【続いてる写経 1682日め】『バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰』展、弥勒菩薩像の変容に驚いた
『バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰』(三井記念美術館)を鑑賞。
(現執筆時点ではすでに終了)
この展覧会、いくつもハッとする点があり、非常に勉強になりました。
弥勒菩薩様のお姿
特に”弥勒信仰”たるものについて、初めて知ったことがたくさん。
釈迦入滅後56億7千万年後に、この世を救済するためにに現れるという弥勒菩薩様の信仰です。
弥勒菩薩様というと、まず思い浮かべるのが広隆寺の国宝 「弥勒菩薩半跏思惟像」です。
この弥勒様は女性的でたおやかな印象です。
一方、”弥勒信仰”が盛んであったガンダーラ地方(現アフガニスタン近辺)の弥勒菩薩像は、長髪で髭男爵っぽいお姿。手には水瓶を持っているのが典型。
極東へ伝わってくるにつれて、その表現形態は変容していったようです。
国宝の弥勒菩薩様は、どうやって衆生の人々を救うか思案している姿といわれております。
ガンダーラから、中国、朝鮮と海を渡って日本にやってくる間に、
人々も弥勒菩薩様の出現を願い、思いあぐねてこのようなポーズをとらせてしまったのでしょうか。
菩薩様を考えこませるほど、人間は愚かしいものよとのアイロニックな表現なのかも。
なんにせよ、イケメン菩薩から極端な変容ぶり。
形成された風土と文化的背景は違うとはいえ、同じ仏様とは思えません。
先に半跏思惟像=弥勒菩薩様と刷り込みがある自分には、新鮮な驚きでございました。
今回いくつか半跏思惟像の弥勒菩薩様が出展されており、その中で心奪われたものがありました。
大阪・野中寺の金銅弥勒菩薩半跏像。
飛鳥時代あたりの仏像にありがちな、頭が大きめの菩薩様。
ただ、お顔を眺めると通った鼻筋と吊り上がったまゆ、切れ長の目がやたらと丁寧に彫り込まれており、写実的なのです。
コミカルな顔と身体の比率に対し、アンバランスな雰囲気のお顔。
あとから顔だけ掘り込んだみたいにも思えなくもない。
写真で見るとどうも厳しめのお顔ですが、間近で拝見した限りはとてもお優しい印象でした。
この弥勒様像、後から調べてみたところ、来歴もいろいろ謎めいているらしいです。(詳細はいずれまとめたいですが、、)
この弥勒様にお会いできたのは、かなりのヒットでございました。
最近は愛しい仏像にたくさんお会いできていて、大変嬉しく思います。
マイフェイバリット仏像あつめ、進行中。