【続いてる写経 989日め】〜劇中に現れる”Nadsat"語とは?
サッカー脳からの気分転換をはかろうと、アマプラでなぜか選んでしまったのが、スタンリー・キューブリックの名作『時計じかけのオレンジ』。
あまりにも有名な作品ながらも、あまりにも強烈であることを知っていたがために、未見でした。今回何となく気になってプレイボタンを押してしまったんですけど…。
70年代に創造された近未来風景、Swinging London的なオシャレファッションやインテリアとは対照的に、全編暴力と狂気の世界。
観るに堪えないな、と思った場面は速攻飛ばしました…。
設定15歳にして、悪行のかぎりを尽くす主人公のアレックス一味に辟易しながらも、先が気になってしまったのはストーリーの巧妙さゆえでしょうか。
さらに彼らが話している仲間内の言葉が、見知った言語だったのです。
字幕では、下線が引かれた部分はこの物語特有の人工言語で、女の子を”デボーチカ”、映画を観ることを”ビディー”、仲間を”ドルーグ”など言い表してました。
”デボーチカ”=девочка、”ビディー”=Видеть、”ドルーグ”=друг
ロシア語、まんまじゃん!!
実はこの映画の特殊言語は、『時計じかけのオレンジ』の原作者、アンソニー・バージェスが言語学者であったことから思いついたものだそうです。
Wikipediaによると、
ロシア語とコックニーと、その他色々混ぜて作った言葉だったらしいです。
翻訳や字幕担当の人は苦労されたのだろうな…。
この奇妙な言語は、彼らの狂気を表すのにより効果を与えている気がしました。
この「へえ〜」ってものがなかったら、気分悪いだけで終わったかも。
とりあえず、全般に衝撃度が強いので、あまり若い頃に観なくてよかったし、ロシア語をちょっと学んだ今の自分だからこそ、理解できた元ネタ。
この映画を今観ることになった理由がわかった気がしました。巡り合わせというものでしょうか。
言語を学ぶ楽しみは、意外なところに潜むものですね。
でも『時計じかけのオレンジ』は、人にはあまり薦めたくない…。
ただ、この気味が悪い小説が書かれた理由は、作者のバージェスが話の中で、主人公一味に襲われる作家と同じような体験をしているからだったのです…。この事実もショックでしたわ…。