で最初に食い止め、作戦を阻んだ功績は大きかったとのことです。
「スターリンの野望」北海道占領を阻止した男

ソ連は崩壊しても、ロシアのこの手の論理と戦法は今も変わらないのは、ウクライナ侵攻でも明らかです。
また、昨今の情勢では、露国のプッチン大統領が北海道を再び占拠しようと考えるのはありうる話だそうで、仮にそんな状況になった時、どうなってしまうのか…。ここはホント、危機感はあったほうがいいのかもしれません。

『ゴールデンカムイ』はストーリーの本筋だけでなく、アイヌ文化や、北海道開拓史、日本の軍事史など、様々な要素があって、色んな視点をもたせてくれる作品でしたが、最後のおまけがこのエピソードとは、カッコ良すぎる。これを突っ込んでくれた意義は考えざるを得ません。

作者の野田サトル先生も、この事実を今のタイミングで多くの人に知ってもらいたかったのでしょうか。あり得る話として、危機感を持つことは大事でだと思います。
最後まで大いに勉強させてくれた『金カム』に大感謝です。

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