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【続いてる写経 520日め(隅寺心経)】〜写経を職業にしていた人たちの食事
未だ紙の新聞を購読しているアナクロな自分。
溜め込んでいた新聞を整理していたら面白い記事にあたりました。
「古代食 学祭の知集め再現 〜写経生に大量の食料支給 正倉院文書など解読し疾病史研究も」(三舟隆之氏・東京医療保健大教授の執筆、日本経済新聞 2021年8月23日文化面)
古代食を再現するゼミの話なんですが、東大寺の「正倉院文書」から、写経生に支給された食事を再現しているのです。
「一日に支給される食料の総重量が約8キログラム、エネルギーにして約5600キロカロリー」。
おいおい、どんだけ食べるんじゃい?
内訳は、「米が現在の約8合、ワカメ・アラメが2両(約83.3グラム)などで、副菜は海藻が中心」。
「量の多さから実際に食べたのは一部で食料に給与の側面があったとの見方がある」。
いわゆる現物支給的なものだったようです。
それにしてもお米だらけ、あきらかに栄養偏りすぎなんですが、経典に携わる人だから、動物性タンパク質はとらなかったんですかねえ。
続けて、「正倉院文書には写経生の休暇願が残されている。病気を理由としたものは消化器系が最も多い一方、眼病や足のしびれ、胸痛、皮膚病も目立つ。食事内容と休暇願を付き合わせると、栄養学の先生はまっさきに糖尿病の疑いを指摘した」。
この頃から休暇願とかあったんですね!
写経生は、この時代においては相当なエリート。そもそも文字が書ける人も少なかったでしょうから、裕福な家庭で、教育を受けた人たちから選ばれていた模様。
筆をぶら下げて歩く姿に女子がときめいた、というような絵が書道の本に載っていたのをみました。
1日8合のお米は、結構いいサラリーなんでしょうか。
他の職業の支給があれば知りたいところです。
さらに写経生、文字が書けるだけでなく、経典にあった書体がちゃんと書けるのかどうかも採用の基準だったらしいです。
美しい肉筆の経典は、それを専業とする人たちが命を削って書いてくれてたものなんですねえ。。としみじみです。
そうよね、手の皮切り取ってたひともいたようだし。。
と、隅寺心経の文字が、以前よりも神々しく見えるのでした。(原本ね)