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【続いてる写経 1613日め】スリランカの女性は半端なく、働いている

数少ないスリランカ関連図書において、必ず出てくる本は、
『スリランカを知るための58章』(明石書店・刊)

この『どこどこを知るための』本シリーズは、情報少なめのマイナー国の概要を知るにはとても役立ちます。

この本の中で目を見張った内容は、第25章「スリランカの女性たち」。

この章は、スリランカ家庭にホームステイした若手女性研究者によるもので、スリランカの女性が家庭でいかに重労働を担っているか、驚きばかりだったようす。

学校教師や医師、公務員など男性と同程度に家の外での仕事をこなす女性も、自宅に帰れば専業主婦と変わらず母であり、妻であり、嫁である。

『スリランカを知るための58章』p136より

いや、驚きますよ。スリランカ・ワーキングマザーの仕事ぶり。

事例紹介されている高校の先生のケースは、男女2児の母で、公務員の夫の妻。さらに夫の母である姑と同居。

・朝は家族の中でいちばんに起床しブッダに祈りを捧げ、食事を作り、ミルクティを入れる
・家族が食事をしている間にシャワーを浴びながら洗濯
子ども達のお弁当をつくり、着替えさせ、送り出す
・夫とともに出勤する
・帰宅後は一人で夕食の支度をする

こういうのを、日本では”ワンオペ”育児というのですが…。
そのような概念はないようです。

ただ、これはいわゆる男女差別というか、女性蔑視とは簡単には言えない文化背景があるようなのです。

筆者がスリランカ滞在中に下宿していた家の母親は、熱心にシンハラ女子教育をしてくれた(中略)
「どんな理由があっても、女はきちんと家の仕事をするべき。毎朝、毎晩ブッダに祈りを捧げ、家族のために食事を作る。家中を常にきれいにしておくことで、家に不幸は近寄らないようになるのよ」

(中略)
女性の社会進出が進み、女性が家で過ごす時間が少なくなろうとも、女性が「家の仕事」を行うことは、家族の健康と家内安全を守る大切な営みなのである。これはスリランカの女性が家事労働に縛り付けられ抑圧されているということを意味しない女性が「家の仕事」をして家を守ることが重要なのであり、どんなに外の仕事で成功しようとも、結婚し、子どもを産み、家の仕事をこなしてはじめて一人前とみなされ、彼女自身も誇りをもつようになるのである。

同上、p135

さらにすごいのは、「家の仕事」のきっちりぶり

経済的にゆとりのある家庭には、洗濯機や冷蔵庫、炊飯器があっても、家電を使っていないケースもあるらしいです。

その理由は、
・洗濯機よりもシャワのーついでに洗ったほうが衣類が傷まない
・ガスコンロの火は効率的だが、ピッタ(火のエネルギー)が強すぎて出来上がった料理が身体に対し過剰な刺激を与えるからよくない
・竈に薪の火を使い、土鍋で料理したほうがおいしくて体に良い
・食べきれなかった料理は、犬に与える
作り置きした料理は体によくないと考えられているので、冷蔵庫には保存されない
・冷蔵庫は数日分の野菜の保存や、ビスケットを蟻から守るための貯蔵庫となっている

つまり、
スリランカの主婦は、毎食毎食、料理を一から作るのです。
しかもアーユルヴェーダ的な理念をもとに!!(ここがすごい)

(女性が毎度料理を丁寧に作る話は、前回書いた東條さち子さんのマンガにも出てきていたので、信ぴょう性は高いです)

いや、どうなのこの文明の利器があっても使わないって…。
炊事洗濯のほか、掃除ももちろん女性が担っているわけで、

スリランカの人に、
「ウチはご飯は冷凍保存でレンチンして、掃除は”ルンバ”なんで…」とか言ったら、

はあ?

って軽蔑されそうだなあ…。

家族を守るために、私がやれることはすべてやる。

そのプライドと意欲、どうやったら湧いてくるのか…。
スリランカ産スパイスにして売って欲しい。

けれども、これだけ女性ばかり働いていると、

彼女が倒れたらどうなるのかしらん?

といらん心配をしてしまいます。
自分のことも、大切にしてくださいね。

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