【続いてる写経 664日め】〜食に興味がある人に『八百森のエリー』を読んでほしい
Amazonさんにオススメされたマンガ『八百森のエリー』。
なんですって?よくワタシの好みをお分かりになりましたね、アナタ。
青果仲卸売業「八百森」に就職した、農大卒の通称エリーくんを主人公に、卸売市場を舞台にした青果流通のお話です。
ちなみに「仲卸売業」とは、「卸売業者」と「小売業者」の仲介をする業者さんです。
スーパーなどの小売事業者や外食事業者から細かくニーズを聞き、注文にそった商品を揃えて届けるお仕事です。かなりの商品の「目利き」であることが必要なのです。
ちなみにワタシ、数年前まで流通に関わる調査研究の団体にいたので、「卸売市場」なんて言葉が出てきただけで、アンテナがピクン!となりました。
だいたいそんなコミックが成立するんかい?と思ったんですよ。
これがですね、想像以上に懐深い作品でした。
野菜や果物が生産者から消費者に届くまでに、こんなに沢山の人の細かい作業が入っているとは。。こんなドラマが繰り広げられているとは、、。
作者の仔鹿リナさんの旦那様が、実際に仲卸売業にお勤めの野菜マニアらしく、実地に即したストーリー展開で、エンタメ加減が上手いんですよ。
仲卸売業の仕事を遂行するのには必要な知識、人脈形成、行動力が不可欠。
どの野菜や果物ひとつとっても、産地や季節、天候や作付け状況で全くモノが違ってくるのです。
それぞれに種類もたくさんあるため、ミカンならミカン担当、桃なら桃、と担当責任者が品目ごとにいるんですね。
さらには卸売業者と小売業者の間に立ち、時には在庫調整して価格形成まで牛耳ったりするんです。
「野菜に人生捧げますか?」ってセリフが出てくるんですが、人生捧げる覚悟なければやっていけない、時間的にも肉体的にもキツいお仕事のようです。
日本の食文化の豊かさを支えているのは、こうした細かいお仕事や目利きをしてくれる人がいるからなんですねえ。。
ホント、頭下がります。ありがとうございます!と感謝したくなります。
かつての職場では「卸売業の存在そのものが、日本の流通の効率化を妨げている」という向きもありましたが、日本の地域で細かく異なる食文化や食の好みを満たすには、卸売業、仲卸売業は必要な存在なのです。
マンガの中でも語られる、「取引数量最小化の原理」(小売業と製造者(メーカー)の取引間に卸売業者が入ることで、全体の取引数が減り、流通コストを抑えられるという原理)なのです。
そこを理解できなかった米国や欧州のスーパーは結局撤退を余儀なくされました。(懐かしいな)
てなわけで、生鮮流通の勉強になるとともに、面白くて泣けるお話、絶対オススメでございます。
AmazonのKindle Unlimitedで全作読めますよ。
いいところで終わってるので続き読みたい、、現在、仔鹿先生休業中らしいです。
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