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【続いてる写経 1674日め】久しぶりに『CIPHER』を一気読み

某マンガアプリでやっている毎日全話無料、11月5日の対象は『CIPHER』
(連休中に解放してくれれば良かったのに

成田美名子先生の80年代のアメリカを舞台にした傑作マンガ。

この頃は掲載誌の『LaLa』を愛読していて、リアタイで読んでました。
成田先生の美しいイラスト、カッコいいキャラクターたちに魅了され、何度も読み返してましたね。

デジタル版では当時のカラーページも綺麗に掲載されていて、ここのデニムやレザーのタッチがたまらないと思ったんだよなあ、、と当時の記憶が蘇りました。

『CIPHER』は、TVドラマや映画で活躍する双子の兄弟、サイファとシヴァの物語。
シヴァと同じ学校に通うアニスという女の子が、ひょんなことから彼ら2人の秘密を知ってしまい、ある賭けをすることから始まります。

当初、物語はコメディタッチで展開するのですが、双子の秘密が明らかになり、双子が袂を分つある”事件”が起きてからは、ちょっと暗めの話に。

双子が秘密を抱えるに至るまでのエピソードが、サイファの立場からみた世界と、もう片方のシヴァからみた世界が明らかにされていくのです。

リアタイで読んでいる時は、若干辛くて後半は記憶が薄かったのですけど、一気に読み直すと、双子が葛藤を通じて、成長していく過程のストーリー構成が緻密でした。

設定を”双子”に据えているところがミソでしょう。
見た目は周囲が見分けがつかないほど似た双子。
それでも個性があるので、周囲の扱いはちょっとずつ違うわけです。

「彼のほうが愛されていた」
「彼の方が頼られていた」

互いにコンプレックスをもち、思い悩んでいる。

双子の一方の存在は、いちばん近くて大事であるにも関わらず、
いちばん疎ましい存在でもあったわけです。

根本にあるテーマは、”アイデンティティ”

自分には価値があるのか。
自分は人から認められる存在なのか。
自分のことを人は受け入れてくれるのか。
自分はこのままでいいのか。

誰しもが悩む普遍的な問題。

これがドラマティックなエピソードを通じて語られるのですから、成田先生の力量の半端なさを感じます。

少女マンガの世界で、恋愛以外の内面世界と他者との関係性にここまで切り込んだ作品って少ないのではないでしょうか。

現在も成田作品はずっと読んできてますが、やっぱりこの『CIPHER』と『エイリアン通り』は別格ですね。

来年は原画展が開催されるようなので、忘れず観に行かねば。


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